2月14日付
『ネクスター・メディア』(NMG、1996年設立、米最大のTV局所有グループ)は、「共和党上院議員、2024年大統領選候補が乱立するとトランプが返り咲く恐れと懸念」と題して、一般有権者の受けが悪いトランプが漁夫の利を受けることになると、大統領選のみならず上・下院議員選挙でも共和党勢が惜敗する恐れがあると、共和党上院議員の中で懸念する声が上がっていると報じた。
共和党上院議員の中で、2024年大統領選候補者が乱立すると、再びドナルド・トランプ前大統領(76歳、2017~2021年在任)が返り咲く恐れがあるとの声が日増しに強くなっている。
目下、立候補を正式に表明しているのは同前大統領のみだが、ニック・ヘイリィ元サウスカロライナ州知事(50歳、2011~2017年在任、2017~2018年国連大使)が2月14日に立候補を表明したことから、2016年時と同様立候補者の乱立となる兆しとみられている。
今後立候補するとみられているのは、マイク・ペンス前副大統領(63歳、2017~2021年在任)、マイク・ポンペオ前国務長官(59歳、2018~2021年在任)、ティム・スコット現上院議員(55歳、サウスカロライナ州選出、2013年初当選)、ロン・デサンティス現フロリダ州知事(44歳、2019年初当選)、エイサ・ハッチンソン前アーカンソー州知事(72歳、2015~2023年在任)、ラリー・ホーガン前メリーランド州知事(66歳、2015~2023年在任)、グレン・ヤンキン現バージニア州知事(56歳、2022年初当選)である。
マイク・ラウンズ上院議員(68歳、サウスダコタ州選出、2015年初当選)は政治専門紙『ザ・ヒル』(1994年創刊、NMG傘下)のインタビューに答えて、“最終的に15人、16人、果ては17人まで乱立恐れがある”とし、“(2016年時のようなことが)再び起こることは望んでいない”と表明した。
多くの共和党上院議員は今のところ中立という立場を取っていて、トランプの世間の悪評や、彼が再び同党候補者になることを望んでいない等について口を開く者はほとんどいない。
しかし、彼らは、(トランプ政権下での)2018年の下院議員選、2020年の大統領選及び上院議員選、更には2022年の上院議員選と、ことごとく敗退していることに辟易していて、その原因がトランプにあったと批判している。
そこで、立候補者乱立が追い風となって、再びトランプが大統領選共和党候補者となってしまうことを懸念している。
ジョン・コーニン上院議員(71歳、2002年初当選)は、“そのような事態となることを恐れている”としながらも、“自身ではどうしようもない”と嘆いている。
保守系団体「クラブ・フォー・グロウス(成長のための組織、1999年設立)」が行った直近の世論調査の結果によると、トランプ対デサンティスでみると49%対40%、また、これにペンス・ヘイリィ・ポンペオ・スコット・ヤンキンまで含めると、トランプ37%、デサンティス33%と、いずれの場合でもトランプが筆頭となっている。
コーニン議員は、“ヘイリィ氏は素晴らしい人物だ”と評したが、立候補表明をした途端に非難の声が上がったことについて、“かかることは覚悟しておかねばならない”と付言した。
実は2月14日、彼女が正式表明をするや否や、トランプ支持団体の「メイク・アメリカ・グレイト・アゲイン(米国を再び偉大に)政治活動委員会」(MAGAPAC、2015年設立)の広報担当が、彼女がかつて反トランプ派だったことを例に挙げた上で、彼女は“職業政治家”だと揶揄するコメントを発表していた。
かつてトランプの広報担当で、現在MAGAPAC代表のテイラー・バドウィック氏(25歳)は、“多くの職業政治家がそうであったように、彼女は自身のためだけの約束を果たしてきたに過ぎない”と批判している。
ただ、トランプ支持者の上院議員は、彼女の立候補表明を好意的に受け止めている。
トミー・タバ―ビル議員(68歳、アラバマ州選出、2020年初当選)は記者会見で、“彼女は偉大な候補者だ”とした上で、“トランプ氏自身も、多くの候補者が出てきて、共に戦うことを望んでいる”とコメントした。
また、リンゼー・グラム議員(67歳、サウスカロライナ州選出、2002年初当選)は、トランプがサウスカロライナ州で出馬表明をした際にいの一番で支持を表明していたが、彼女の州知事及び国連大使時代を評価した上で、“彼女は大統領予備選候補として立派に奮闘するだろう”とし、“今後多くの立派な候補者が出てくることで益々困惑してしまう”と述べている。
その他、J.V.・バンス議員(38歳、オハイオ州選出、2022年初当選)、エリック・シュミット議員(47歳、ミズーリ州選出、2022年初当選)、マークウェイン・マリン議員(45歳、オクラホマ州選出、2022年初当選)、以上5人の上院議員はトランプを支持している。
一方、マルコ・ルビオ議員(51歳、フロリダ州選出、2010年初当選)は、2016年大統領予備選ではヘイリィ氏の支持を受けていたが、彼女は“善戦するだろう”とした上で、(他に候補者が出ない)少人数での戦いになるとの話は即座に否定した。
同議員は、“誰でも立候補できるし、共和党の将来のためにも多くの候補者が戦うことが望ましい”と述べた。
ただ、同議員は『ザ・ヒル』のインタビューに答えて、“2024年の大統領選に自身が候補者として立つ考えはない”と言及している。
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