フランスではマクロン政権の年金改革法案をめぐり、パリで労働者らがデモを繰り広げており、ゴミ収集にあたる市の従業員も1週間前にデモに参加。市政サービスが滞ったことで路上に未回収のごみが堆積し、市民や観光客を悩ませているという。
3月14日付
『AP通信』:「続く年金デモ、ごみで輝きを失ったパリの街」:
フランスでは退職年齢を2年引き上げる法案を巡って、これに反対するごみ収集従業員によるデモが14日で9日目に入り、輝く都市は歩道にたまったゴミの山に悩まされている。
ごみ箱からは腐敗物が溢れだし、24日までに7千トン以上のごみが堆積しているという。16日に予定される3度目のデモを前に、民間業者の白トラックが一部運んでいるというが、警察によると安全確保のため清掃を行っているという。...
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3月14日付
『AP通信』:「続く年金デモ、ごみで輝きを失ったパリの街」:
フランスでは退職年齢を2年引き上げる法案を巡って、これに反対するごみ収集従業員によるデモが14日で9日目に入り、輝く都市は歩道にたまったゴミの山に悩まされている。
ごみ箱からは腐敗物が溢れだし、24日までに7千トン以上のごみが堆積しているという。16日に予定される3度目のデモを前に、民間業者の白トラックが一部運んでいるというが、警察によると安全確保のため清掃を行っているという。パリ以外でもごみ問題の影響が広がっているが、パリ市ほどではない。街角ではごみが至る所に見られ、車で通るのも困難な状況だという。
ごみ収集や道路の清掃、下水作業者も、作業が止まることによる街の状況を心配しているが、マクロン大統領が法案を取り下げるしか解決法はないと主張する。デモは、運輸、エネルギー、港湾業界にも影響しているが、政府は一般的な退職年齢を62歳から64歳(清掃作業員等は57歳から59歳へ)に引き上げる法案を推し進める。
清掃作業員たちは、主に健康上の理由として、2年延長は長いと主張する。だが一般的には、57歳での早期の退職が一般的だが、多くの人は受け取る年金を増やすため、より長く働くことを選ぶ。下水作業員は例外だが、清掃作業員の寿命が一般と比べて短いとの研究結果はみられない。だが、肩や足の腱炎などを理由に、清掃作業員を辞める人も多い。
16日は政府やデモ隊にとってのデモの山場を迎える。労働組合は1月以来となる8度目の全国的なデモを予定し、この日は上下院議員が非公開の会合で法案の合意を行うタイミングと重なる。合意すれば、両院での投票の流れとなる。
同日付英『BBC』:「フランスのごみ収集デモ:鼻をつまむパリ市民」:
マクロン政権の年金受給開始年齢引き上げ法案をめぐり、パリで労働者らがデモを繰り広げており、ナント、レンヌ、ル・アーブルなどの都市にも影響が出ている。
パリ当局によると、ゴミ収集従業員が1週間前に年金問題デモに参加したことで、パリの街では、市がごみを回収している市内の半分の地域で、デモの影響がみられ、3箇所のごみ処理所が閉鎖し、4箇所目は半分の機能で運営しているという。13日時点で、パリ当局は5600トンのごみが未回収だとしている。
民間業者が管理している10の地区では、収集は通常通り行われているというが、デモ活動隊がごみの収集を妨げているとの報道も一部あるという。市評議委員は、市当局は、食品流通、堆積ごみ処理、歩道の安全確保など、公共の安全を優先した介入を行っているとしている。
専門家は、「デモにより、ねずみの行動が変化した。ごみを物色し、繁殖して増え、汚物を落としていく。そのため、ごみ収集従業員や一般の人々の健康が脅かされる懸念がある」としている。
フランスの労働組合は、政府の年金改革に反対し対策を強化。14日まで7日連続で、複数の焼却炉で従業員によるデモが行われていたが、ガソリンスタンドの閉鎖はごく一部に留まっているという。
法案は、先週11日上院の支持を得て、15日に両院合同委員会の最終審議へと移され、16日には国民議会(下院)と上院での最終投票が行われる。
マクロン大統領の与党連合は下院で下半数に満たないため、法案の通過には全く確証がない。政府は287票必要で、250人の賛成を得ても、改革法案通過には他党の37議員の同意を得なければならず、その多くは共和党票。政府は、採決なしで法案を採択できる憲法49条3項の発動を避けようと必死となっている。
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