第21回締約国会議(COP21)開会当日、関連会合「ミッション・イノベーション」が開催され、米マイクロソフト共同創業者ビル・ゲイツ氏が出席し、クリーンエネルギー基金を立ち上げた事を発表した。ハイテク分野のリーダー等が”画期的なエネルギー連合”と名付けた基金でクリーンエネルギー研究等に尽力する機関を支援する予定だ。
主にエネルギー研究で重要な、発電、輸送、産業用途、農業の主要な5分野への投資に注力するとしている。 民間からのバックアップで環境問題、貧困問題に挑むチームが結成した。
11月30日付
『WIRED』によると、ビル・ゲイツ氏、マーク・ザッカーバーグ氏、リチャード・ブランソン氏、ジェフ・ベゾス氏、他多数の鬼才なハイテクリーダーが”Breakthrough Energy Coalition(画期的なエネルギー連合)”と名付けられた気候変動と戦うための新たなパートナーシップを結成した事を発表した。グループのメンバーは、彼らの数十億ドルの総純資産の多くを初期段階のクリーンエネルギー企業に投資することを確約した。
ザッカーバーグ氏は日曜投稿のフェイスブックでWIRED(当紙)の2010年掲載のゲイツ氏と同氏の表紙写真を載せ結成を発表し、クリーンエネルギーは世界の他の多くの問題の解決への要だと述べた。
また同氏は「エネルギー問題の解決は、より良い世界を作るための重要な要素である。私たちは、教育や世界平和のような他の課題には、安全なエネルギーと安定した気候のない世界に意味ある進展を望むことはできない。」と述べた。
この発表のタイミングは、バラク・オバマ大統領をはじめとする世界の指導者たちが気候変動に対処するための計画を議論するために招集される、地球規模の気候会議、COP21と一致した。このタイミングは、これ以上なく意義深い。一方で、このタイミングは、エネルギー問題はすべての人に関わるという事実、シリコンバレーでは周知だが、民間部門の助けなしに達成することがないだろうという事を露呈している。
まだ声明は出ていないが、ジャック・マー、メグ・ホイットマン、ジョージ・ソロス、および億万長者の環境保護トム・シュタイアーも同連合に投資する予定である。
彼らは、まず農業や交通機関への資金を提供する。また今後5年間でクリーンエネルギーへの投資を倍増することを公約している米国を含む20カ国関連会合「ミッションイノベーション」への投資に注力する予定だ。
11月30日付け
『WTVR』は以下の様に報じている。
ビル・ゲイツ氏は、オバマ大統領とフランス大統領フランソワ・オランドとパリの気候変動サミットで、彼の新たな試み、”画期的なエネルギー連合”を発表した。この連合は、各国政府、億万長者の慈善家、投資ファンドマネージャーや技術系CEOを含む20以上の公共および民間団体により支援される。
「我々が今日持っている再生可能エネルギー技術は、風力や太陽光のように、進歩を遂げており、ゼロ炭素エネルギーの未来への1つの道である可能性がある。しかし、課題の大きさを考えると、我々は多くの異なる道を探索する必要がある 。それは、我々はまた、新しいアプローチを考案する必要があることを意味する。民間企業が最終的にはエネルギー問題解決の鍵となる開発を手掛けることになるが、その基礎研究は政府の資金提供がどうしても必要となる。」とゲイツ氏は述べている。
政府のデータによると、米国は、エネルギー研究開発には5億ドルを費やしている。これは、医療研究の31億ドル、防衛研究70億ドルと比較して低い。
この基金チームは、資金調達の目標額は設定していないが、大規模なクリーンエネルギーの生産に有望な策に出資するのが目的だとする。広くエネルギーシステム効率を上げる分野への投資、主に、発電と貯蔵、輸送、産業用途、農業の主要5分野に注力するとしている。
同氏は現行のバッテリー技術よりも将来性のある新型の電池、例えば、”フロー電池”等の研究が必要とされると言う。
この連合の最終目標は、新しいクリーンエネルギー技術を促進することで2度以上の気温を抑ええること。そして化石燃料依存を減らし、大規模な経済的利益の可能性を探ること。それにより何百万人の人々が貧困から脱出でき、より多くの人の自立になる。そうすることがエネルギー価格を安定させることにつながる。日常生活の中でエネルギーに頼るようになる人が多くなるから、それが世界経済に大きな影響を与えるであろう、と述べている。
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