オーストラリア連邦警察は、一致するDNAの記録が見つからない場合でも、犯罪現場に残されたDNAだけで被害者や犯罪者の特徴を予測することができる画期的な技術を使用していくことを明らかにした。
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『エポックタイムズ』によると、この新しい技術は、オーストラリアの法執行機関としては初めて採用されるもので、犯罪現場で採取されたDNAに含まれる性別、生物地理的祖先、目の色、そして将来的には髪の色などの不変の性質を調べて、個人を絞り込んでいくことを目標としている。
2005年に実用化された「Massively Parallel Sequencing(MPS)」とよばれるDNAの分析方法は、劣化したDNAや複数のDNAを含むサンプルを迅速に解読することができるため、法医学分野でこの10年間大きな注目を集めてきた。...
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『エポックタイムズ』によると、この新しい技術は、オーストラリアの法執行機関としては初めて採用されるもので、犯罪現場で採取されたDNAに含まれる性別、生物地理的祖先、目の色、そして将来的には髪の色などの不変の性質を調べて、個人を絞り込んでいくことを目標としている。
2005年に実用化された「Massively Parallel Sequencing(MPS)」とよばれるDNAの分析方法は、劣化したDNAや複数のDNAを含むサンプルを迅速に解読することができるため、法医学分野でこの10年間大きな注目を集めてきた。従来のDNAプロファイリングでは2つのサンプルを比較して一致するかどうかを判断するだけだったが、MPSでは警察が容疑者の全体像を把握し、外見だけで犯人を特定することができるようになる。これは、行方不明者や身元不明の遺体を特定する可能性を高めることが期待されている。
連邦警察法医学部門のMPS主任研究員であり、キャンベラ大学の非常勤講師でもあるポール・ロフィー氏は、MPSの機能は将来的に拡大し、より詳細なプロファイルの予測が可能になると述べている。「今後10年間で、我々のチームは、年齢、肥満度、身長などの特徴を含む予測機能を拡張することを検討している。また、目と目の間の距離、目、鼻、耳の形、唇の膨らみ、頬の構造など顔の指標について、詳細な予測を提供する機会も模索していく」と述べている。なお、連邦警察は、バイオテクノロジーに対する国民の信頼を維持し、遺伝子情報を保護してプライバシー侵害を防止する施策も導入することも明らかにした。
豪ニュースサイト『News.com.au』によると、オーストラリアでは2500人以上の人が行方不明になっており、連邦警察は、数十年前の骨や歯など数百の遺体を検査するために、全国規模のMPS分析プロジェクトを立ち上げたという。最新の科学捜査技術で分析することで、長年未解決のままとなっている行方不明事件の解決が出来ることが期待されている。このプログラムでは、キャンベラにある研究所に法医学の専門家チームを集め、850の未確認の遺骨を長期行方不明者と結びつける試みが行われる。
連邦警察のDNA鑑定専門家であるジョディ・ウォード氏は、行方不明者の家族は何年もの間心の痛みや喪失感に耐えており、今回のプロジェクトは非常に重要だと述べている。「中には70年前に発見された遺骨もあり、何十年も答えを待っている人もいる。この新しい科学捜査技術によって、名前と顔が復元され、家族と再会できることを期待している」と述べている。
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