10月30日付『New York Times』は、「FRBの新規制は経営危機に陥った銀行からの重圧を緩和する」との見出しで、今週次期大統領選の民主党候補の一人であるヒラリー・クリントンは、大銀行がそういう事態になれば倒産も辞さないと発言したが、2008年の金融危機以降導入された規制は既に大銀行の倒産の影響を抑えるようになっている。今回FRBより提案された新規制は、大金融機関の倒産のプロセスを更にスムーズにすることが目的であると報じている。...
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10月30日付『New York Times』は、「FRBの新規制は経営危機に陥った銀行からの重圧を緩和する」との見出しで、今週次期大統領選の民主党候補の一人であるヒラリー・クリントンは、大銀行がそういう事態になれば倒産も辞さないと発言したが、2008年の金融危機以降導入された規制は既に大銀行の倒産の影響を抑えるようになっている。今回FRBより提案された新規制は、大金融機関の倒産のプロセスを更にスムーズにすることが目的であると報じている。ジャネット・イエレンFRB議長は、大銀行が倒産した場合に経済全体に大きな影響を及ぼすので政府が救済しなければならないという、「大き過ぎて潰せない」問題へ対応するための追加的提案であると言う。銀行が危機に陥った場合、抱えた損失を吸収するバッファーが必要となるが、従来は株主資本を厚くすることで損失を吸収しようとした。新規制は長期の借入もバッファーに加えるというもので、この長期借入は銀行が危機に陥っても返済を要求出来ないため長期借入の債権者が倒産のリスクを負うことになる。この新規制は米国の八つの大銀行に適用されるが、その内6行は規制に適合するための新たな長期借入が必要となる。
10月30日付『ロイター通信』は、「新規制の下で大手米銀は1200億ドル不足する」という見出しで新規制導入を伝えた。対象となる八大銀行とは、JP Morgan、Citigroup、Bank of America、Goldman Sachs、Morgan Stanley、Wells Fargo、State Street、Bank of New York Mellonである。Wells Fargoは新規制はほぼ予期していたとおりと声明を発表しているが、他の銀行のコメントはない。FRBによれば、米銀以外に国際金融システム上重要な外国銀行の米国拠点にも新規制は適用されると報じており、日本の三菱UFJフィナンシャル・グループなどにも適用になる可能性がある。