米国防当局は、これまで暴動対策に重点を置いてきた米国防総省は、将来のサイバー攻撃戦に備えるため、今後10年以内に米陸軍の現役のサイバー部隊の規模を倍増させる方針であることを発表した。
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『ディフェンス・ニュース』によると、陸軍広報担当者は6月13日、サイバー部隊の兵力が約3千人から6千人強に増加することを発表した。現役、予備役、州兵全体におけるサイバー支部も5千人から7千人以上に拡大されるという。陸軍副参謀長であり、陸軍の世界中における作戦のための指揮、統制、通信、サイバー作戦、ネットワークの計画と実施を担当しているジョン・モリソン中将は、6月9日の記者会見で、「サイバー及び電磁波の領域における活動や能力の拡大と共に、サイバー部門は成長し続けるだろう。サイバー戦と電子戦は、すべての戦術的陣形において統合される」と述べた。現在、ウクライナ戦争は、陸・空・海・宇宙・サイバーにまたがるマルチドメインに及ぶ攻防戦が繰り広げられており、米陸軍は、敵の貴重な情報の取得のために動いている。
しかし、中将は、米軍が20年の間、暴動対策などに集中したことによって「感知、保護、そして攻撃に至るまで電子戦の能力を大幅に失った。」と言う。一方で「オープンソースのニュースを読むだけで、今ヨーロッパで起こっていることの重要な要素になっていることがわかる。」と指摘している。
陸軍は、2023年度のサイバーおよびIT資金として166億ドルを要求している。その大部分である約98億ドルは、ネットワークの近代化に充てられている。また、攻撃的・防御的なサイバー作戦とサイバーセキュリティの研究開発に約20億ドルが充てられる。
2022年国家防衛戦略の公開されている要約によると、中国はロシアを差し置いて最も差し迫った国際的脅威とされている。両大国ともサイバースペースに多大な投資を行っている。陸軍の最高情報責任者(CIO)であるラージュ・アイヤー氏は、2023年はデジタル変革に関しては「変化の年」であり、サービスが、古くて快適なものから、新しくて有利なものに移行しなければならない時期である、と述べている。
2014年からフランスのサイバーセキュリティ監視機関であるAnssiのトップを務めてきたギヨーム・プパールも、フランスやヨーロッパにおけるサイバーディフェンスの現状について、仏『レゼコー』紙に語っている。「フランスは、検出が困難な、特に高度な長期スパイ活動に対して戦っている。巨大な資源を持つ国々との戦いだ。これは、サイバー犯罪集団や日常的なネット詐欺の脅威が小さいという意味ではない。Anssiの仕事の80%は国家によるスパイ行為に対するもの。これは目に見えない攻撃であり、同じ手段でインフラを破壊すれば、まさに壊滅的な被害をもたらす。これが私たちの住む地政学的な世界であり、脅威が弱まるとは思っていない」と答えている。
一方、「欧州はサイバー分野で強くなる必要がある。確かに欧州各国は安全保障レベルを上げ、協力している。しかし、ある加盟国が助けを求めてきたときに備えて、連帯感を持つことが必要だ。誰もがすでに200%の状態にあり、誰も他国にチームを送ることができない」現状にあると指摘している。
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