ニカラグアが台湾と断交
中南米のニカラグアが、「一つの中国」を支持すると表明し台湾と断交する。これを受け、台湾外交部は遺憾の意を表し、台湾の外交権や民主主義を強調。一方、中国の国連大使は「時代の流れに沿った正しい決定」だと評価している。これで台湾と外交関係を持つ国は中南米のホンジュラスとグアテマラを含む14カ国となる。
12月10日付米国
『CNN』:「ニカラグアが台湾との関係断絶」:
ニカラグア政府は世界に「一つの中国しかない」と宣言し、台湾との外交的関係を断絶する。
今月8日、デニス・モンカダ外務相はテレビ中継演説で、「中華人民共和国は中国全土を代表する唯一の政府であり台湾は中国領土の一部だ。ニカラグア共和国は本日をもって台湾と断交し、公的な関係はこれ以降停止となる」と述べた。
台湾の外務省は声明で、断交の一報に「悲しみと遺憾」を表明、「一方的な決定に深い悲しみを覚え残念だ」、「オルテガ政権が台湾との長年の友好関係を軽視したことを残念に思う」と発表。...
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12月10日付米国
『CNN』:「ニカラグアが台湾との関係断絶」:
ニカラグア政府は世界に「一つの中国しかない」と宣言し、台湾との外交的関係を断絶する。
今月8日、デニス・モンカダ外務相はテレビ中継演説で、「中華人民共和国は中国全土を代表する唯一の政府であり台湾は中国領土の一部だ。ニカラグア共和国は本日をもって台湾と断交し、公的な関係はこれ以降停止となる」と述べた。
台湾の外務省は声明で、断交の一報に「悲しみと遺憾」を表明、「一方的な決定に深い悲しみを覚え残念だ」、「オルテガ政権が台湾との長年の友好関係を軽視したことを残念に思う」と発表。
また、「オルテガ政権は、両国の長期友好関係を無視した。非常に残念なことだ。」とし、「台湾は国際社会の一員として、他国との外交関係をもつ権利がある。我々は国益と国民の利益を守るため、地域の平和と安定に寄与し、国際的地位を確立すべく堅実な民主主義を訴え続ける」とコメントしている。
台湾と公式外交のある国は10数か国を残すだけとなった。中南米ではホンジュラスとグアテマラとなる。
12月10日付台湾:『Taiwan News(英文台湾日報)』:「ニカラグアが台湾との外交関係終了」:
中米のニカラグアが外務相のテレビ中継演説で台湾との断交を発表した。
これを受け、外務省(MOFA)は落胆と悲しみを示し、「台湾はニカラグアとは常に忠誠で信頼おける友好関係を保ち、長年にわたり国民の生活向上や国の発展のため協力関係を築いてきた」としている。
同省は、ニカラグアとの外交関係終了に伴い、両国にまたがる相互事業や支援プログラムのすべてを終了し、自治権と尊厳を守るため大使館を閉鎖し、技術チームの人員を退避させると発表している。
同日付『ロイター通信』:「ニカラグアが台湾と断交、中国と同盟へ」:
中国国営メディアは、両国の政府代表者が10日に北部天津市で会談すると報じている。中国の張軍国連大使はニカラグアの決定を歓迎し、ツイッターで「ニカラグア政府の正しい決定を高く評価する。時代の流れと人々の願いに沿ったものだ」と投稿。
台湾との断交は、数か月にわたりオルテガ政権との関係が悪化していた米国にも痛手となる。米国は汚職の疑いで制裁対象となっていたネストルモンカダ・ラウ国家安全保障補佐官への再制裁を決定したとしている。
過去には2019年、南太平洋のソロモン諸島と中央太平洋の島国キリバス共和国が台湾と断交し中国と国交を結んでいる。
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中国、台湾へ接近するリトアニアへの貿易規制
中国が台湾と友好関係を強化するリトアニアへの輸入規制を強化しているという。リトアニアは台湾へワクチン供給を行い、首都に台湾と名の付く代表部を設置することに合意するなど台湾との関係を強化している。規制強化はこれに対する中国政府による報復措置とみられ、また欧州諸国への警告だともされる。
8月26日付英国
『The Guardian』は「中国が台湾に接近するリトアニアとの貿易停止、欧州への警告」との見出しで以下のように報道している。
貿易を外交問題の切り札とする中国が今標的とするのはリトアニア。人口300万人未満で台湾との外交を強化している。中国は、非公式に既に規制対象となっているリトアニアとの貿易規制を更に強化。
リトアニアと台湾は、2国間の関係強化として、互いの国に代表事務所を設置することで合意している。...
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8月26日付英国
『The Guardian』は「中国が台湾に接近するリトアニアとの貿易停止、欧州への警告」との見出しで以下のように報道している。
貿易を外交問題の切り札とする中国が今標的とするのはリトアニア。人口300万人未満で台湾との外交を強化している。中国は、非公式に既に規制対象となっているリトアニアとの貿易規制を更に強化。
リトアニアと台湾は、2国間の関係強化として、互いの国に代表事務所を設置することで合意している。これを受け、中国は中国大使を解任し、リトアニア大使を国外追放とした。台湾の外務省によると、それ以降中国は、リトアニアへの貨物輸送を停止しているという。
農業、畜産、木材産業に至るまで、輸出制限を停止。これは、石炭、ワイン、牛肉輸出におけるオーストラリア等との貿易摩擦に類似している。オーストラリアの経済は中国に深く依存しているが、リトアニアの経済にとり、中国の重要性は低い。しかし専門家は、「中国は報復措置を取ることにより、他国へ台湾問題でレッドラインを超えれば、このような結果となるというメッセージを発信できるのだ」とする。
中国共産党が台湾を統治したことはないのだが、中国は、台湾は奪還すべき中国の属州だと認識をもっており、分離主義政府を批判、台湾を独立国として扱ういかなる支援にも益々敏感になっている。一方EUは中国の人権侵害に批判的立場だが、慎重な路線を取っている。
SOAS中国研究所(SCI)のスティーブ‣ツァン教授は、「中国の姿勢は、中国のイメージを損ない、欧州や世界での立場に影響する。少なくともリトアニアの政策転換は実現しそうにない。EUがこの問題でリトアニアに味方するかだ。EU加盟国で中国との関係を保っている国が数カ国あり、EUがリトアニアに味方するのは容易ではない。」としている。
中国国営メディアや複数の報道機関では、リトアニアを批判し、貿易関係消滅を強調するような報道が行われている。リトアニアの外務省は、中国との関係修復を望むも、EU諸国同様、台湾との有効な相互関係を維持する姿勢を示している。
8月23日付台湾『Taiwan News』は「台湾と関係を深めるリトアニアへ中国が制裁強化」との見出しで以下のように報道している。
中国が、台湾との関係を強めるリトアニアへ追加制裁を科す。政治的緊張が高まる中の貿易制限に、リトアニアの農畜産業や林業界は不満を示している。この貿易摩擦は、リトアニアが首都ビリニュスへ「台湾」と名の付く事務所設置を許可したことが発端となっている。
これを受け、中国はリトアニアから大使を戻し、今月貨物線路を停止措置とした。この報復は、他国への警告とみられている。中国共産党支持紙は、「米国の見方をし、中国を挑発することは、孤立への道となる」とリトアニアを批判。
リトアニアのギタナス・ナウシェダ大統領は、同国がどの国と関係を深めるかは自国の判断だと主張。米国のブリンケン国務長官が、リトアニアの外務相に土曜電話で「米国は中国からの圧力への抵抗を支援している」と述べており、米国はリトアニアを支持している。
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