習近平国家主席(シー・チンピン、68歳)は、これまでの2期10年で着々と権力基盤を固め、今秋には異例の3期目を勝ち取ると目されていた。しかし、折からの新型コロナウィルス(COVID-19)感染問題再爆発に対して、国民に過酷な生活を強いる「ゼロコロナ政策」に固執する余り、国民の間に不満が溜まりつつある。そうした中、当局が検閲する前に拡散されたSNS上には、同氏が退任を強いられ、後任に李克強現首相(リー・クーチアン、66歳)が就任する可能性があるとの憶測が飛び交っている。
5月14日付
『アジア・ニュース・インターナショナル』オンラインニュース(1971年開局のインド最大TV通信社)は、「中国のSNS、COVID-19失政で習国家主席が退任との噂で持ち切り」と題して、習近平国家主席がCOVID-19感染問題再爆発に伴って強行している「ゼロコロナ政策」に関し、不満を募らせた国民の間で同氏解任との噂が飛び交っていると報じた。
直近の中国SNS上では、習近平国家主席が強行する「ゼロコロナ政策」が経済を更に悪化させる失政だとする声の高まりとともに、同氏が間もなく解任されるとの噂でもちきりである。...
全部読む
5月14日付
『アジア・ニュース・インターナショナル』オンラインニュース(1971年開局のインド最大TV通信社)は、「中国のSNS、COVID-19失政で習国家主席が退任との噂で持ち切り」と題して、習近平国家主席がCOVID-19感染問題再爆発に伴って強行している「ゼロコロナ政策」に関し、不満を募らせた国民の間で同氏解任との噂が飛び交っていると報じた。
直近の中国SNS上では、習近平国家主席が強行する「ゼロコロナ政策」が経済を更に悪化させる失政だとする声の高まりとともに、同氏が間もなく解任されるとの噂でもちきりである。
この噂は、中国共産党中央政治局常務委員会(中国の最高意思決定機関)が開催された翌日からSNS上に投稿し始められた。
当該SNSの遣り取りは、中国当局が検閲・削除する前に、カナダ本拠のウェブサイトが投稿分の記録を保持して拡散されたものである。
同ウェブサイトによると、習氏が今秋開催される中国共産党第20回全国代表大会(5年に一度開催される中国の最高指導機関)において退任させられて、代わりに李克強現首相が後任に指名されるという内容となっている。
習国家主席は、再燃するCOVID-19を抑えるに当たって、「ゼロコロナ政策」に疑問を持つ輩を封じ込めるべく、“徹底的に戦う”ようにとの命令を下した。
しかし、都市封鎖措置が行き過ぎたものとなり、全国の経済活動が大きく影響を受けている。
そこで、中国中央財経委員会の韓文秀副主任(ハン・ウェンシゥ、58歳、2018年就任)は5月12日の記者会見で、感染症抑制のためには科学的根拠に基づいた対策が肝要で、ひとつの事象に焦点を当てるだけでは、経済を安定させ、かつ経済的成長を確保していくことはできない、と表明している。
実際問題、厳しい都市封鎖措置で全国の物流は滞り、また、製造業の業容は2020年2月以来の最低レベルまで落ち込んでいる。
更に、上海に依然都市封鎖措置が講じられていることから、様々な投資銀行の経済エコノミストは異口同音に、中国の経済成長率を下方修正する見方を示している。
また、人民元も4月、月ベースでは28年振りの最大▼4%の下落を見せている。
そして、都市封鎖措置によって中国の売上高減少や物流に影響が出ていて、世界経済の回復にも冷水を浴びせることになり、その結果株式市場にも深刻な影響を及ぼしている。
かかる様々なマイナス要因が重なり、中国の多くの国民に不満が溜まり始め、習国家主席が進める政策では厳しい状況を乗り切れないとの疑心暗鬼より、同氏に対する信頼度が落ちてきているとみられる。
閉じる