米国は1918年以来、エネルギーを節約するため等の理由から夏時間制を導入してきた。しかし、現代社会では、標準時から年2回時間修正を行うことの混乱がより大きくなってきていることから、通年で夏時間を適用(すなわち、標準時を1時間早めたまま)することが真剣に検討され始めている。
3月3日付
『ロイター通信』は、「米上院、夏時間を恒久化する法案を再提案」と題して、昨年下院で否決された夏時間恒久化法案について、超党派の上院議員が再度法案を提出したと報じている。
超党派の12人の上院議員は3月2日、夏時間を通年で適用するとする法案を再度提出した。
実は昨年3月、上院は、午後の日照時間を増やすことで経済活動の拡大に繋げられるとして、全会一致で同法案を採択していた。...
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3月3日付
『ロイター通信』は、「米上院、夏時間を恒久化する法案を再提案」と題して、昨年下院で否決された夏時間恒久化法案について、超党派の上院議員が再度法案を提出したと報じている。
超党派の12人の上院議員は3月2日、夏時間を通年で適用するとする法案を再度提出した。
実は昨年3月、上院は、午後の日照時間を増やすことで経済活動の拡大に繋げられるとして、全会一致で同法案を採択していた。
しかし、フランク・パローン下院議員(71歳、ニュージャージー州選出民主党員、1988年初当選)によれば、下院では通年適用するのが標準時とするか、あるいは夏時間とするかで合意に至らず、採択されなかったという。
そこで、上院では再び、リック・スコット議員(70歳、フロリダ州選出、2019年初当選)及びマルコ・ルビオ議員(51歳、同左、2011年初当選)の両共和党議員が、エド・マーキー議員(76歳、マサチューセッツ州選出、2013年初当選)及びロン・ワイデン議員(73歳、オレゴン州選出、1996年初当選)の両民主党議員を加えた計12名の連名で、“日照時間保護法案(夏時間の恒久化)”を再度提案した。
また、下院のバーン・ブキャナン議員(71歳、フロリダ州選出の共和党員、2007年初当選)も同時に、同様の法案を議会に提案している。
スコット議員は、“一年に二度も時計を直すのは、時代遅れであるし不必要だ”とし、”議会は今度こそ本法を採択・制定すべきだ“と訴えた。
米国では、1918年に夏時間制が採用されて以来、1960年代にはほとんどの州で採択されてきている。
今年は、3月12日(第2日曜)に時計が1時間進められ、11月5日(第1日曜)に元に戻される。
夏時間恒久化の支持者は、子供たちが戸外で余計に活動できるようになるし、また、季節性感情障害(注後記)の発生抑制もできると主張している。
これに対して、反対派は、数百万の子供たちに対して、冬季に暗いうちの登校を強いることになるとし、また、睡眠学専門家は、夏時間採用で朝の目覚めがより難しくなるとコメントしている。
なお、夏時間は、第二次大戦中及び1973年のオイルショック発生時に、エネルギー消費を抑えるために通年で採用されていた。
(注)季節性感情障害:うつ病のサブタイプの一つで、ある季節にのみ、体のだるさや疲れやすさ、気分の落ち込みなどの症状が出る気分障害。冬季うつ病 、季節性うつ病ともいう。
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