<ハイライト>(6月23日午後1時現在の総感染者数順)
●欧州連合(EU):医薬品規制局が、米ファイザー・独バイオNテック共同開発ワクチンの域内新規2カ所での増産を承認。
●米国:(1)感染症専門家、COVID-19デルタ株(インドで発見された変異株)の感染者が20%を占めるようになっており、2度目の感染爆発に喘ぐ英国の二の舞になりかねないと警鐘。
(2)ハワイ州知事、7月4日独立記念日前に入境旅行者の制限緩和に否定的。
(3)グアム観光局、ワクチン接種率低調の日本・韓国・台湾からの旅行者に対して、観光を兼ねたワクチン接種サービスを提供。
●トルコ:国産ワクチンTURKOVACが第3段階の臨床試験に進み、間もなく国内接種解禁及び輸出促進に期待。
●ロシア:国内の新規感染者が1ヵ月前の2倍増となり、行動制限強化やワクチン接種促進の号令。
●英国:デルタ株蔓延による2度目の感染爆発に遭い、都市封鎖措置を7月19日まで更に3週間延長。スコットランド首相は、8月9日には全面解除を目指すと表明。
●ドイツ:2回目のワクチン接種は別の種類を推奨するとの方針の下、アンゲラ・メルケル首相(66歳、2005年就任)が、1回目の英国アストラゼネカ製ワクチン接種だったのに対して、2回目は米モデルナ製ワクチンを接種(編注;昨日の報道では、オーストラリア政府は、治験がないことを理由に、2回目も同じ英国アストラゼネカ製ワクチン接種を提唱)。
●イスラエル:ナフタリ・ベネット新首相(49歳、新右翼党首、元経済相・国防相)、国内ワクチン接種率は高いものの、変異株ウィルスによる感染拡大を懸念して、水際作戦強化を指示。
<EU>
・欧州医薬品庁(EMA、1995年設立、英国のEU離脱を受けて2019年に本拠をオランダ・アムステルダムに移転)は6月22日、米ファイザー・独バイオNテック共同開発ワクチンについて、ラインベーク(ドイツ北部)及びシュタイン・アム・ライン(スイス北端)の新規2カ所での増産を承認。
・EMAは先月、上記ワクチンを12~15歳の年少者に投与することを承認済み。
・欧州疾病予防管理センター(2004年設立)によると、上記ワクチンは2億4,260万回分域内各国に配分され、既に2億2,300万回分が接種済み。
<米国>(感染者3,366万5,482人、死者60万7,476人、致死率1.8%)
(1)アンソニー・ファウチ米国立アレルギー・感染症研究所長(80歳、医師・免疫学者)は、COVID-19デルタ株の感染者が20%を占めるようになっており、このままいくと2度目の感染爆発に喘ぐ英国の二の舞になりかねないと警鐘。同所長は、米国内で接種を進めているワクチンは同変異株にも有効なので、ワクチン接種を推奨。
(2)ハワイ州のジョシュ・グリーン副知事(51歳、2018年就任)は、観光業再活性化のため、現行の入境旅行者へのワクチン接種証明等の条件を7月4日独立記念日前に緩和するよう要請するも、デービッド・イゲ知事(64歳、2014年就任)は6月21日、否定的コメント。同知事は今月初め、同州住民のワクチン接種率が60%に到達しない限り、制限緩和は無理と発言。
(3)グアム観光局が、ワクチン接種率低調の日本・韓国・台湾からの旅行者や東アジア在住の米国民に対して、観光を兼ねたワクチン接種サービスを提供すると発表。地元紙『パシフィック・デイリィ・ニュース』(1950年刊行)によると、早速台湾からの第1陣の3人の旅行者が到着してワクチン接種予定。
<トルコ>(感染者538万1,736人、死者4万9,293人、致死率0.9%)
・同国のレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領(67歳、2014年就任)は、新規に開発された国産ワクチンをTURKOVACと命名したと発表。
・6月22日、同ワクチンの第3段階の臨床試験として、同大統領、ファレッティン・コジャ保健相(56歳)及び医学教授らが見守る中でボランティアの男性に投与。
・同国は目下、中国シノバック製、米ファイザー・独バイオNテック共同開発、及びロシア製スプートニックVワクチンを使用しているが、同国産ワクチンの安全性・有効性が証明されれば、国内接種はもとより他国向けの輸出を促進意向。
・同保健相は、国産ワクチンは“トルコの誇り”となると強調。
<ロシア>(感染者535万919人、死者13万347人、致死率2.4%)
・モスクワのセルゲイ・ソビャーニン市長(62歳、2010年就任)は6月22日、同市内の一日の新規感染者が6,555人と1ヵ月前から倍増したとし、“事態は大変深刻”と警鐘。
・同国全体でも1万6,715人と、同様1ヵ月前の倍。
・そこで同市長は、現在500人以上の観戦が許されていた娯楽やスポーツイベントを一切禁止するとし、更に6月28日以降、市内のレストラン・カフェ・バーの顧客に対して、ワクチン接種証明、直近6ヵ月内のCOVID-19感染後の快復、もしくは72時間以内の陰性証明を義務付け。
・また、ロシア国民はワクチン接種に消極的で接種率は依然13%以下であることから、モスクワ市当局は、小売業・教育関連及びその他サービス業の従事者にワクチン接種を義務付け。
<英国>(感染者465万1,988人、死者12万8,008人、致死率2.8%)
・同国のボリス・ジョンソン首相(57歳、2019年就任)は6月14日、6月21日に解除するとしていたイングランドカントリーの都市封鎖措置を7月19日まで延長することを決定しているが、6月22日の全国の新規感染者は1万1,625人と今年2月19日以来の最多を更新。
・スコットランドカントリーのニコラ・スタージョン首相(50歳、2014年就任)は、ジョンソン首相の方針に沿って、スコットランドにおいての都市封鎖措置の解除を同様に7月19日まで延期する決定をしているが、8月9日には全面解除を目指すと表明。
・なお、英国全体でも、新規感染者に占めるデルタ株が90%超となり、2度目の感染爆発が進行中で、国を挙げてワクチン接種促進に注力。
<ドイツ>(感染者374万1,685人、死者9万953人、致死率2.4%)
・同国政府は6月22日、アンゲラ・メルケル首相が、4月16日に1回目の英国アストラゼネカ製ワクチンを接種していたが、数日前(6月19日前後)に2回目は米モデルナ製ワクチンを接種した旨発表。
・同政府は4月、1回目にアストラゼネカ製ワクチンを接種した人は、2回目には別の種類のワクチン接種を推奨すると表明しており、同首相のワクチン接種はこの方針に基づく行為。
<イスラエル>(感染者84万32人、死者6,428人、致死率0.8%)
・同国のナフタリ・ベネット新首相は6月22日、ベン・グリオン国際空港(首都テルアビブ近郊、初代首相に因んで命名)を訪問した際、国内ワクチン接種率は高いものの、変異株ウィルスによる感染拡大を懸念して、マスク着用義務や入国者の検疫強化等を徹底するよう指示。
・その上で同首相は、“変異株の蔓延を新たな危機と捉え、イスラエル国民には、今夏の不要不急の海外旅行を控えるよう求める”と強調。
・同国保健省は、6月22日の新規感染者は125人と4月下旬以来最高値を記録したとし、全国民930万人の55%余りがワクチン接種済みとは言え、新規感染者の中にワクチン接種者がいると警告。
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