・米モデルナ社が6月7日、欧州医薬品庁(EMA、1995年設立、元ロンドン本拠だったが、Brexitを受けて2019年よりオランダ・アムステルダムに移転)に対して、同社製ワクチンの若年層向け接種についての認可申請。認可されれば、米ファイザー社(1849年設立)・独バイオNテック社(2008年設立)共同開発製ワクチンに続いて2例目。
・なお、モデルナ製ワクチンの18歳以上の成人向け接種は、今年1月に認可取得済み。
<インド>(感染者2,890万9,975人、死者34万9,186人、致死率1.2%)
・新規感染率が漸減傾向にあることから、首都ニューデリー等大都市では、6月7日から都市封鎖措置が一部緩和され、商店等の再開(但し、時間短縮条件付き)、デリー地下鉄の50%レベルでの運行開始。
・デリー首都圏のアルビド・ケジリワル首相(52歳)は6月6日、“COVID-19感染抑制が軌道に乗るようになった以上、今後は経済再生に向けて舵を切る必要がある”と表明。
・厳格な都市封鎖措置は、感染爆発の発生した4月から継続していて、その間には医療体制が危機的になるなど緊急事態が継続。
・一方、医療専門家の何人かは、COVID-19感染が収まったとは言えず、また、地方での感染把握等が不十分なことから、安易な都市封鎖緩和措置は危険と警鐘。
<フランス>(感染者565万2,705人、死者10万9,144人、致死率1.9%)
・当局は、感染者数及び入院患者数の減少に伴い、ワクチン接種済みの海外訪問者受け入れ再開を検討しているが、複数の変異株の感染拡大を懸念して感染経路特定に注力。
・保健省のオリビエ・ベラン大臣(41歳)は6月6日、同国南西端のランド県で変異株による複数のクラスターが発生していると発表したが、ただ依然広範囲に感染が拡大した訳ではないので、感染元や経路を特定して感染防止に努めると付言。
・同大臣は更に、デルタ変異株の蔓延が英国で発生していることから、英国からの訪問者に対する入国制限等を施す考えであるとしながらも、“ワクチン接種率向上によって、感染防止の効果が全国的に出てきている”と強調。
<英国>(感染者451万6,892人、死者12万7,840人、致死率2.8%)
・保健及び社会保障省は、目下猛威を振るっているデルタ変異株は、かつて同国で感染が拡大したアルファ株より感染力が40%以上も強いと警鐘。
・同省のマット・ハンコック大臣(42歳)は6月6日、デルタ変異株感染拡大の影響から、6月21日に予定していた都市封鎖措置の解除時期の延期を検討する必要があると付言。
・同大臣は、従って、これまで励行してきた公共の場でのマスク着用、リモートワークの徹底についてまだ暫く継続するよう要請。
・なお当局は、新たな感染拡大防止のためもあって、今週から30歳以下の若者対象のワクチン接種を開始すると発表。
<スロバキア>(感染者39万436人、死者1万2,404人、致死率3.2%)
・当局は5月26日、ロシア製ワクチン、スプートニクⅤを正式に認可。EU内では、ハンガリーに続いて2ヵ国目となるが、EMAは依然未承認。
・なお、同国では、EMAが承認済の米ファイザー、米モデルナ、英国アストラゼネカ(1999年設立)製ワクチンの接種を開始済み。
<中国>(感染者9万1,267人、死者4,636人、致死率5.1%)
・中国南端の広州市(クワンチョウ)当局は6月7日、市民に対して原則市外への移動禁止措置を講じると発表。
・直近で数十人の新規感染者が発生したための措置で、止むを得ない理由で市外移動を求める市民は、48時間以内に取得した陰性証明書提出が必要。
・なお、当局は更に、レストランの屋内飲食制限、集団検疫措置の実施、基礎疾患等がある市民の外出禁止措置も徹底。
・1,800万人の人口を抱える同市の、少なくとも2地区に対して徹底的な制限措置適用。
<タイ>(感染者17万7,467人、死者1,236人、致死率0.7%)
・保健当局は6月7日、国内産の英国アストラゼネカ製ワクチンの配布を開始すると発表。
・しかし、実際には需要に十分応えられず、各病院では数日間の遅延を市民宛に通知。
・原因は、英国アストラゼネカから委託生産ライセンスを取得した国王系のサイアム・バイオサイエンス社(ワチラロンコン国王が株式の大半を保有)の生産体制確保が不十分であること。
・これまでワクチン生産の経験が全くなかった同社に、ワクチン生産・供給を頼り過ぎたためとの非難の声。
・これに対して、プラユット・チャン・オチャ首相(67歳)は6月7日、“ワクチンは予定どおり配布される”と強調。
・当局は、同社の6月のワクチン生産量は600万回分で、7月から11月までは毎月1千万回分、そして12月は500万回分が確保可能と公式発表済み。
(注1)アルファ変異株:中国で最初に発見されたCOVID-19の変異したウィルスで、英国で最初に発見されたもの。国名を冠することで余計な懸念・軋轢が生じることから、WHOがギリシャ文字を冠して呼称することに変更。よって、南アフリカで発見されたウィルスはベータ変異株、インドで発見されたウィルスはデルタ変異株と命名。
(注2)COVAX:COVID-19ワクチンへの公平なアクセスを目的としたグローバルな取り組み。GAVIアライアンス(2000年設立、ワクチンと予防接種のための世界同盟)、WHO、感染症流行対策イノベーション連合(2017年設立、世界規模でワクチン開発を促進するための官民連携パートナーシップ)などが主導。
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