『ウォール・ストリート・ジャーナル』は、パンデミック時のサウジアラビアの対面学習の扱いは、世界で最も慎重なものだったと伝えている。中学生以上は昨年の8月に教室に戻ることができた。一方、5歳から11歳の子どもたちについては、当時ワクチン接種ができないリスクを調査する時間が必要だとして、教室への復帰は見送られた。
人口約3500万人の、湾岸諸国最大の国サウジアラビアは、パンデミック時に、ほぼすべての住民にワクチンを義務付けるなど、多くの厳しい措置をとった。...
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『ウォール・ストリート・ジャーナル』は、パンデミック時のサウジアラビアの対面学習の扱いは、世界で最も慎重なものだったと伝えている。中学生以上は昨年の8月に教室に戻ることができた。一方、5歳から11歳の子どもたちについては、当時ワクチン接種ができないリスクを調査する時間が必要だとして、教室への復帰は見送られた。
人口約3500万人の、湾岸諸国最大の国サウジアラビアは、パンデミック時に、ほぼすべての住民にワクチンを義務付けるなど、多くの厳しい措置をとった。国営学校だけでなく私立学校も休校になった。しかし、今月9日に、サウジアラビア当局は方針を転換し、5歳から11歳の子どもたちはサウジアラビアの週明けである日曜日までに教室に戻ることができると発表した。サウジアラビア教育省の広報担当者は、「通信教育だけでは続けられない」と再開理由を説明している。
世界中の教育関係者は、パンデミック時にどのように子どもたちを教えるか、ウイルス拡散のリスクと学校閉鎖による子どもたちの心と親に与える長期的影響とのバランスを取ることを試みながら取り組んできた。しかし研究によると、子どもたちはオンライン学習や自習だけでは学習面で伸び悩み、社会的・感情的な発達の後退があったことが明らかになっている。
ドバイのニュースサイト『Zawya』によると、世界では6億3500万人以上の生徒が、全面的または部分的な学校閉鎖の影響を受けたままでいるという。ユニセフは、国際教育デーの24日に、学校閉鎖が子どもに与える影響に関する最新のデータを公開した。
ユニセフによると、子どもたちは、基本的な数字や識字能力が低下したという。世界的に見ると、何百万人もの子どもたちが、教室にいれば習得できたはずの教科学習を大幅に逃しており、特に低年齢で社会から疎外されている子どもたちが、最も大きな損失を被っているという。
低・中所得国では、学校閉鎖による学習上の損失により、10歳児の最大70%が簡単な文章を読んだり理解したりすることができず、パンデミック前の53%から上昇した。エチオピアでは、小学生が学んだ算数は、通常の年であれば学んだはずの学習内容の30~40%にとどまると推定されている。米国では、テキサス、カリフォルニア、コロラド、テネシー、ノースカロライナ、オハイオ、バージニア、メリーランドなど多くの州で学習量の低下が観察されている。例えばテキサス州では、2021年の数学のテストで、3年生の子どもの3分の2が3年生の学力レベルに届かなかった。パンデミック前の2019年には半数の子どもが学年の学力レベルに達することができなかった。
学校閉鎖の影響は、学習能力の低下に加え、子どもたちの心の健康に影響を与え、バランスの取れた食事へのアクセスを減少させ、虐待のリスクを高めたことも明らかになっている。ユニセフ本部教育グローバルチーフのロバート・ジェンキンスは、「学校を再開するだけでは十分ではありません。失われた教育を取り戻すために、生徒たちは集中的な支援が必要です。また、学校は学習の場にとどまらず、子どもたちの心身の健康、社会的発達、栄養状態を回復させる必要があります」と述べている。
ドバイ紙『ガルフ・ニュース』は、サウジアラビアのある女性は、子供が学校に復帰する日を祝うために地元の音楽隊を雇い、男の子の学校の前で演奏してもらったと報じている。ネット上の動画では、学校の外のお祭り騒ぎの中で音楽隊が演奏している様子が映し出されている。ただし、同紙によると、予防措置の一環として朝の整列を中止し、密になる課外活動も禁止するなど、教育内容はある程度限定されることになる。学校の教室や設備も、毎日消毒される日々が続く。
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