ロシア第2の都市、サンクトペテルブルクの野党の候補者が、自分と同姓同名で似たような外見を持つ2人の候補者が、自身の地方議会の議席を奪うために選挙に参加したとして、ツイッターで非難している。
露メディア
『ロシアトゥデイ』によると、ボリス・ヴィシネフスキー氏は、2011年から同市議会の野党「ヤブロコ」の党首として議席を保持している。今月末に予定されている選挙を前に、ヴィシネフスキー氏は7月に、2人の候補者が自分と同姓同名で立候補していることに気が付き、自身の再選を「妨害するための候補者」が立てられたとして非難の声を上げた。選挙が近づいたことで、その2人の写真が選挙ポスター掲示板で公開されたところ、驚くほど現職に似ていることも明らかになった。
ボリス・ヴィシュネフスキー氏は5日、自身のツイッターアカウントに投稿し、2人の対戦相手達が名前を変えたり顔の毛を伸ばしたりして、投票者たちを混乱させようとしていると非難した。「私と瓜二つの2人は、名字と名前を変えて、さらには外見を変えた。髭を生やしたり、口ひげを生やしたり、顔写真に修正も加えたりしているようだ」と書いている。
ロシア語圏の人名は「名前・父称・姓」からなっているが、3人の違いを見分ける最も簡単な方法は、それぞれの異なった父称を確認することだという。なお、対戦相手達は、もともとはビクトール・ビコフとアレクセイ・シュメレフという名前であったことが分かっている。
こうした戦術は、サンクトペテルブルクをはじめとするロシア政界に長く存在してきたものだという。2015年に、市の立法議会で「成長」党の党首であるベテラン政治家オクサナ・ドミトリーヴァに対して同じ戦術が使われた。ドミトリーヴァは3万1千票を獲得し、2人の妨害候補者たちは合わせて9千票近く獲得した。その結果、連合ロシア党のミハイル・ロマノフが40834票で勝利した。
英『ガーディアン』によると、ヴィシネフスキー氏と瓜二つの対戦相手達は、どちらも公にキャンペーンを行っておらず、いまだに公の場に姿を現していない。選挙ポスターが掲示された今週までは、どのような外見であるのかは不明であった上、実物がどうなのかという点でも、誰も確認が出来ていないという。
ヴィシネフスキー氏は、対戦相手達達が自分に対抗して出馬した動機はわからないとしながらも、「彼らは何の見返りも無しにこのような恥ずかしい思いをすることに同意したとは思えない。」と述べている。
『MSNニュース』によると、中央選挙管理委員会の責任者であるエラ・パンフィロワ氏は、この状況を「不名誉なこと」であり「有権者を馬鹿にしている」としながらも、ほとんど何もできないことを示唆した。ロシアの選挙法は「非常にリベラル」であり、ボリス・ヴィシュネフスキー氏という名前で誰でも立候補できてしまうという。
ロシア当局は、野党や独立メディアに対する弾圧を強めており、2月にはプーチン大統領の批判者であるアレクセイ・ナヴァルニー氏を投獄し、その後、同氏の組織を非合法化した。
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