7月8日に発表された米国6月の非農業部門雇用者数は前月比で28万7千人の増加となり、少なかった5月の増加数1万1千人（改定後）から大幅な増加、市場予想の17万人をも大きく上回った。5月の少ない数字は米国の景気判断を悲観的にし、これに続く英国のEU離脱投票結果も加わって、米国の今後の金利引き上げ見通しを大きく後退させ、これが最近の円高傾向に一層拍車を掛けている。

今回の数字は、英国のEU離脱投票結果の影響が反映されていないし、6月1回だけ数字が良かったからと言って、米国連邦準備理事会（FRB）の利上げ判断が直ぐに変わるものではないだろうが、今回の数字は米国経済はまずまずだという安心感は与えたようである。

7月8日付『ニューヨークタイムズ』は、「上がったり、下がったりの雇用者数が実際に示すもの」という見出しで、金曜日に発表された6月の雇用統計から言える最も重要なことは、労働市場はまずまずということだと報じた。1ヶ月前の5月の雇用統計は、両極化する大統領選挙、不安定な地政学上の動き、各地での騒動に加えて、景気後退も始まったかのように思わせたが、そうではないようなので良かった。6月の強烈な伸びは、5月の少なかった数字同様誇張されており、標本誤差と季節調整の不思議な影響がおそらくあるのであろう。...

7月8日付『ニューヨークタイムズ』は、「上がったり、下がったりの雇用者数が実際に示すもの」という見出しで、金曜日に発表された6月の雇用統計から言える最も重要なことは、労働市場はまずまずということだと報じた。1ヶ月前の5月の雇用統計は、両極化する大統領選挙、不安定な地政学上の動き、各地での騒動に加えて、景気後退も始まったかのように思わせたが、そうではないようなので良かった。6月の強烈な伸びは、5月の少なかった数字同様誇張されており、標本誤差と季節調整の不思議な影響がおそらくあるのであろう。

5、6月の数字の平均である14万9千人は他の最近の景気指標と矛盾しないレベルであり、それほど悪くない。昨年の平均22万9千人を下回ってはいるが、失業率が5％を下回り完全雇用レベルに近づいているので、雇用者数の増加が鈍化して来るのは仕方がない。今年半分過ぎたところで、景気は拡大し雇用も改善しているようである。労働市場は素晴らしくもなく、ひどくもなく、まずまずといったところであると伝えている。

7月8日付『USニューズ＆ワールドレポート』は、「失業率が増加する中、6月雇用者数28万7千人に膨らむ」という見出しで、労働市場の警報はもう沢山だが、金曜日発表の6月雇用者数は、昨年10月以来の28万7千人という膨大な増加となったと報じた。この異常な数字は少なくとも、米国景気が後退し、不景気に突入するという不安は解消してくれるだろうとアナリストは見る。雇用の増加は幅広い業種で見られ、ヘルスケアで5万8千人、専門職で3万8千人、情報産業で4万4千人以上増加した。5、6月平均で14万7千人という数字は良好といわれるレベルの20万人には達していないが、FRBは利上げの議論を始めるだろうから、12月利上げはあるかも知れないというアナリストのコメントを伝えている。

米国共和党のドナルド・トランプ大統領候補の広報担当は6月20日選挙対策本部長のルワンドウスキ氏が退任したと発表した。ルワンドウスキ氏は「トランプはトランプらしく」が信条で、トランプ候補を強いアメリカの大統領候補というイメージに仕立て上げることに成功し予備選挙での勝利を導いたが、時にその攻撃的態度が行き過ぎてメディアの記者への暴行の嫌疑をかけられたこともあり、共和党主流派からは11月の大統領選挙に向けて更に支持基盤を広げるには問題視されていた。

トランプ候補は最近のメキシコ系判事に対する差別的発言やフロリダ州でのイスラム教徒テロ事件後イスラム教徒への差別発言をエスカレートさせたことが裏目に出たのか、世論調査では民主党クリントン候補にリードを許している。このため共和党主流派から強硬路線の変更を求められており、トランプ候補としてもルワンドウスキ氏を更迭することにより少しは軌道を修正する姿勢を見せざるを得なかったのが今回の更迭の背景かと思われる。

ただ米国メディアの見方ではルワンドウスキ氏はトランプ候補の指示に従って動いていただけで、同氏を更迭したからといって選挙運動のやり方が変わることはなく、要はトランプ候補が今後選挙戦をどう持ってゆくかに掛かっている。共和党主流派の考えに近づけば、トランプらしさが失われてしまうが、かといって主流派を無視も出来ないというディレンマにあり、同候補は重大な岐路に立たされている。

6月20日付『ワシントンポスト』は、「何故コーリー・ルワンドウスキ氏更迭がドナルド・トランプの問題の解決とならないか」という見出しで、ドナルド・トランプ候補は月曜日共和党候補の地位を獲得して以来7週間に亘りふらついている選挙運動を変更するために、終にコーリー・ルワンドウスキ氏を更迭したと報じた。更迭の目的は、ルワンドウスキ氏が後から採用したプロの選挙参謀で、共和党主流派との協調を目指すマナフォート氏とおりが合わず、主流派に歩み寄ろうとするトランプ氏が主流派に知られているマナフォート氏を選択した。...

6月20日付『ワシントンポスト』は、「何故コーリー・ルワンドウスキ氏更迭がドナルド・トランプの問題の解決とならないか」という見出しで、ドナルド・トランプ候補は月曜日共和党候補の地位を獲得して以来7週間に亘りふらついている選挙運動を変更するために、終にコーリー・ルワンドウスキ氏を更迭したと報じた。更迭の目的は、ルワンドウスキ氏が後から採用したプロの選挙参謀で、共和党主流派との協調を目指すマナフォート氏とおりが合わず、主流派に歩み寄ろうとするトランプ氏が主流派に知られているマナフォート氏を選択した。トランプ氏が言い続けているが守られていない大統領らしく振舞い、米国が直面している問題に大統領らしく向き合うという変化を見せなければ、自分の分身を更迭するという今回の動きは何の意味もないものであると主張している。

6月20日付『USニューズ＆ワールドレポート』（AP通信引用）は、「トランプ候補、劇的な刷新のため選挙対策本部長を更迭」という見出しで、トランプ候補は月曜日パニックに陥っている共和党主流派を宥め、異例な形の大統領選挙運動の中で起きている内部紛争に終止符を打つために選挙対策本部長を突然更迭したと報じた。ルワンドウスキ氏更迭はトランプの選挙戦が上手くいっていないことを最初に公に認めたものだという共和党の反トランプ派のコメントを伝えている。

6月20日付『ヤフーニューズ』は、「ドラルド・トランプ選挙対策本部長更迭－それで何か変わるか？」という見出しで更迭を報じた。トランプ候補の選挙は政治学の壮大な実験と言える。激戦州でテレビ広告を使わずに勝てるのか。クリントン陣営の経理係ほどの人数の運動員で上手くいくのか。トランプの選挙運動は彼のビジネスのやり方に似ている。本人のメディアへのアピールに頼って経費を切り詰めている。これはルワンドウスキ氏が決めているのではなく、トランプ本人が決めている筈で、選挙対策本部長の更迭で何が変わるだろうと報じている。

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