米海軍、7年振りに第2艦隊を再編成し、大西洋でロシアに圧力【米・ロシアメディア】(2018/05/06)
4月4日付
Globali「中国とロシア:米国とそれぞれ貿易戦争・外交官追放合戦で敵対している同士が防衛協力強化」で触れたとおり、昨年の米国家安全保障戦略の中で脅威の対象とされた中ロ両国が、益々米国対峙で防衛協力を強化しつつある。そこで米国としては、大西洋海域で勢力を拡大しようとしているロシアを牽制するため、7年振りに第2艦隊(注後記)を再編成し、大西洋での運用に踏み切る旨発表した。
5月4日付米
『Foxニュース』(
『CNNニュース』配信):「米海軍、ロシアとの緊張が高まる中、第2艦隊再編成を発表」
米海軍は5月4日、米東海岸~欧州西岸を含む北大西洋海域における安全保障強化のため、第2艦隊を再編成する旨発表した。中将を司令官に据え、250人の兵員を配属するという。
この目的は、特にロシアが潜水艦を含めた大西洋海域での勢力拡大に対抗するためと、北大西洋条約機構(NATO)との連合軍司令部強化という防衛政策を具現化するためである。...
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5月4日付米
『Foxニュース』(
『CNNニュース』配信):「米海軍、ロシアとの緊張が高まる中、第2艦隊再編成を発表」
米海軍は5月4日、米東海岸~欧州西岸を含む北大西洋海域における安全保障強化のため、第2艦隊を再編成する旨発表した。中将を司令官に据え、250人の兵員を配属するという。
この目的は、特にロシアが潜水艦を含めた大西洋海域での勢力拡大に対抗するためと、北大西洋条約機構(NATO)との連合軍司令部強化という防衛政策を具現化するためである。
国防総省のジョニー・マイケル報道官は『CNNニュース』のインタビューに答えて、
ロシアの大西洋海域での軍事力強化は脅威であり、これに対抗していく必要があるとコメントした。
NATO及び米軍高官も異口同音に、特にロシアの潜水艦部隊は冷戦時以降最大規模となっていると言及している。
なお、ロシアは最近情報収集艦も米東海岸に派遣してきており、また、ウラジーミル・プーチン大統領も、武装無人原子力潜水艇を開発すると発表している。
5月5日付ロシア『RT(ロシア・トゥデイ)ニュース』:「米軍が第2艦隊を再編成し、北大西洋においてロシアとの“大規模軍拡競争”に参戦」
米海軍作戦本部のジョン・リチャードソン司令長官は5月4日、バージニア州ノーフォーク海軍基地における司令官交代式において、特に北大西洋海域におけるテロ対策と台頭するロシア海軍に対峙するため、第2艦隊を再編成すると発表した。
この発表は、今年1月に米国防総省のジェームズ・マティス長官が公にした防衛政策に沿うものである。
米海軍研究所によると、第2艦隊は今年7月1日に再編成され、まず11人の将校と4人の下士官が投入され、最終的には将校85人、下士官164人及び非戦闘員7人の体制になるという。
一方、現在のロシア海軍であるが、規模こそ旧ソ連時代よい小さいが、計り知れない近代装備を備えている。例えば、今年3月、ロシア海軍の原子力潜水艦が米東海岸の偵察に派遣されたが、全く発見されずに通常任務を遂行しており、米海軍高官にとっては脅威となる事態であったろう。
(注)第2艦隊:米海軍が1950~2011年の間、主に北極から南極、米国東海岸から欧州西岸にわたる、大西洋の約9,840km²にわたる領域をカバー。2008年にカリブ海および中南米海域における海軍部隊として第4艦隊が再創設されるまでは、南米の大西洋岸、および中米西岸の一部でも運用。1943年創設の第7艦隊、1946年創設の第6艦隊に次ぐ歴史を有するナンバード・フリートとして知られていたが、2011年9月をもって、国防予算縮減に向けてのコスト削減などを理由として、上級部隊である艦隊総軍(2001年創設)に吸収・解消される形で解散。
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ドイツ、ジェンダー・フリー(男女平等)の観点からカナダに続いて国歌内の歌詞を変更か【米・ロシア・ドイツメディア】(2018/03/05)
ドイツの中道左派で第2党の社会民主党(SPD)の党員投票の結果、中道右派で最大政党のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)との連立政権が継続されることが決定された。戦後最長となる6ヵ月の政治空白が漸く埋められることになり、4期目が期待されるアンゲル・メルケル首相としても大安堵であろう。そこで、女性首脳の政権が更に4年続くことから、ドイツ家族省高官が、国歌の中の歌詞もジェンダー・フリーの観点から変更すべきだと提案した。
3月4日付米
『ABCニュース』(
『AP通信』配信):「父の国との歌詞はなくなる? 男女平等委員会委員長がドイツ国歌の歌詞変更を提案」
ドイツ家族省傘下の男女平等委員会のクリスティン・ローズ=モーリング委員長が3月4日、ジェンダー・フリーの観点から、ドイツ国歌にある“父の国”等の歌詞を変更したいと提案した。
ドイツの週刊『ビルド・アム・ソンタグ』紙(1956年創刊のドイツ最大の日曜紙)は3月4日、同委員長が、“父の国”を“祖国”に、“兄弟のように親愛な”を“勇敢な”と変更するよう求めたと報じた。...
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3月4日付米
『ABCニュース』(
『AP通信』配信):「父の国との歌詞はなくなる? 男女平等委員会委員長がドイツ国歌の歌詞変更を提案」
ドイツ家族省傘下の男女平等委員会のクリスティン・ローズ=モーリング委員長が3月4日、ジェンダー・フリーの観点から、ドイツ国歌にある“父の国”等の歌詞を変更したいと提案した。
ドイツの週刊『ビルド・アム・ソンタグ』紙(1956年創刊のドイツ最大の日曜紙)は3月4日、同委員長が、“父の国”を“祖国”に、“兄弟のように親愛な”を“勇敢な”と変更するよう求めたと報じた。
なお、近年ではオーストリアとカナダが、同様の理由から、それぞれ国歌の一部歌詞を変更している。
3月5日付ロシア『RT(ロシア・トゥデイ)ニュース』:「ドイツ国歌が間もなくジェンダー・フリーの歌詞に変更」
ドイツのアンゲラ・メルケル首相率いるCDUが、SPDとの連立政権を継続して担うことが確定したことから、このタイミングで、ローズ=モーリング男女平等委員会委員長が歌詞変更の提案を持ち出したものとみられる。
しかし、ラインラント=プファルツ州(ドイツ西南部、州都マインツ)のCDU代表のジュリア・クロックナー氏は、歌詞変更より女性にとってもっと重要な課題があるとツイートした。
また、右翼政党、ドイツのための選択肢(AdF)のゴーツ・フロミング氏は、“無遠慮で教養のない提案”だと切り捨てた。
なお、1922年に採用されたドイツ国歌は、第二次大戦後に1番の歌詞が全て削除されている。何故なら、そこにあった“ドイツは何よりも勝る”との歌詞が、ナチス・ドイツによる他国侵略のために利用されたと非難されたからである。
3月4日付ドイツ『DW(ドイツ通信)』:「ドイツ国歌はジェンダー・フリーの歌詞となる?」
ローズ=モーリング男女平等委員会委員長は、SPD所属の政治家であるが、ジェンダー・フリーの観点から、国歌の歌詞の変更と同様、新たに改編される内務省の方針にも沿うものとなると表明した。
第1党のCDU・CSUと連立を組むことになったSPDが、同委員長が所属する家族省の大臣職を得ることになり、また、“祖国”に大いに関心のあるCSUが内務省の大臣職を取ることから、同委員長の提案には追い風となるとみられる。
ただ、これに異議を申し立てる人の多くが、国歌の2番の歌詞の中に、ドイツの忠誠、ドイツワイン、ドイツの歌と共に、ドイツの女性が称賛されているとして、これ以上の歌詞の変更は不要と主張している。
なお、ジェンダー・フリーの観点から、オーストリアでは2012年に、また、カナダでも今年2月初め、それぞれ国歌の歌詞の一部が変更されている。
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