10月20日付
『ロイター通信』は、「投資家グループ及び労組、現代自動車に対して米部品供給業者の児童労働問題に対処するよう要望」と題して、現代自動車(ヒョンデ、1967年創業)の米国子会社や部品供給業者で問題視されている児童労働禁止法違反行為について、投資家グループ及び労組が各々、可及的速やかなる対応を求める要望書を本社トップ宛に提出した旨報じている。
労組年金基金を運用する投資グループは10月19日、現代自動車トップに対して、同社の評判悪化を回避すべく、同社米国工場向け部品供給業者で問題視されている児童労働禁止法違反行為について、可及的速やかに具体的に取り組むよう要望書を提出した。
2,500億ドル(約37兆2,500億円)余りの総資産を保有するSOCインベストメントグループ(SOC、2006年設立、本社ワシントンDC)が10月19日付で、現代自動車の実質トップの鄭義宣首席副会長(チョン・ウィソン、52歳、高齢の鄭夢九会長(チョン・モング、84歳)を代行)に宛てて出状したものである。
同書簡には、今年7月に『ロイター通信』の調査報道によって、同社アラバマ子会社(SMARTアラバマ社)工場における児童労働禁止法違反問題が公になって以来、投資家の間で大きな懸念事態となっていると書かれている。
更に、上記に止まらず、8月には米労働省(DOL、1913年設立)が、現代自動車アラバマ州現地生産工場向けに部品供給している韓国部品メーカーSL社(1954年設立)傘下のSLアラバマ社を、児童労働禁止法違反容疑で告発するという事態も発生していると指摘している。
同書簡では、“児童労働問題、劣悪な労働環境及び安全軽視は、米国における現代自動車による法令違反であり、結果として世界的に同社の評判を貶める恐れがある”と強調されている。
その上で同書簡は現代自動車取締役会に対して、同社が本件問題に責任ある対応をすること、及び同社供給網における人権・労働問題によって起こり得るリスクについての第三者による評価、その公表並びに監視活動等、具体的行動を起こすようにしっかり監督することを要求している。
SOCからかかる書簡が提出される前、9月には数十の全米・地元労組及び活動家グループから会社側に対して、児童労働を即刻止めるよう要望書が出されていて、先週も全米自動車労働組合(UAW、1935年設立)幹部から同社を厳しく非難する声明が出されていた。
SOCのディーター・ワイゼネッガー専務理事は、SOCは現代自動車の問題の他にも、IT大手のアップル(1976年設立)や電気自動車メーカー大手のテスラ(2003年設立)などに対して、過酷労働やその他福祉問題を改善するよう訴えてきている旨表明している。
なお、『ロイター通信』はこれまで、一連の現代自動車グループに関わる児童労働問題を報じてきた。
これら問題について、現代自動車米国本社のホセ・ムニョス最高執行責任者は10月19日、『ロイター通信』のインタビューに答えて、同社は既に米国供給網における児童労働問題の調査を進めており、同問題が明らかになったアラバマ州の部品供給業者との“関係を断つ”意向であると語った。
これに先立って、同社広報担当のアイラ・ガブリエル氏は、米子会社のSMARTアラバマ社は既に、児童労働者を派遣してきた事業会社とは絶縁していると語っている。
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今年3月中旬、ロシア国営テレビの生放送中に反戦を訴えたロシア人ジャーナリストが、虚偽情報を広めた容疑で自宅軟禁下に置かれていた。しかし、この程当局の追跡を逃れて、安全の場所から無実を訴える動画メッセージを公開している。
10月5日付
『ロイター通信』は、「自宅軟禁下にあったロシア人ジャーナリスト、無実を訴え」と題して、今年3月にロシアによるウクライナ軍事侵攻を非難するメッセージを国営テレビの生放送中に流したロシア人ジャーナリストは、当局によって自宅軟禁下に置かれていたが、この程安全な場所に逃避した上で、無実を訴える動画を公開したと報じている。
ロシア国営テレビのジャーナリストだったマリーナ・オフシャンニコワ氏(44歳)は10月5日、ロシアによるウクライナ軍事侵攻を非難したことで当局から自宅軟禁下に置かれていたが、この程安全な場所に逃れた上で、自分は無実である旨動画メッセージで訴えた。
同氏は、“私は完全に無実であると信じる”とした上で、“ロシア当局が法に則っとり対応することを拒否している以上、私自身も当局の命令に従うつもりはなく、9月30日に自宅軟禁から逃れることとした”と強調している。
同氏は、『テレグラム』(2013年ロシア人技術者が開発したメッセージアプリ)に投稿した動画メッセージで、ロシア連邦刑執行庁(注1後記)に宛てて、ウラジーミル・プーチン大統領(今週末70歳、2000年就任)こそ戦争犯罪者だと訴えた。
同氏は、自身が嵌められていた電磁式くるぶし拘束錠をジェスチャーで示し、“プーチンにこそこれを嵌めさせるべきだ”とも言及した。
同氏の代理人ドミトリー・ザハトフ弁護士は『ロイター通信』のインタビューに答えて、当局は彼女の居場所を特定できていないとしながらも、当局はもし再度彼女を逮捕できたら即刻勾留するとしているとコメントした。
同氏が今年3月に、ロシア国営テレビの生放送中に反戦を訴える行動を取ったことで、ロシア政府は“フーリガン行為(注2後記)”だと非難した。
その上でロシア当局は、ウクライナ軍事侵攻後に新たに制定した「メディア規制法(注3後記)」に準じて、彼女に罰金刑を科した。
しかし、彼女はこれにめげず、国営テレビ局を辞した後、反戦活動家として活動を始め、7月にはクレムリン(ロシア大統領府)のモスクワ川対岸で、一人で反戦デモを行ったが当局によって逮捕され、自宅軟禁下に置かれてしまっていた。
彼女の自宅軟禁期限は10月9日であったが、国営メディア『RT(旧ロシア・トゥデイ)』の10月1日報道によると、彼女は11歳の実娘を連れて自宅を脱出し行方知れずとなっているという。
なお、彼女は裁判所から10月6日の出頭命令を受けていて、審理の結果、最長10年の禁固刑が科せられる恐れがあった。
同日付『ユーロニュース』(1993年開局のテレビ局)は、「生放送で反戦を訴えたジャーナリスト、マリーナ・オフシャンニコワ氏が自宅軟禁から脱出」として、当局の自宅軟禁下から逃れたと報じている。
マリーナ・オフシャンニコワ氏は10月5日、当局による自宅軟禁措置から実娘とともに逃れ、今後当局の審理前拘束命令に従わないと宣言した。
彼女は『フェイスブック』に投稿して、“私は全く無実だと信じているので、当局の自宅軟禁命令には従わない”と訴えた。
彼女は今年7月、クレムリン対岸で、“プーチンは人殺し、ロシア軍はファシスト(独裁者)、ウクライナ戦争で352人もの子供が犠牲”とのプラカードを持って反戦デモを行い、逮捕された上で、審理前2ヵ月間の自宅軟禁命令を受けていた。
なお、彼女が裁判で、「メディア規制法」下での“虚偽情報の流布罪”容疑が認められると、最長15年の禁固刑に処せられる恐れがある。
(注1)ロシア連邦刑執行庁:ロシア連邦司法省が所管する、ロシア連邦における刑務所・拘置所を運営する連邦執行機関で、2004年設立。
(注2)フーリガン行為:サッカーの試合会場の内外で暴力的な言動をする暴徒化した集団をフーリガンと呼び、同等の暴力行為を指す。
(注3)メディア規制法:ロシア軍の行動に関して「明らかな虚偽の情報の流布」や、公の場での「軍事行動の停止の呼びかけや、軍の名誉や信頼を傷つける活動」を禁止する法律で今年3月4日に制定。虚偽の情報を流した場合、最長で禁錮15年。また、外国や国際機関などに呼びかけた場合、最長で禁錮3年。
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