オミクロン株の全国的な大流行による深刻な労働力不足に悩むオーストラリアは、労働力を補足するために、外国からのバックパッカーに、250ポンド(約3万9千円)以上の現金奨励金を提供するので「ぜひ来てほしい」と呼びかけている。
英紙
『タイムズ』は、新型コロナウイルスで国境を閉鎖してから約2年が経った今、オーストラリア政府は、ギャップ・イヤー(高校卒業後、大学入学資格を保持したまま1年間遊学することができる制度)の学生やその他の臨時労働者がオーストラリアに来て、自国の経済回復に役立ってくれるよう必死に呼び込んでいる、と伝えている。
スコット・モリソン首相はテレビでも放映された19日の記者会見で、今後入国する学生にはビザ申請料を払い戻すと発表した。...
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英紙
『タイムズ』は、新型コロナウイルスで国境を閉鎖してから約2年が経った今、オーストラリア政府は、ギャップ・イヤー(高校卒業後、大学入学資格を保持したまま1年間遊学することができる制度)の学生やその他の臨時労働者がオーストラリアに来て、自国の経済回復に役立ってくれるよう必死に呼び込んでいる、と伝えている。
スコット・モリソン首相はテレビでも放映された19日の記者会見で、今後入国する学生にはビザ申請料を払い戻すと発表した。この措置は、今後12週間以内にワーキングホリデービザで入国する若者と、今後8週間以内に入国する留学生に適用される予定となっている。
ビザの取得には、学生が630豪ドル(約5万2千円)、臨時労働者が495豪ドル(約4万1千円)かかる。今回の措置で、すでにビザを取得していながらオーストラリアに渡航していない15万人の学生と2万3500人のワーキングホリデーの若者の多くが来てくれることを期待されている。オーストラリアでは外国人観光客の入国は依然として禁止されているが、12月以降、留学生、技能労働者、ワーキングホリデーなどのグループは、ワクチン接種済みを条件に、入国が許可されている。
豪紙『シドニーモーニング・ヘラルド』は、パンデミック前に比べて、ワーキングホリデーなどを希望している若者の数が少なくなっていると伝えている。内務省が発表した新しいデータによると、1月8日時点のオーストラリアでのワーキングホリデーの参加者は1万9109人、1年前は4万9542人、2年前は14万1142人であった。オーストラリアでは、12月15日にバックパッカーに国境が開かれて以来、2032人のワーキングホリデービザ保持者が到着している。また、オーストラリア国外で有効なビザを持つ人は2万3494人おり、政府はこの払い戻し制度が彼らの計画を早めることを期待している。同省によると、ビザに対する需要は旺盛であるという。
若者向けの宿泊施設「シドニーバックパッカーズ」を運営しているサマービル・ホスピタリティのオペレーションマネージャーであるアナ・メンティングは、「コロナ前はクリスマス、新年などの期間中は、満室で、玄関に寝袋で寝ていいかと聞かれるほど、バックパッカーの数が、ベッド数よりも多かった。」と語っている。しかし、現在は2月よりも、3月と4月の予約が多く、「回復には6カ月から10カ月かかると思う」と述べている。
メンティングさんによると、レストランやカフェからは毎日のように、仕事を探しているバックパッカーがいないかどうかという問い合わせが来るという。「バックパッカーグループのフェイスブックページを見ると、多くの人が(仕事が見つかるかどうか)ストレスを感じている。でも、(現在は)到着したらその日のうちに仕事が決まっている」という。オーストラリアは今「夏で、シドニーは求人であふれている。あまり忙しくなく、みんなが(労働者の)取り合いをしているので、来るには一番いい時期だと思う。」と述べている。
オーストラリアでは、バックパッカーや留学生の流出が、接客業から農業まで人手不足に拍車をかけている。農家では、収穫する人が足りないため、大量の果物や野菜を腐らせることを余儀なくされている。カフェやバー、レストランでは、十分な人員が確保できないため、営業時間を短縮せざるを得なくなっているという。
英経済紙『ファイナンシャルタイムズ』によると、オーストラリアの労働力不足が深刻になっているため、モリソン首相は今週、物流業界の労働力不足を緩和するために、10代の若者にフォークリフトの運転を許可することを提案した。この計画はほとんど即座に棚上げされた。農業と消費財の分野で仲介業を行ってきたデビッド・ウィリアムズ氏は、ホテルや拘置所に閉じ込められている亡命希望者に農場で働いてもらい、果物や野菜を収穫してもらうという提案を行ったという。
モリソン首相は記者会見で、「私たちは、バックパッカーのみなさんがオーストラリアに来て、ここで休日を楽しんで欲しいです。同時に、オーストラリアの労働力として、農業や接客業、その他労働力に依存する多くの経済部門を助けてほしいのです」と訴えた。ただし、バックパッカーは88日間農場で過ごさないとビザの資格がない。政府は20日、12月の失業率が4.2%に低下し、2008年以来の低水準となったことを発表した。
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