米国防総省;新型コロナウィルス感染者急増の原子力空母艦長からの全乗組員下船・隔離要請を却下【米・ロシアメディア】(2020/04/02)
米国の3月31日の感染者は18万9,633人と2位のイタリアを大きく引き離し、死者も3,899人と2位のスペインに迫る勢いである。そして悪夢のように、洋上の原子力空母乗組員にも感染が広がり、同艦々長は異例の全員下船許可を要請した。しかし、国防総省長官は、“まだ重大局面ではない”とし、かつ、“指揮命令系統”上、自身が直接許可を与えることはできないとして、艦長の要請を却下している。
3月31日付米
『AP通信』:「原子力空母艦長が、新型コロナウィルス感染拡大を理由に全乗組員の下船許可要請」
米原子力空母“セオドア・ルーズベルト”のブレット・クロージャー艦長が3月29日晩、同艦の乗組員の間で新型コロナウィルス感染拡大が深刻化していることから、全員を下船して隔離する措置について、海軍上層部宛に書面で許可申請した。
同艦は目下、グアム港に停泊しているが、約5千人の乗組員のうち、100人以上の感染が認められているとしている。...
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3月31日付米
『AP通信』:「原子力空母艦長が、新型コロナウィルス感染拡大を理由に全乗組員の下船許可要請」
米原子力空母“セオドア・ルーズベルト”のブレット・クロージャー艦長が3月29日晩、同艦の乗組員の間で新型コロナウィルス感染拡大が深刻化していることから、全員を下船して隔離する措置について、海軍上層部宛に書面で許可申請した。
同艦は目下、グアム港に停泊しているが、約5千人の乗組員のうち、100人以上の感染が認められているとしている。
同艦長は、狭い艦内に全乗組員を留めておくことは“不必要なリスク”だとした上で、“戦時下でないところで、乗組員の命を危険にさらせない”と訴えている。
米海軍上層部は3月31日、陽性反応が出ている数十人の乗組員について下船させて隔離すべく努めているとしている。
米海軍のトーマス・モドゥリィ長官代行は『CNN』のインタビューに答えて、“調整は進行中”であり、“同艦の任務遂行をはかりつつ、乗組員をグループ毎に分けて受け入れ可能な隔離施設を準備して隔離”すべく最善を尽くしているとコメントした。
国防総省によると、3月31日朝現在、米軍内の感染者は673人と、1週間前の174人から急増し、3月30日だけで新たな感染者が104人も出ているという。
同省は、3月20日以降10倍増と拡大していることから、海外駐留部隊含めて全兵員の移動を中断させて感染拡大を阻止すべく努めてきている。
なお、米軍は、中東でのイスラム過激武装勢力との戦闘よりも、最近ではアジアに原子力空母打撃軍を配備して、特に東シナ海で勢力を拡大している中国との“覇権争い”に注力してきている。
一方、4月1日付ロシア『RT(ロシア・トゥデイ)』テレビニュース:「米国防総省、空母艦長の感染拡大防止のため全乗組員の下船隔離要請を却下」
同省のマーク・エスパー長官は3月31日、米『CBSニュース』のインタビューに答えて、“感染者の船内隔離や、必要な医療品送達、更には医療従事者を派遣等、可能な限りの手は尽くしている”とした上で、“現状では、全員下船させる段階にない”とコメントした。
同長官は更に、“今現在重篤となった乗組員は皆無”とも付言した。
原子力空母“セオドア・ルーズベルト”は、南シナ海に展開して、同海域での監視航行に当たっていたが、フィリピンで乗船した乗組員のうちの3名に感染が確認されたことから、先週任務を解かれ、グアム港に停泊することになった。
同長官は、メディアインタビューの際、同艦のクロージャー艦長の申請文書はまだ手元にきていないとした上で、“指揮命令系統”に沿った手続きを理由に、同艦長の要請について直にコメントすることは控えると回答した。
一方、同空母の他、目下西海岸に停泊している、強襲揚陸艦“ボクサー”、巡洋艦“コロラド”、及びミサイル駆逐艦“ラルフ・ジョンソン”の乗組員の一部に感染者が出ている。
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米司法省がスノーデン元CIA局員を提訴【米・ロシアメディア】(2019/09/18)
元米連邦中央情報局(CIA)局員のエドワード・スノーデン(ES、36歳、注後記)は、2013年に米国家安全保障局(NSA)による海外要人の盗聴事件を暴露して、米司法当局より指名手配されている。目下は、プーチン政権の庇護の下、ロシアに滞在しているが、今週「パーマネント・レコード」という回顧録を出版することになったことから、米司法省から、元公務員の機密保持誓約等を理由に提訴された。
9月17日付米
『ニューヨーク・ポスト』紙:「米政府、エドワード・スノーデンの新刊本の収益を求めて提訴」
米司法省は9月17日、元CIA局員兼NSA契約職員のESを、機密事項を含む書籍の出版及び機密事項保持誓約違反で提訴した。
バージニア州連邦地裁に提出された起訴状によると、ESは今週、「パーマネント・レコード」という回顧録を出版する予定だが、その中にCIA及びNSA勤務時代に知り得た機密事項を暴露していること、及び書物を発刊する場合に当局から事前の許可を取得していないことを要件としている。...
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9月17日付米
『ニューヨーク・ポスト』紙:「米政府、エドワード・スノーデンの新刊本の収益を求めて提訴」
米司法省は9月17日、元CIA局員兼NSA契約職員のESを、機密事項を含む書籍の出版及び機密事項保持誓約違反で提訴した。
バージニア州連邦地裁に提出された起訴状によると、ESは今週、「パーマネント・レコード」という回顧録を出版する予定だが、その中にCIA及びNSA勤務時代に知り得た機密事項を暴露していること、及び書物を発刊する場合に当局から事前の許可を取得していないことを要件としている。
すなわち、ESがCIA及びNSAで勤務するに当り、機密事項漏洩を行わない等の誓約書に署名しているが、これに違反するとしている。
ES自身は、組織の不正を内部告発したまでだと主張しているが、米司法当局からは、機密情報の窃盗及び機密漏洩の罪で告発されており、それぞれ最長10年の禁固刑が下される。
バージニア州東部地区のザチャリー・ターウィルガー連邦検事は、機密情報は国家及び国民を保護するものであって、個人の収益のために使われることはあってはならないことだとした上で、今回の提訴によって、当該本の収益が一切ESに渡らないようにするものだ、とコメントした。
また、米司法省民事局のジョディ・ハント次官補は、国家安全保障に関わる機密情報は、関係する全ての職員のコンプライアンスに頼るところが大きく、ESの違反行為は許されるものではないと表明した。
なお、米司法当局は、当該本の出版や販売の差し止めは求めておらず、ただ、収益の全てを国家に戻入するよう求めているとしている。
一方、9月18日付ロシア『RT(ロシア・トゥデイ)』テレビニュース:「元CIA内部告発者、米政府によるエドワード・スノーデン提訴は他の内部告発者を黙らせるためだとコメント」
元CIA局員で内部告発者のジョン・キリアコー氏(55歳、ギリシャ系米国人ジャーナリスト)は『RT』のインタビューに答えて、米司法当局がESを提訴したのは、ESを罰するだけでなく、他の内部告発者を黙らせるためだ、と語った。
同氏によれば、以前から元CIA局員らの機密保持に神経を使い、1970年代には、万一本を出版する場合、内容について事前に当局の許可を得るよう義務付けてもいる。
更に同氏は、米司法当局がESの回顧録の出版について提訴したことから、皮肉にも、むしろ同回顧録を宣伝する結果になるという。何故なら、そこには機密情報が掲載されていることが強調されているので、一般大衆は挙って買い求めることになるからである、と付言した。
(注)ES:2013年6月に、中国香港特別行政区で複数の新聞社(ガーディアン、ワシントン・ポスト、サウスチャイナ・モーニング・ポスト)の取材やインタビューを受け、NSAによる国際的監視網の実在を告発。すぐさま、米司法当局から香港政府に臨時逮捕と引き渡しの要請が出されたため、ロシアに逃亡。同年8月、ロシア移民局から期限付きの滞在許可証が発給されてロシアに滞在中。2014年1月、ノルウェーのボード・ソールエル元環境大臣からノーベル平和賞候補に推薦された。なお、ロシア居住許可は2020年まで取得しているが、本人は今年9月、フランスへの亡命希望を表明している。
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