トランスジェンダー女性の競泳選手として初めてのシーズンで、ペンシルバニア大学4年生のリア・トーマスさんが、先週末に開催された2021年ジッピー・インビテーショナル大会で、女子アイビーリーグの2つの記録を達成した。男性として生まれた選手が女性に転換して女子競技に参加することの是非が再び問われている。
米
『ニューズマックス』によると、大学4年生のトーマス選手は、米オハイオ州のアクロン大学で開催された競泳大会で、3種目で優勝し、同大学記録を3つ、アイビーリーグの記録を2つ更新した。500メートル自由形では、4分34秒06のタイムで優勝し、アイビーリーグの記録と学校の記録を更新した。その後、200メートル自由形では1分41秒93の全米女子ベストタイムを記録し、さらに1650メートル自由形では15分59秒71の大学記録を達成した。
トーマス選手は、全米大学体育協会の女子水泳に出場した初のトランスジェンダーであり、トランスジェンダーの学生アスリートとして全米選手権で優勝する可能性が高いと見られている。
英『デイリーメイル』によると、トーマス選手は、1650メートル自由形では、他の選手を引き離し、2位だった選手と38秒差をつけて優勝したという。トーマス選手の優勝タイムは、2017年に米国のオリンピックチャンピオンであるケイティ・レデッキー選手が記録した世界記録15分3秒31から1分以内に迫っている。
米競泳雑誌『スイミング・ワールド・マガジン』は、多くの競技で、女性から男性に転換したアスリートが男子プログラムで競う方が、男性から女性に転換して女子チームで競うよりもハードルが低いと報じている。女性として生まれた場合、生まれながらの男性よりも身体的に不利になるというコンセンサスが得られているため、男子プログラムに参加する前にホルモン治療を受ける必要が求められず、公平性も問題視されない。一方、男性から女性に移行したアスリートが女性の競技に参加する際、ホルモン治療は男性に生まれたことによる固有の利点を中和するものではないとも考えられている。
米国水泳連盟をはじめとする多くのスポーツ団体は、男性から女性に転換したアスリートに競技参加の機会を与えるための最善の方法を決定するのに苦労している。近年、米国水泳連盟は、トランスジェンダーを優先的に受け入れるための意識的な努力を行ってきたが、トランスジェンダーの女性の参加は依然として論争の的となっており、各方面から強い意見が寄せられ、何が正当とされるのかについてのコンセンサスは得られていない。
米『ワシントンエグザマイナー』は、トーマス選手の記録更新については非難の声が上がっていると伝えている。スポーツパフォーマンスコーチのリンダ・ブレードさんは、「女性の記録が破られるのは当然だ。トーマス選手はこれまで全米大学競技協会で3年間男性として競技していた。これは正しいことではない。」とツイートしている。
スポーツ/政治サイト「Outkick」の創設者であるクレイ・トラヴィスは、「不条理だし、馬鹿げているし、許されるべきではない。女性は生物学的な男性に負けるべきではない。特に、女性と名乗ることを決める前に大学の水泳チームで競うほど優秀だった生物学的な男性に対しては。」 とコメントしている。
22歳のトーマス選手は、2017年から2020年まで男性としてペンシルベニア大学の男子チームで泳ぎ、アイビーリーグ選手権では自由形3種目で2位となり、2018-19シーズンにはオールアイビーの控えのメンバーになっていた。また、トーマスは2019-20シーズンのビラノバ大学の大会で、男子500メートル自由形で優勝している。
しかし、トーマス選手はパンデミックの間1年間休んだ後、大学4年生としてペンシルベニア大学の女子チームで泳ぐようになったという。女性に移行して女子チームに参加してから、トーマス選手は優秀な競泳選手から、圧倒的な実力を持つ選手に変わることができた。
閉じる