メルケル首相、連邦議会総選挙前に州議会選挙で追い風続く【米・英メディア】(2017/08/06)
ドイツでは今年9月、連邦議会(下院、総数631議席)の総選挙が控えており、4期目を目指すアンゲラ・メルケル首相にとって正念場を迎えている。しかし、今年5月の2つの州議会選挙(州政権代表が連邦参院の表決権権を獲得、連邦参院表決権総数は69)で、メルケル首相率いるドイツキリスト教民主同盟(CDU、注1後記)が同州で連立与党に返り咲いた。そして更に、僅か1議席差で野党となっていた1州で、ドイツ社会民主党(SPD、注2後記)と連立与党を組む緑の党(Green、注3後記)の副代表が脱党してCDUへの鞍替えを発表した。この結果、同州でもCDUが連立与党となる可能性が出てきたことから、メルケル首相への追い風が吹き続いていると言える。
8月4日付米
『ロイター通信米国版』:「ニーダーザクセン州でSPD・Greenの連立政権が過半数割れしメルケル首相に追い風」
ニーダーザクセン州(ドイツ北西部、全16州中の人口順位4位、州都はハノーファー)の議会政権を担うシュテファン・ヴァイル州首相(SPD)は8月4日、1議席を失って過半数割れとなることから、州議会選挙を行う旨発表した。
同州では、連立与党SPD・Greenが僅か1議席(総数137議席中69議席)の優位性で連立政権を組んでいた。...
全部読む
8月4日付米
『ロイター通信米国版』:「ニーダーザクセン州でSPD・Greenの連立政権が過半数割れしメルケル首相に追い風」
ニーダーザクセン州(ドイツ北西部、全16州中の人口順位4位、州都はハノーファー)の議会政権を担うシュテファン・ヴァイル州首相(SPD)は8月4日、1議席を失って過半数割れとなることから、州議会選挙を行う旨発表した。
同州では、連立与党SPD・Greenが僅か1議席(総数137議席中69議席)の優位性で連立政権を組んでいた。しかし、Greenのエルケ・トゥウェステン副代表が、同党の自身に対する処遇に不満を表し、脱党した上で野党のCDUに鞍替えすると発表したことから、与野党の議席数が逆転することになるというもの。
なお、今年5月に行われたシュレースヴィヒ=ホルシュタイン州(ドイツ最北端、人口順位9位、州都はキール)及びノルトライン=ヴェストファーレン州(ドイツ西部、人口順位1位、州都はデュッセルドルフ)の州議会選挙において、いずれもSPD・Green与党連合を破って、CDUが政権を奪い返している。
この結果、SPD・Greenが連立政権を保持しているのは、ドイツ16州のうち、ブレーメン州(ドイツ北西部、人口順位16位)及びハンブルク特別市(ドイツ北部、人口順位13位)州議会のみとなる。
同日付英
『Yahooニュース英国版』(
『AP通信』配信):「ドイツの中道左派、主要州議会において過半数割れ」
ドイツでは9月24日、連邦議会(下院)の総選挙が行われる。アンゲラ・メルケル首相は、そこで過半数を獲得して、首相4期目を目指している。
そしてこの度、メルケル首相率いるCDUにまた追い風となる事態が、主要州のひとつであるニーダーザクセン州(全16州中、連邦参院の表決権数は6と最多)で起こった。すなわち、僅か1議席で過半数を得て連立政権を有していたSPD・Green連立与党から、トゥウェステン議員がCDUに鞍替えすることとなり、与野党保有議席が逆転することになったというもの。
この事態を受けて、ヴァイル州首相は8月4日、議会を解散して有権者に信を問うことになると発表した。具体的選挙投票日は未定だが、連邦議会総選挙に合せる可能性がある。
なお、メルケル首相の最大の対抗馬と目される、SPDのマルティン・シュルツ党首(前欧州議会議長)は、トゥウェステン議員の行動は、同州の中道左派連立与党だけでなく、“有権者に対しても裏切り行為”だと非難した。
(注1)CDU:1950年設立の中道右派の保守主義・キリスト教民主主義政党。2005年から連邦議会の政権与党。
(注2)SPD:19世紀設立の中道左派の社会民主主義政党。CDUと並ぶドイツの二大政党。
(注3)Green:環境主義政党。1998~2005年の間、SPDと組んで連邦議会で連立政権。
閉じる
南シナ海での米中のせめぎ合い再び(3)-米軍爆撃機のFONOPSも日米印合同軍事訓練も中国に苛立ち【米・英・香港メディア】(2017/07/07)
7月3日付Globali「南シナ海での米中のせめぎ合い再び(2)」の中で、“トランプ政権発足以来2度目の”航行の自由作戦(FONOPS)“実施に対して、中国側が深刻な挑発と非難すれば、米国は、北朝鮮問題での米中協調は必要なれど、中国の一方的な海洋進出については容認できないと強硬である”と報じた。そして米国が、2機の爆撃機を南シナ海の中国人工島上空を飛行させたこと、更に、インド洋で始められた日米印合同軍事訓練に対して、中国側の苛立ちは頂点に達したものとみられる。
7月7日付米
『CNBCニュース』(
『ロイター通信』配信):「米軍爆撃機、南シナ海上空を飛行して中国に挑む」
米空軍は7月7日、FONOPSの一環で、B-1B爆撃機2機に南シナ海上空を飛行させたと発表した。同機は前日、東シナ海上空で、日本の自衛隊機と初めての夜間飛行訓練を実施していた。
南シナ海のほとんどが主権範囲にあると主張する中国側から、主権侵害等の非難の声が上がると予想される。...
全部読む
7月7日付米
『CNBCニュース』(
『ロイター通信』配信):「米軍爆撃機、南シナ海上空を飛行して中国に挑む」
米空軍は7月7日、FONOPSの一環で、B-1B爆撃機2機に南シナ海上空を飛行させたと発表した。同機は前日、東シナ海上空で、日本の自衛隊機と初めての夜間飛行訓練を実施していた。
南シナ海のほとんどが主権範囲にあると主張する中国側から、主権侵害等の非難の声が上がると予想される。
同日付英
『Yahooニュース英国版』(
『ロイター通信』配信):「中国、米軍機による南シナ海上空の無許可飛行に反発」
中国外交部の耿爽(ガァン・シャン)報道官は7月7日の定例会見で、米軍爆撃機2機による南シナ海上空の無許可飛行について、FONOPSの名を借りての中国主権への侵害に断固反対すると表明した。
同日付香港
『サウス・チャイナ・モーニング・ポスト』オンラインニュース:「北朝鮮問題が深刻化する中、米軍爆撃機による東・南シナ海上空飛行で中国に苛立ち」
米軍爆撃機による東・南シナ海上空飛行について、米軍関係者は、北朝鮮問題に対して煮え切らない中国側への圧力強化の一環であると表明した。
更に、原子力空母“ニミッツ”を擁する米軍の第7艦隊(西太平洋・インド洋が担当海域)が、7月7日から11日間にわたり、ベンガル湾(インド洋北東部)で日米印合同軍事訓練“マラバル海上訓練2017(マラバルはインド南西部海岸)”を開始した。
第7艦隊のウェブサイト情報によると、“マラバル2017”には原子力空母の他、ミサイル巡洋艦“プリンストン”、ミサイル駆逐艦“ハワード”及びロス・アンゼルス級攻撃型潜水艦も参加して、陸上及び海上での実戦訓練を行うとしている。
閉じる
その他の最新記事