来冬の開催が迫る北京冬季大会については、米国を中心に西側諸国の間では、中国の人権問題等を理由として要人の派遣をボイコットする話が飛び交っている。その上で、中国自身がこれまでどおり、台湾・香港からの独立したオリンピック・アスリートの派遣に同意するかとの懸念があったが、この程国際オリンピック委員会(IOC)が、オリンピック憲章に則って、従来どおり台湾・香港の独立チームの派遣を歓迎すると宣言した。一方、海外メディアの取材については、東京大会と同様にスポーツ競技以外のネタを報道すると、中国当局から脅しや嫌がらせをされる恐れがあるとほのめかしている。
8月1日付
『ロイター通信』:「IOC、台湾も香港も2022年北京冬季大会参加を歓迎と宣言」
IOCは8月1日、来年2月に北京で開催される2022年冬季大会について、台湾も香港もこれまでどおり独自チームの派遣が可能である旨宣言した。
北京は2015年、オリンピック史上初めて夏季・冬季両大会を主催することが認められた。
IOCのクリストフ・ドュビ競技統括理事(2007年就任)は、“2022年冬季大会招致決定時、中国はオリンピック憲章に忠実に従うことを確認している”とし、“従って、従来どおり、台湾及び香港が独自チームを編成して参加することに異議を唱えるはずがない”と言及した。...
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8月1日付
『ロイター通信』:「IOC、台湾も香港も2022年北京冬季大会参加を歓迎と宣言」
IOCは8月1日、来年2月に北京で開催される2022年冬季大会について、台湾も香港もこれまでどおり独自チームの派遣が可能である旨宣言した。
北京は2015年、オリンピック史上初めて夏季・冬季両大会を主催することが認められた。
IOCのクリストフ・ドュビ競技統括理事(2007年就任)は、“2022年冬季大会招致決定時、中国はオリンピック憲章に忠実に従うことを確認している”とし、“従って、従来どおり、台湾及び香港が独自チームを編成して参加することに異議を唱えるはずがない”と言及した。
中国はこれまで、台湾を“中国の一部”と見做しており、オリンピック参加に当たっては、「チャイニーズタイペイ」と呼称するよう求めてきている。
そして、最近では、武力を用いても台湾を統一するとまで明言しており、台湾海峡へ頻繁に戦艦・戦闘機・爆撃機を派遣していて、いつでも実力行使ができる態勢を整えている。
また、香港についても、中国は昨年来、1997年返還時に認められた自治権を脅かす行為を繰り返しており、民主的活動が実質的に困難に陥っている。
かかる背景から、中国政府が、2022年冬季大会には台湾・香港の独自チーム参加を受け入れない可能性があると懸念されていた。
しかし、IOCのマーク・アダムス広報担当理事(2009年就任)も、“チャイニーズタイペイも香港も、IOC加盟の独立したオリンピック委員会である”として、これまでどおりの参加が認められると強調した。
なお、中国は、2008年北京夏季大会開催時には、台湾も香港も独立チームとして受け入れている。
一方、8月2日付『AP通信』:「IOC、北京大会で競技関連の報道は良いが、それ以外については要注意と警告」
IOCはこの程、6ヵ月後に迫った北京冬季大会について、純粋にスポーツ競技のみが求められ、その他政治的主張等は認められないと改めて釘を刺した。
これはIOCの指針と見做されるであろうが、各国のメディアにとっては重要な関心事になる。
何故なら、彼らは目下東京大会における取材を通じて、競技以外の事態を報道することにも熱心であることから、当然北京大会においても、中国の生活様式等も報道対象としたいと考えるからである。
しかし、IOCの指針の裏を読み解けば、もし海外メディアが、中国政府にとって否定的と捉えられるような報道をすれば、非難の声どころか、脅しやいやがらせをされる恐れがあると考えざるを得ないであろう。
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