ガソリン価格の急上昇で、通勤方法を模索するフランス人たち(2022/03/30)
燃料価格の上昇が始まって以来、多くのフランス人が車の相乗りや自転車による通勤に切り替えるなど、なるべく安く抑えられる通勤方法を模索している。
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『RMC』によると、ガソリン価格の爆発的な上昇によって、フランスでは車の相乗りのためのアプリで予約数が新記録を更新し続けているという。増加傾向は、燃料価格の上昇が始まった半年前から現れているという。
通勤用の相乗りサービスを提供するプラットフォーム「BlaBlaCar Daily」は、この半年間で50万人の新規加入者を獲得し、現在ユーザーは250万人にのぼる。業界2位の「Mobicoop.fr」も、サイトへの訪問者数が全国で22%急増し、特定の地域ではより顕著な増加を見せている。...
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『RMC』によると、ガソリン価格の爆発的な上昇によって、フランスでは車の相乗りのためのアプリで予約数が新記録を更新し続けているという。増加傾向は、燃料価格の上昇が始まった半年前から現れているという。
通勤用の相乗りサービスを提供するプラットフォーム「BlaBlaCar Daily」は、この半年間で50万人の新規加入者を獲得し、現在ユーザーは250万人にのぼる。業界2位の「Mobicoop.fr」も、サイトへの訪問者数が全国で22%急増し、特定の地域ではより顕著な増加を見せている。オー・ド・フランス地域圏で30%増、フランス西部で38%増を記録した。
仏『ヨーロッパ1』によると、4月1日から燃料1リットルあたり15から18サンチーム(20円~24円)の割引が適用されることが決まっているものの、1リットルの価格が2ユーロ(約271円)を超えることもあり、多くのフランス人は、自宅から職場までの移動を相乗りに切り替えているという。BlaBlaCar Dailyのアドリアン・タオン社長は、特に「燃料費の爆発的な高騰」が起こった3月から、「週に数万人の加入者が、アプリに殺到して相乗りするようになった」と述べている。
仏『BFMTV』は、特に地方に住む車通勤の労働者がガソリン価格上昇の影響を受けていると伝えている。2名の女性と毎日車の相乗りで通勤しているポリーヌ・クージエさんは、「最初は電車で行こうと思っていたのですが、この地域の公共交通機関は壊滅的な状態です。安くないうえに(電車の時間が)勤務時間とまったく合いません。40分早く着きすぎるか、遅刻してしまいます。」と話している。ポリーヌさんはまた「経費のことも考えて、なるべく効率的な移動ができるようにしています。他の2人が出勤しない日は、ヒッチハイクすることまで考えています。費用を抑えるために、週に1日か2日は姉の家に泊まっています。」と話している。
南仏のニースに住む開業看護師のフランツ・ブセギさんは、自動車から自転車に乗り換えて、毎日午前7時から午後7時まで、ニースの街を縦横無尽に走り回るようになった。これで月に80ユーロ(約1万800円)節約できるようになった。しかし、体力勝負の日々が続き、遠方に住む患者さんの訪問を断らざるを得ないこともあるという。
一方、北フランスのムーズ県に住む28歳のオレリアン・ミノさんは小さな自動車販売店で働いている。通勤に1リットル2ユーロを負担することが難しいため、今の職場をやめて自宅に近い場所で仕事を探すことを決意した。3月11日に公開され、Tiktokで130万回以上再生されたビデオで、オレリアンさんはディーゼルの価格が収入の35%近くを占めることになり、「燃料の値段のために辞めるという選択をした」と語っている。BFMTVの取材に対してオレリアンさんは、「以前は、金曜や土曜の夜にレストランに行ったり、たまにはいい洋服を買ったりしていました。今はもう無理です。フランスで、人々がまともに生活するために働くのをやめざるを得ないのは恥ずべきことだ」と述べている。なお、交通費を差し引いた以前の給与よりも、失業手当をもらう方が月末に残る金額が多くなると見積もっている。
21歳のルイ・ジェネックスさんは、仕事を続けながら燃料費を削減するために、独創的な解決策を見いだした。先週の月曜日から、週に1、2回、馬に乗って15キロの距離を移動し、勤務先のレストランまで通っている。レストランのすぐ隣に馬の待機場所を用意した。BFMTVの取材に対してルイさんは、燃料価格の上昇に伴い、月額130~140ユーロ(1万8千円~1万9千円)のガソリン代は、1200ユーロ(約16万円)の給与では負担できない金額だと語った。そこでルイさんは毎朝、車で15分ほどの道のりを1時間半かけて通勤するようになった。ただし、馬が疲れないように、馬による通勤は週数回にとどめているという。
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フランス、雇用者団体が再度ロックダウンの場合でも企業の経済活動維持を要求(2021/01/26)
フランス政府は27日に新たなロックダウンに入るべきかどうかを議論する予定となっている。再度ロックダウンに入る場合、新型コロナウイルスの流行が始まった昨年以来3回目となる。日本の経団連にあたる「フランス企業運動(Medef)」をはじめ、多くのフランスの雇用者、事業者団体は、新たなロックダウンに入る場合、店舗や企業が営業活動を続けるべきだと訴えている。
仏経済紙
『レゼコー』によると、フランスの経済界と経済・財務省は、ここ数ヶ月ですでに大打撃を受けてきた企業の経済活動を可能な限り温存しようとしており、今週中に3度目のロックダウンが決定されることを警戒している。経営者らは、「ロックダウン」を行う場合、営業活動の禁止にうんざりしている国民感情を考慮に入れて、ケースバイケースの制限措置をとらなければならないと訴えている。
マクロン大統領にとっても、ロックダウンは悩みの種となっている。...
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仏経済紙
『レゼコー』によると、フランスの経済界と経済・財務省は、ここ数ヶ月ですでに大打撃を受けてきた企業の経済活動を可能な限り温存しようとしており、今週中に3度目のロックダウンが決定されることを警戒している。経営者らは、「ロックダウン」を行う場合、営業活動の禁止にうんざりしている国民感情を考慮に入れて、ケースバイケースの制限措置をとらなければならないと訴えている。
マクロン大統領にとっても、ロックダウンは悩みの種となっている。疫学者たちがロックダウンの方向の提案しか上げてこないため、決断に悩んでいるという。しかし、大統領が大学での対面授業を20%に保つと発表したことにより、完全なロックダウンにはならない可能性が出てきたと予測されている。
『フランスアンフォ』によると、Medef副会長のパトリック・マルタン氏は、新たなロックダウンの可能性について、「ロックダウン措置を講じるのであれば、現実的な方法で講じること」を求めると述べ、前回のロックダウンの時のように生活必需品とそうでないものを論じることはやめて、感染元となっていないお店はすべて営業を続けられることを求めている。
仏政治ニュース誌『ル・ポワン』によると、Medef会長のド・ベジウ氏はラジオ放送局「RMC」のインタビューで「可能であれば学校も開校のままにしておくことを望んでいる。休校となった場合、これは経済的影響を及ぼすことになる。ロックダウンは可能な限り短くする必要がある。一部のセクターは非常に苦しんでいる」と述べている。
フランス商工会議所のピエール・ゴゲ会長も、営業活動の維持を主張している。経済的理由だけでなく、経営者たちが「精神的に大打撃を受けている」ためでもあるという。
ゴゲ会長は「BFMTV」に対しても「経済活動の継続が必須である。」と語っている。フランスで2月中旬まで続く冬セールの時期に「ロックダウン措置を取ることになれば、セール期間中の売り上げが台無しになる。在庫を処分できる唯一の道を閉ざすことになってしまう」と警告している。
また「経済活動の80%はある程度順調に進んでおり、5%は危機の恩恵を受けて非常に好調だが、15%はサプライヤーを含む業界全体が苦しんでいる。援助は必ずしも十分ではなく、今後の展望が見えないことは精神的に非常に難しいものがある」と指摘し、だからこそ、「何が何でも営業活動を維持しなければならない」と付け加えた。
一方で順調にいっている業界に対しては、「支援を緩めていくことを考えなければならない」と述べ、逆に「国によって休業を余儀なくされた飲食店経営者に対しては、これまでどおりの支援を続けなければならない。」と指摘している。
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