日米両首脳は5月23日、ロシアのウクライナ軍事侵攻、「自由で開かれたインド太平洋」の推進、日米同盟、経済安全保障等々に関し共同声明を発表した。その中で両国が表明した、「宇宙開発協力」について、米航空宇宙局(NASA、注1後記)長官も、米主導で進められている月探査計画への日本側の積極的関与を歓迎している。
5月25日付
『SciTechDaily』(1998年創刊の科学・技術紙)は、「NASA、月周回基地ゲートウェイへの日本人宇宙飛行士の参加を歓迎」と題して、この程日米首脳が発表した共同声明に関し、NASA長官が、日米両国の「宇宙開発協力」において言及された、日本人宇宙飛行士による月探査計画への参加を歓迎すると表明したと報じている。
ジョー・バイデン大統領(79歳)及び岸田文雄首相(64歳)は5月23日、首脳会談後の共同声明において、宇宙開発協力についても相互に確認した。...
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5月25日付
『SciTechDaily』(1998年創刊の科学・技術紙)は、「NASA、月周回基地ゲートウェイへの日本人宇宙飛行士の参加を歓迎」と題して、この程日米首脳が発表した共同声明に関し、NASA長官が、日米両国の「宇宙開発協力」において言及された、日本人宇宙飛行士による月探査計画への参加を歓迎すると表明したと報じている。
ジョー・バイデン大統領(79歳)及び岸田文雄首相(64歳)は5月23日、首脳会談後の共同声明において、宇宙開発協力についても相互に確認した。
具体的には、米国が主導する月周回基地ゲートウェイへの日本人宇宙飛行士の参加のみならず、国際月探査「アルテミス計画」に基づく日米両国飛行士による月面着陸・探査活動についても合意した。
同大統領は記者会見で、“月探査から火星探査まで含めた将来の宇宙開発計画で、相互協力のシンボルとして日本製月面探査車が走行するのを見るのを楽しみにしている”とし、“アルテミス計画の下、日本人宇宙飛行士が一緒に月面探査活動を行うのは好ましいことだ”と表明した。
日米両国は目下、ゲートウェイでの日本人飛行士の活動等を含めた詳細実施計画について、今年後半までに具体的にまとめるべく協議している。
これら日米両首脳の共同表明を受けて、NASAのビル・ネルソン長官(79歳、2001年初当選のフロリダ州選出上院議員、民主党、2021年長官就任)は、“日米両国の協力の一環で、日米両国宇宙飛行士が月面で共同活動を行うことになるのは有意義である”と歓迎するコメントを発表した。
同長官は、“バイデン大統領が改めて表明したとおり、国際月探査「アルテミス計画」は米国だけでなく、日本含めた他友好国と一緒に取り組んでいくことが我々の願いだ”とも言及した。
同大統領はまた、NASAの宇宙探査機オサイリス・レックスが小惑星ベンヌ(注2後記)から回収したサンプルを、2023年に同機から回収次第、日本側にも情報提供すると表明している。
一方、NASAの重要なパートナーである宇宙航空研究開発機構(JAXA、注3後記)は、小惑星探査機「はやぶさ2」が地球近傍小惑星「リュウグウ」から回収して持ち帰ったサンプルを2021年にNASAに提供している。
(注1)NASA:米国政府内における宇宙開発に関わる計画を担当する連邦機関。1958年7月設立。これまで、アポロ計画における人類初の月面着陸、スカイラブ計画における長期宇宙滞在、更に宇宙往還機スペースシャトルなどを実現。現在は、国際宇宙ステーション (ISS) の運用支援、オリオン宇宙船、スペース・ローンチ・システム、商業乗員輸送などの開発と監督を行なっている。その他重要な任務は、宇宙空間の平和目的あるいは軍事目的における長期間の探査で、人工衛星を使用した地球自体への探査、無人探査機を使用した太陽系の探査、進行中の冥王星探査機ニュー・ホライズンズのような太陽系外縁部の探査、更にはハッブル宇宙望遠鏡などを使用した、ビッグ・バンを初めとする宇宙全体への探査などが主な役割となっている。
(注2)ベンヌ:アポロ群に属する地球近傍小惑星の1つ。1999年にリンカーン地球近傍小惑星探査によって発見された。NASAの宇宙探査機オサイリス・レックスのターゲットとなり、同機は2018年年末にベンヌに到達、周回軌道上からの探査と地表からのサンプル採取をおこなった。
(注3)JAXA:日本の航空宇宙開発政策を担う国立研究開発法人。内閣府・総務省・文部科学省・経済産業省が共同して所管し、国立研究開発法人格の組織では最大規模。前身1955年設立で、2003年現行組織設立。
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