ロシア当局は、ウクライナ軍事侵攻を正当化するため、疑問や批判に言及した人たちを徹底的に取り締まってきている。そしてこの程、他の学生と同様、戦争批判をインターネットに投稿したロシア人女子学生が、西側メディアで報じられてしまったためか、当局から目を付けられて重罪で投獄される恐れが出てきた。そこで彼女は、故郷ロシアを捨てる重い決意を持ってリトアニア(バルト海東岸、1991年旧ソ連より独立)に逃れ、先頭に立ってロシア批判の活動を展開する決心をしている。
3月29日付
『CNNニュース』は、ロシア人女子学生が、他の学生と同程度の戦争批判を投稿しただけで、ロシア当局からスケープゴートにされて重罪を科せられる恐れが出たため、リトアニアに逃れてロシア批判の急先鋒に転身することになった経緯について報じている。
ロシアでは、昨年2月下旬のウクライナ軍事侵攻以来、政府政策の正当性を貫く一環で、戦争批判等を叫ぶ人たちを徹底的に取り締まることとし、最長15年の禁固刑を科すとする新刑法が制定されている。...
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3月29日付
『CNNニュース』は、ロシア人女子学生が、他の学生と同程度の戦争批判を投稿しただけで、ロシア当局からスケープゴートにされて重罪を科せられる恐れが出たため、リトアニアに逃れてロシア批判の急先鋒に転身することになった経緯について報じている。
ロシアでは、昨年2月下旬のウクライナ軍事侵攻以来、政府政策の正当性を貫く一環で、戦争批判等を叫ぶ人たちを徹底的に取り締まることとし、最長15年の禁固刑を科すとする新刑法が制定されている。
ロシア人権団体OVD-info(2011年設立)によると、同新法施行以来、447人ものロシア人が訴追されていて、そのうち49人がロシア軍の信用を傷つけた罪で、また30人がテロ行為を企てたとの理由で投獄されているという。
今回『CNN』がインタビューしたロシア人女子学生オレーシャ・クリフツォワ氏(20歳)は、昨年12月に、他の多くの学生と同様、戦争批判の投稿をしただけであるのに、この程当局から、他のロシア人反政府活動家と同様に重罪を科される恐れが出たため、故郷ロシアを捨てて隣国リトアニアに逃れてきたという。
彼女の投稿は、昨年10月に発生したクリミア大橋爆発事件に言及して間接的にウクライナ軍事侵攻を批判する、ごく一般的なコメントであったが、誰かの密告によって今年1月に当局によって逮捕されてしまった。
当局は当時、彼女を自宅軟禁とし、インターネット投稿を禁止する措置としていたが、『CNN』初め多くの西側メディアが彼女のことを報じた。
そのため、政権に不利となる報道拡大を恐れてか、ロシア当局の対応が一変し、今年2月、彼女が20歳の誕生日を母親・夫・妹とともに祝っていた際、再度逮捕・拘留された。
そして、有りもしない罪の数々をでっち上げられ、逃げ出すことがほとんど叶わない厳重な刑務所に何年も投獄される恐れが出てきた。
彼女は、“自身の代理人弁護士や母親も協力して、無実の罪である証拠を集めて当局に提出したが、全く取り合ってもらえなかった”という。
そこで遂に、ロシアを捨てる決心をし、裁判所召喚前夜に支援者の助けを借りて国境を越えて隣国リトアニアに逃げ出したという。
かくして彼女は、比較的安全とされるリトアニア首都ビリニュスに居を構え、従来と打って変わって、積極的にロシア政府を真っ向から非難する声を上げるようになった。
彼女は、“(当局から停止させられたとは別の)インスタグラム・チャンネルを立ち上げ、ロシア軍が如何にウクライナで戦争犯罪を犯しているかアピールすることを日課にしている”とし、“(他の人の生の声と同様)自身の真実の訴えが、必ずやロシア政府への打撃となることを願っている”とコメントしている。
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