北大西洋条約機構(NATO)加盟国、欧州連合、オーストラリア、ニュージーランドと日本は19日、中国のサイバー攻撃に関して、一斉に非難声明を発表した。声明はそれぞれの国で個別に出されたものの、各国とも共通の見解を発表し、中国に対してサイバー空間での「責任ある」行動を求めた。
『AFP通信』は、これまでに最も多くの国が協力して中国のデジタル活動を非難したと伝えている。ただし、制裁や報復の発表を伴っていないため、専門家はその影響は限定されていると指摘している。
米国のバイデン大統領は、中国当局がサイバー攻撃の犯人を「保護」しており、さらには「攻撃を可能にするための手段を与えている」と厳しく非難した。ブリンケン国務長官は、中国の「サイバー空間における無責任で破壊的、かつ混乱を招こうとする行動は、米国とそのパートナーの経済と安全保障に大きな脅威を与えている」と付け加えた。...
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『AFP通信』は、これまでに最も多くの国が協力して中国のデジタル活動を非難したと伝えている。ただし、制裁や報復の発表を伴っていないため、専門家はその影響は限定されていると指摘している。
米国のバイデン大統領は、中国当局がサイバー攻撃の犯人を「保護」しており、さらには「攻撃を可能にするための手段を与えている」と厳しく非難した。ブリンケン国務長官は、中国の「サイバー空間における無責任で破壊的、かつ混乱を招こうとする行動は、米国とそのパートナーの経済と安全保障に大きな脅威を与えている」と付け加えた。
イギリスのラーブ国務相も「中国政府は組織的なサイバー妨害を止めるべきであり、それができない場合は責任を負わなければならない」と述べた。NATOは、同盟国の声明に「留意した」とし、「我々は、中国を含むすべての国に対し、サイバー空間を含む国際的な義務と約束を尊重するよう求める」という、より控えめな声明を出した。
米政府は、中国政府が「ハッカーを採用して」世界中で攻撃を行っていると非難した。米司法当局は、2011年から2018年の間に企業や大学、政府のシステムに侵入してデータや技術を盗んだとして、「中国国家安全部に所属する」3名を含む計4名の中国人ハッカーを起訴したことを明らかにした。
司法当局によると、ドイツやインドネシアなどを含む様々な国で盗まれた情報には、自律走行車、化学式、遺伝子配列技術などが含まれていたという。米国の高官が匿名を条件に語ったところによると、中国のハッカーは産業上の秘密を盗むことで知られているが、「個人的な利益」を動機としている可能性もあるという。同氏は、中国のハッカーによる民間企業への恐喝の試みや「数百万ドルの身代金要求」を例として挙げた。
EUは、「ハッカーは今日に至るまでセキュリティ上の欠陥を悪用し続けている」と述べ、これがEUにとってセキュリティ上の脅威であり、「大きな経済的損失」であることを強調した。また、APT40およびAPT31(Advanced Persistent Threatの略)と呼ばれるハッカー集団が、「中国国内にいながら、機密情報を盗み出す、あるいはスパイ活動を目的として」攻撃を行っていると非難している。
米『CNBC』によると、米政権の高官は、米国に加え、NATO加盟国、EU、オーストラリア、日本、ニュージーランドなどの国々が、サイバー脅威に関する情報を共有し、ネットワークの防御やセキュリティについて協力していくことを明らかにした。またFBI、国家安全保障局、サイバーセキュリティ・インフラセキュリティ局は、中国政府が雇っているハッカーたちが採用している50の戦術、技術、手順をリストアップした新しい勧告を発表した。
米政府は、3月に発覚したマイクロソフトの企業向け電子メールソフト「エクスチェンジサーバー」への不正侵入が、中国によるものだという正式な見解を示した。少なくとも米国内の3万の企業、世界では数十万の企業が被害を受けたと考えられている。
今回の発表は、バイデン大統領が今夏、NATOやEUの同盟国に中国との対決姿勢を強めるよう働きかけたことを受けたものだという。
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