イスラエルの医療機関シーバ・メディカル・センターは12月27日、4回目のファイザー社製ワクチンの安全性と有効性を検証する試験を開始し、少なくとも4カ月前に3回目のブースターを受けた健康なスタッフ150人に接種を行った。その結果、全員がオミクロン株から身を守るのに十分な抗体を持たないと判断された。
イスラエルメディア
『エルサレムポスト』によると、1月初め、試験接種の責任者は、4回目投与後、1週間で抗体レベルが5倍になったと発表した。しかしこれは、3回目の接種後と同様のレベルで、それ以上高くならなかった。責任者は、良い結果だが、期待していたものより低いと述べ、「ブースターに期待するレベルのものではない」と語っていた。7日後、抗体のレベルはさらに上昇したものの、オミクロン株の感染力に対して十分ではないようだと強調した。「たとえ良いワクチンであっても、オミクロン株から身を守るために必要な抗体のレベルは、このワクチンには高すぎるということが分かってきた」とコメントした。なお、現段階では、4回目のワクチン接種が重症化をどの程度防ぐのかを判断するには早すぎると述べている。
イスラエルのニュースサイト『タイムズ・オブ・イスラエル』は、シーバ・メディカル・センターの責任者が「ワクチンはアルファ株とデルタ株に対しては優れているが、オミクロン株に対しては十分ではないということだ 」と述べたと伝えている。そして、重症化リスクの高い人に4回目の予防接種をするのは良い考えだとしながらも、60歳以上に予防接種を行っている現在の接種キャンペーンを、より高齢の人向けに行うように修正する必要があるのではないかと示唆したと報じている。
現地メディアは、イスラエル保健省がシーバ・メディカル・センターによる初期の試験結果の公表を好まず、病院側が圧力を受けて新たに声明を発表したと報じている。ナフタリ・ベネット首相は、データが不足しているにもかかわらず、イスラエルの4回目投与プログラムの拡大を推し進めており、16日の夜の時点で、50万人以上のイスラエル人が4回目の接種を受けている。保健省は先月、60歳以上のイスラエル人、免疫不全者、医療従事者に4回目のワクチン接種を開始した。
なお、シーバ・メディカル・センターは、健康な別の病院勤務者150人のグループに、モデルナのワクチンの4回目の試験接種を行ったが、モデルナでも、同様の結果が得られたという。
イスラエル紙『ハアレツ』によると、オミクロン株は感染してから最初の3日間が最も感染力が強く、80%から85%が最初の5日間のうちに感染していることが分かってきた。これを受けて、イスラエル政府は感染者の隔離時間を7日から5日に短縮することを決定した。
ベネット首相は、感染者や隔離されている人の数が多いことが「経済に大きな負担を与えている」とし、この変更は国民の健康を守ると同時に経済活動を可能にするものであると説明している。
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