仏
『レゼコー』は、「今年の冬を暖かく過ごすことが出来るように、欧州委員会の最初の提案から2カ月足らずで、議会と理事会は19日、ガス備蓄の増強について合意に至った。」と報じている。欧州機関の合意では、加盟国は11月1日までに少なくとも埋蔵施設を80%満たすことが求められている。エネルギー供給を確保するため、次年度以降は90%に引き上げる。欧州委員会の試算によると、この90%という水準は、供給が途絶えた場合でも冬の需要を賄うことができることを想定している。
規模に対して過剰な生産能力を持つ一部の加盟国は、年間消費量の35%を上限として在庫を満たすことができる。一方、貯蔵能力のない9つの加盟国(キプロス、エストニア、フィンランド、ギリシャ、アイルランド、リトアニア、ルクセンブルグ、マルタ、スロベニア)は、備蓄義務の財政負担を分担する仕組みで、他国と連帯協定を結んでガスの貯蔵量を確保する必要がある。
仏ニュースサイト『ルプログレ』によると、ドイツ、イタリア、オランダ、フランス、オーストリアの5カ国にある備蓄施設は、EU全体の容量の3分の2を占めているという。理事会は「加盟国は液化天然ガス(LNG)や代替燃料の在庫を含めることで、90%の目標を部分的に達成することができる」としている。
また、欧州議会と理事会は、「重要な貯蔵インフラに対する外部からの影響による潜在的なリスクを回避するため」、すべての備蓄施設運用者の認証義務化についても合意した。
欧州議会は、備蓄量を増やすためにロシアのガスを使うことを禁止する条項の導入を推進していたが、加盟国の拒否により、可能な限り供給の多様化を図ることをのみ求めることになった。また、この義務は2025年までしか続かず、それ以降は終了する。
5月17日時点のEUのガス備蓄量はフランス44%、ドイツ42%、イタリア45%、オランダ33%、オーストリア27%、スペイン65%と、大きな格差があるものの、平均41%(昨年同時期は34%)であった。
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