世界経済フォーラム(WEF、1971年設立)が今年3月に発表した「2021年世界男女格差指数(ジェンダーギャップ指数、GGI、注後記)」で23位と高順位の英国において、この程、議員が議場に乳幼児を帯同して執務することを禁ずる新ルールが設けられた。早速この適用を受けた労働党議員のみならず、庶民院議長(下院議長に相当)等複数の重鎮議員から疑問視する声が上がっている。
11月24日付米
『AP通信』:「英国議員、議場への乳幼児帯同を禁ずる新ルール変更を要望」
複数の英国議会議員が11月24日、ある議員が生後3ヵ月の乳児を帯同して議場入りするのを断られた事態を受けて、このようなルールは変更する必要があるとの声を上げた。
これは、労働党(1900年設立)のステラ・クリージー庶民院議員(44歳)が男児を議場に帯同しようとしたところ、議会運営委員会から不許可とする通知文を受けたことに伴う事態である。...
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11月24日付米
『AP通信』:「英国議員、議場への乳幼児帯同を禁ずる新ルール変更を要望」
複数の英国議会議員が11月24日、ある議員が生後3ヵ月の乳児を帯同して議場入りするのを断られた事態を受けて、このようなルールは変更する必要があるとの声を上げた。
これは、労働党(1900年設立)のステラ・クリージー庶民院議員(44歳)が男児を議場に帯同しようとしたところ、議会運営委員会から不許可とする通知文を受けたことに伴う事態である。
同議員は、以前男児及び姉である幼児を帯同したときは問題とならなかったのに、9月に制定された新ルールで帯同禁止とされたことに遺憾の意を表明した。
同議員は『BBCニュース』のインタビューに答えて、“このような制限は、母親の政治参加を阻むもので、家族に寄り添うとの当国の政治姿勢を棄損する過ちだ”と非難した。
保守党(1894年設立)の庶民院議員であるドミニク・ラーブ副首相兼司法大臣(47歳)は、議会運営委員会が決めたルールだとしながらも、クリージー議員に“大変同情する”と語った。
同副首相は、“21世紀の現代に相応しい、政治のプロとしての政策業務に勤しむようにするのと同時に、仕事と家族との時間調整をうまく運べるようにできることが望ましい”と付言した。
一方、緑の党(1973年設立)のキャロリン・ルーカス党首(60歳)は、乳幼児帯同禁止ルールなど“バカげた”ものだとした上で、乳幼児の方が、“議会後方席でヤジを飛ばしたりして騒々しい多くの平議員に比べてよっぽど(議会運営を)邪魔しない”と酷評した。
また、元労働党のリンジー・ホイル庶民院議長(64歳)は、世間一般に比べて“違和感が拭えない”ので、議会運営委員会に対して当該ルールの再考を要請した、と述べている。
その上で同議長は、“乳幼児や小児を持つ親たちが、庶民院議員としての仕事に問題なく注力できるようにすることが重要である”と強調した。
同日付英国『ザ・サン』紙:「乳幼児を持つ労働党議員の要求で議会への乳幼児帯同禁止ルール見直しへ」
労働党のクリージー庶民院議員は議会運営委員会に対して、“乳幼児を持つ議員であっても政治参加ができるようにする必要がある”として、(議場への乳幼児帯同禁止という)前近代的なルールの見直しを要求した。
同議員はその後、ホイル庶民院議長が同ルール見直しを指示したとのニュースを聞いて歓喜した。
更に、ボリス・ジョンソン首相(57歳)も刷新することを支持する姿勢をみせている。
庶民院議会報道官は、“乳幼児を抱える母親や父親の議員にとって、このルールによって困難が生じることをよく理解した”とした上で、“代理投票制度等含めて、現代において必要とされる家族に寄り添った態勢が取れるよう対応する”とコメントした。
ただ、保守党のスコット・ベントン庶民院議員(34歳)は、“手当てが少額でも、(ベビーシッター雇用等)子供たちのために必要な手はずを整えて、就業している親たちがいる”とした上で、“クリージー議員は何故特別扱いされる必要があるのか”と同議員を攻撃するツイートを投稿している。
これに対して、クリージー議員は、庶民院議員が産休を当然取れるような制度となっていないと反論している。
(注)GGI:WEFが毎年発表している、世界各国における男女格差を測る指数。この指数は、「経済」「政治」「教育」「健康」の4つの分野のデータから作成。今年3月公表の2021年GGI(評価対象156ヵ国)では、上位5位は北欧4ヵ国及びNZが占め、日本は、ロシア(81位)、韓国(102位)、中国(107位)等を下回る120位と、イスラム国家、開発途上国並みの低評価。なお、その他主要国では、ドイツ(11位)、カナダ(24位)、米国(30位)、オーストラリア(50位)となっている。
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