米国、2016年大統領選でのロシア不当介入容疑が固まったとして対ロシア追加制裁準備、しかし内外からは米国こそ民主主義の他国押し売り介入最多と批判の声【米・フランス・ロシアメディア】(2018/02/24)
2月20日付
Globali「言いたい放題のトランプ大統領、2016年大統領選でのロシア妨害工作の容疑者起訴の事態に、当時の大統領オバマ氏に責任転嫁するツイート」で触れたとおり、トランプ大統領自身も、長らく否定してきたロシアによる不当介入について認めざるを得なくなったとみられる。そこで、これまで対ロシア制裁に消極的とみられたトランプ政権も、遂に追加制裁を検討せざるを得なくなった模様である。ただ、これに対して内外の見識者からは、米国こそ自国の民主主義を他国に押し売り介入を頻繁に実施してきたとの非難の声が上がっている。
2月22日付米
『ロイター通信米国版』「米政権、対ロシア追加制裁の検討に着手」
米高官が2月21日に明かしたところによると、トランプ政権が、ロシアによる大統領選不当介入のみならず昨年の壊滅的なサイバー攻撃への報復措置として、新たな制裁を検討し始めたという。
米議会の共和・民主両党とも、昨夏に議会が圧倒的賛成多数で決議した対ロシア制裁について、トランプ大統領が署名して発効させようとしないとして強く抗議していた。...
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2月22日付米
『ロイター通信米国版』「米政権、対ロシア追加制裁の検討に着手」
米高官が2月21日に明かしたところによると、トランプ政権が、ロシアによる大統領選不当介入のみならず昨年の壊滅的なサイバー攻撃への報復措置として、新たな制裁を検討し始めたという。
米議会の共和・民主両党とも、昨夏に議会が圧倒的賛成多数で決議した対ロシア制裁について、トランプ大統領が署名して発効させようとしないとして強く抗議していた。
同高官は、2018年11月の中間選挙への不当介入の可能性も視野に入れて、より効果的な制裁を検討しているため、もう暫く時間がかかるとしている。
なお、ホワイトハウスは先週、2017年6月に発生したサイバー攻撃“NotPetya”ランサムウェアはロシア軍が仕掛けたもので、広く欧州、アジア、米大陸に数十億ドル(数百億円)の損害をもたらしたと発表した。
同高官によると、このランサムウェアにも然るべく対応する必要があるとする。
同日付フランス
『フランス24』オンラインニュース(
『AFP通信』配信):「米ホワイトハウス、対ロシア制裁弱腰との批判を否定し、更に追加の制裁を準備中と表明」
米ホワイトハウス高官は、トランプ政権が対ロシア制裁に弱腰との批判を退け、目下特別チームを組織して、2016年大統領選不当介入の報復措置として新たな制裁を検討していると明かした。
更に、ロシア軍と“深い取引関係”にある如何なる国にも厳しい制裁措置を講ずるとも触れた。北大西洋条約機構(NATO)加盟国のトルコが、ロシア製S-400対空ミサイル防衛システムを購入すると公式発表しているが、これは米軍の制空権を脅かすものであるから、制裁対象に成り得るとしている。
一方、2月21日付ロシア
『RT(ロシア・トゥデイ)ニュース』:「米テレビ討論番組、民主主義促進という“米政府方針”に則り“米国の他国干渉は許容される”と言及」
米
『MSNBCテレビ』の討論番組は、米国がこれまで何度も他国に干渉してきたとするのはロシアのいう“whataboutism(そっちこそどうなんだ主義、注後記)”の主張で偏った見方だとする。何故なら、民主主義の促進は“公にされた米政府方針”だからであるという。
同番組に出演した、元在ロシア米大使のマイケル・マクフォール氏は、ロシアによる米大統領選介入疑惑に関し、米政府の方こそ他国の選挙に介入していると言い訳しているが、それこそプーチン大統領によるテレビでの“whataboutism”の主張に他ならないと表明した。
一方、
『ニューヨーク・タイムズ』紙のジム・ルーテンバーグ記者は、確かに米国は他国の選挙介入してきたことは事実であるが、それは民主主義を促進して邪悪な暴君を打ち負かすために他ならない、と少々譲ったコメントをした。
しかし、上記テレビ討論番組について、ラジオ・パーソナリティのジョン・ゴーント氏は、ばかげたコメントばかりだと一刀両断の上、例えばリビア市民に聴いてみれば判るが、彼らは米国の同国介入を本当に喜んでいるだろうか、と批判した。更に同氏は、米国の介入の方がロシアよりよっぽど性質が悪いとも付言した。
なお、
『ロス・アンゼルス・タイムズ』紙によると、米政府は1946~2000年の間に、少なくとも81度他国の首脳選挙に介入したとする。但し、これには、民主的選挙で選ばれたものの、米政府が評価していない首脳を退陣させるに至ったクーデターなどは含まれない。
米国はこれまで、イラクに侵攻し、リビアを空爆し、シリアに軍事介入してきているが、これらを“干渉”でないとすれば、何と呼べばよいのであろうか。
(注)whataboutism:冷戦時期において、ソ連(当時)が西側諸国対策で使用したプロパガンダの方法。
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米海軍将校、米国及び同盟国の安全保障のため対中戦も厭わず、また、国際法に基づく南シナ海の監視航行も継続すると宣言【米・英・ロシアメディア】(2018/02/18)
2月13日付
Globali「英国防相、航行の自由作戦のため同国フリゲート艦を南シナ海に派遣すると発言して中国から猛反発」の中で触れたとおり、訪豪中の英国防相が、英海軍対潜フリゲート艦を来月南シナ海に派遣し、同海域で航行の自由作戦を実行すると発言した。これに当然のことのように反発する中国に好き勝手はさせまいと、英国の同盟国である米国太平洋軍司令官が、中国の一方的軍事勢力拡大を阻止するため、対中戦も厭わずと勇ましい発言をした。更に、米超大型原子力空母の将校も、インド・太平洋圏における安全保障を確保するため、南シナ海における航行の自由作戦の継続含めて、米国の存在感をみせつけると追随した。
2月16日付ロシア
『RT(ロシア・トゥデイ)ニュース』:「米太平洋軍司令官、望んでいる訳ではないが必要に応じて対中戦の順備をすると発言」
在豪州米大使に任命されている、現太平洋軍司令官のハリー・ハリス大将(61歳)は2月16日に米議会で、中国のアジア太平洋地域における一方的な勢力拡大を思い止まらせるため、必要に応じて対中戦闘準備態勢を取ると発言した。
そして同司令官は、赴任先の豪州について、米同盟国として米太平洋軍の管轄である太平洋地域において、同軍の任務遂行に当り良い支援をしていると称賛した。...
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2月16日付ロシア
『RT(ロシア・トゥデイ)ニュース』:「米太平洋軍司令官、望んでいる訳ではないが必要に応じて対中戦の順備をすると発言」
在豪州米大使に任命されている、現太平洋軍司令官のハリー・ハリス大将(61歳)は2月16日に米議会で、中国のアジア太平洋地域における一方的な勢力拡大を思い止まらせるため、必要に応じて対中戦闘準備態勢を取ると発言した。
そして同司令官は、赴任先の豪州について、米同盟国として米太平洋軍の管轄である太平洋地域において、同軍の任務遂行に当り良い支援をしていると称賛した。
更に同司令官は、もし豪州やその他米同盟国の安全保障が脅かされるような場合には、米軍は対中戦の準備を整える必要があるとも付言した。
ただ、肝心の豪州は、経済上の理由もあって本質的に中国寄りとみられている。
一方、2月17日付米
『ザ・デイリィ・コーラー』オンラインニュース:「米海軍将校、米軍は南シナ海から撤退はしないと中国宛に宣言」
超大型原子力空母“カール・ビンソン”に乗船しているティム・ホーキンス少佐は2月17日、米軍は国際法に則って、今後も南シナ海における航行の自由作戦を継続すると表明した。
同少佐は、米海軍はこれまで70年以上も同海域の安全保障を確保するため監視航行をしてきており、この方針に何ら変更はないと断言した。
2月18日付英
『デイリィ・メール・オンライン』(
『AP通信』配信):「米海軍将校、中国の軍事化が進んでも米軍の監視航行は止められないと発言」
フィリピンに寄港中の米原子力空母“カール・ビンソン”乗組員のホーキンス少佐は2月17日、
『AP通信』のインタビューに答えて、南シナ海で中国が人工島を軍事拠点化しているが、米軍は国際法に則って、同海域の安全保障確保のために今後も監視航行を継続すると表明した。
同少佐は、南シナ海はアジア各国だけでなく、米国にとっても重要な航路であり、これまで米軍が70年以上も空・海両方で監視をしてきたが、今後もこの方針に変わりはないと強調した。
ドナルド・トランプ大統領が政権を取って以降、バラク・オバマ前大統領のアジア重点政策がどうなるのか、特に東南アジア諸国は疑心暗鬼となっていた。
しかし、昨年12月に発表された米国家安全保障戦略において、トランプ政権は引き続きインド・太平洋地域における米国のプレゼンスを維持し、台頭する中国に対抗していくと発表した。
同少佐によると、マニラ港に寄港前に南シナ海を航行した空母”カール・ビンソン”は、航行の自由作戦(中国が主権と主張する人工島の領海内を航行すること)を展開しなかったが、今回はその必要がなかっただけだと語った。
なお、トランプ政権の国家安全保障戦略を受けて、フィリピンと同じく中国との領有権問題を抱えるベトナムのダナン港に、1975年に終結したベトナム戦争以来初めて、同空母を寄港させる方針を打ち出している。
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