渇水状態が、北ヨーロッパのオランダに脅威を与えている。
オランダの各地域はこれまで治水事業により維持されてきた。すなわち、、全土の1/3の面積は海面レベル以下となっているため、津波や洪水に備えて水を排出する設備を完備してきた。ところが今年は逆に、雨がほとんど降らず、オランダは淡水不足対策に苦労している。
ワーゲニング大学のヨーロッパ渇水問題研究センターのバン・ラネン委員は、「2018年に記録的な渇水状態が発生し、その後の2年間も渇水状態が継続した。...
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渇水状態が、北ヨーロッパのオランダに脅威を与えている。
オランダの各地域はこれまで治水事業により維持されてきた。すなわち、、全土の1/3の面積は海面レベル以下となっているため、津波や洪水に備えて水を排出する設備を完備してきた。ところが今年は逆に、雨がほとんど降らず、オランダは淡水不足対策に苦労している。
ワーゲニング大学のヨーロッパ渇水問題研究センターのバン・ラネン委員は、「2018年に記録的な渇水状態が発生し、その後の2年間も渇水状態が継続した。渇水問題は以前、政府の関心を引かなかったが、政府も渇水時の水の管理に本腰を入れるようになった。」と説明した。
8月2日、オランダ政府は公式に「渇水状態」にひんしていることを宣言した。
なお、この宣言ですぐに主要な活動を制限するものではないという。
飲料水のストックは充分あるので緊急の問題はないが、政府としては、国民に水の無駄使いを避ける意識を植え付けたいところに狙いがあると見られる。
しかし、地域レベルで見ると地表水の農業目的での使用を禁止する地域が増えている。
一方、自然保護のNGOによると、降雨が欠乏しているのに加えてオランダを流れるライン川、ミューズ川および各支流の水量が減っていることが河川の水上輸送に問題を投げかけているという。例えば、ライン河のオランダ側での水量はこの季節、通常1750m3/秒あるのに対して、8月12日の水量は半分以下の749m3/秒となっている。これにより河川の水面レベルが低くなるので、例えばロッテルダム港からライン河支流のドイツ、ルール工業地帯への船舶積載量を減らす必要が生じ、船の輸送速度も低下する結果となっている。
オランダには全長17500kmの堤防があり、2003年干ばつでの2カ所のような堤防決壊事故が発生する可能性がある。特に100年以上前に泥炭を固めて工事した堤防が多いので、干ばつに備えた堤防の補修も今後の課題となっている。
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