イタリアでは、美術館、劇場、スポーツジム、レストランなどへの入場、長距離列車やバスなどの利用にワクチンパスポート「グリーンパス」の提示が必要とされていたが、10月15日より、全労働者もグリーンパス提示が義務化された。それに伴い、病気休暇が爆発的に増加していることが、社会保障当局の発表で明らかになった。
仏
『ルモンド』紙によると、イタリアでは、出勤時にグリーンパスの提示が義務づけられた10月15日以降、病気休暇が爆発的に増加している。AFP通信が入手した数字によると、10月15日に医師から発行された病気休暇の診断書は9万4113枚で、1週間前の7万6836枚と比べて約28%増加した。10月15日より、グリーンパス提示を拒否した場合、給与差し止めとなる可能性があるが、病気休暇の診断書を提出することで、給与を維持したまま仕事を休むことができる。
10月18日には19万2174人分の病気休暇が認められ、1週間前の16万5061人と比較して約16.4%の増加となった。また、政府のウェブサイトによると、グリーンパスの義務化により、自宅でもできる抗原検査の件数が大幅に増加し、18日に90万件以上、19日に約60万件、20日には80万件の検査が実施された。
イタリアでは昨年12月に新型コロナワクチンの投与を開始し、現在、12歳以上の約82%の人が完全にワクチンを接種している。
『ユーロニュース』によると、12歳以上のイタリア人の85%以上が少なくとも1回の接種を受けているものの、さらに300万人の未接種者が職場への入場を拒否される恐れがあるという。雇用者団体であるイタリア運輸・物流総連合会(Confetra)のイバノ・ルッソ事務局長は、トラック運転手、宅配便業者、倉庫作業員など合計90万人のうち、25~30%がグリーンパスを持っていないと述べている。イタリアでは、未接種者の人を中心に、今回の義務化に対して、抗議活動を行っている。
一方、米国ではバイデン政権が、ワクチンパスポートではなく、ワクチン接種を連邦行政機関全職員だけでなく民間の大企業従業員にも拡大したことにより、全米で多くの人が解雇または離職に直面している。米『ビジネス・インサイダー』によると、財務管理局(OFM)は19日、ワシントン州の1800人以上の職員が、ワクチン未接種のために解雇または離職したと発表した。英『BBCニュース』によると、シカゴ警察の約13000人の警察官のうち3分の1近くが、ワクチン接種の有無の登録を拒否しており、解雇の対象となっている。
米『ABCニュース』によると、何百人もの医療従事者が全米で解雇されたか離職したという。疫学者でハーバード・メディカル・スクール教授のジョン・ブラウンシュタイン氏は、医療従事者の解雇や離職数は全体的には大きくないものの、「この時点で誰かを失うわけにはいかない」と指摘している。「医療従事者が不足している中、緊急ではない手術や問題行動の治療が延期されており、医療に対するニーズが高まっている。どのような影響であっても、医療システムへの圧力はさらに大きくなるだろう」と述べている。
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