スペインの人権団体が11月30日に報告書を公表し、中国政府が台湾の市民を中国本土に送還するよう各国に「圧力」をかけてきた結果、これまでに「数百人」の台湾人が中国本土に引き渡されてきたことが判明した。
トルコ紙
『デイリー・サバ』によると、2016年から2019年にかけて、「台湾の主権を弱める」ために、600人以上の台湾人が様々な国から中国の要請で中国本土に送還されてきたと、マドリードを拠点とする人権団体「セーフガード・ディフェンダーズ」が報告書で発表した。
中国は、民主主義国家である台湾を「自国の領土であり、必要であればいつか武力で奪還する」と主張し、近年、台湾を外交的に孤立させようとしている。...
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トルコ紙
『デイリー・サバ』によると、2016年から2019年にかけて、「台湾の主権を弱める」ために、600人以上の台湾人が様々な国から中国の要請で中国本土に送還されてきたと、マドリードを拠点とする人権団体「セーフガード・ディフェンダーズ」が報告書で発表した。
中国は、民主主義国家である台湾を「自国の領土であり、必要であればいつか武力で奪還する」と主張し、近年、台湾を外交的に孤立させようとしている。中国と台湾は2009年、双方の警察が海外の容疑者をそれぞれの領土に戻すことで合意した。しかし、人権団体の報告書によると、2016年に台湾の蔡英文総統が選出された後、北京はこの合意を無視するようになったという。
蔡英文が台湾の明確なアイデンティティを主張しようとする中で、中国はより積極的に台湾に対する主張を公言してきた。「セーフガード・ディフェンダーズ」によると、台湾政府や国連人権理事会が強制的な移送を阻止しようと努力しているにもかかわらず、中国政府はフィリピンやカンボジアを含む各国政府に圧力をかけ、主に通信詐欺で告発された数百人の台湾人を中国に送還してきたという。
報告書は、中国に引き渡された人々は、「恣意的な拘束、拷問、強制的な失踪、テレビによる自白の強要」に直面していると指摘している。スペインは、欧州人権条約に拘束されているにもかかわらず、確認された中では強制移送事例が最も多く、200件以上を占めているという。
スペインの裁判所は2017年、中国と台湾の121人の詐欺容疑者グループが中国に引き渡される可能性があるとの判決を下したが、これは中国政府が広めている、台湾を外交的に中国の一部とみなす「一つの中国政策」を土台とした判断となる。
「セーフガード・ディフェンダーズ」は、スペイン政府は、人権に関する公約を「明らかに無視」し、「中国における人権侵害の深刻さを理解していない」と指摘している。対照的にチェコの最高裁判所は昨年、拷問の危険性と中国の劣悪な人権の歴史を理由に、中国による台湾人8人の身柄引き渡し要求を却下した。この報告書を受けて、台湾政府は、海外での刑事事件に関与している台湾人について、中国は「管轄権を持たない」とし、台湾に戻して裁判を受けるべきだと主張している。
米『エポックタイムズ』によると、2016年から2019年にかけて、スペインでは合計219人の台湾人を中国に送還しており、カンボジアでは117名、フィリピンでは79名、アルメニアでは78名、マレーシアでは53名、ケニアでは45名、インドネシアでは18名、ベトナムでは1名が強制送還されている。
報告書の作成に携わった人権団体のシニアアドバイザーであるマイケル・キャスター氏は、エポックタイムズの取材に対し、「根本的な問題は、中国では基本的な人権、すなわち公正な裁判を受ける権利と拷問を受けない権利が認められていないことである。国際的な法規範のもとでは、いかなる個人も、迫害や基本的権利の否定を受ける危険性のある国に送られてはならないと規定されている」。しかし、「中国に強制連行された台湾人の処遇については、さまざまな報告がなされている。懸念されるのは、自白を強要されたケースがあること。また、台湾人が台湾の家族との面会や連絡を拒否されているケースがあること」だと説明している。
キャスター氏は、米国をはじめとする各国政府は、台湾人の自国から中国への送還や引き渡しには応じないことを明確にすべきである」と述べている。「台湾人以外にも、中国の人権問題の深刻さを考慮して、すべての国が中国へのすべての送還と国外退去の一時停止を即時宣言すべきである」と述べている。
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