ドイツのメルケル首相;非APECメンバーながら、議長国NZ首相の要請で開催の二国間首脳会談でCOVID-19及び気候変動問題を協議【米・NZメディア】(2021/11/13)
ドイツのアンゲラ・メルケル首相(67歳)は、今秋を以て16年続けた首相職から退任する。欧州各国はもとより、11月初めに開催されたCOP26(国連気候変動条約第26回締約国会議)に出席した多数の国々からも勇退を惜しむ声が上がっている。そうした中、今週開催されているアジア太平洋経済協力会議(APEC、注後記)議長国ニュージーランド(NZ)のジャシンダ・アーダーン首相(41歳)からも、非APECメンバーながら二国間協議を要請されてテレビ会議に出席している。その際、今最も重要な新型コロナウィルス(COVID-19)感染問題及び気候変動対策について協議している。
11月12日付米
『AP通信』:「ドイツのメルケル首相、市民にはワクチン接種の義務があると発言」
ドイツのアンゲラ・メルケル首相は11月12日、他者への感染を防ぐため市民は新型コロナウィルス(COVID-19)ワクチンを接種する義務があると表明した。
同首相は、APECサミットの議長国となっているNZのジャシンダ・アーダーン首相の求めで行った、オンラインでの二国間協議の場で発言したものである。...
全部読む
11月12日付米
『AP通信』:「ドイツのメルケル首相、市民にはワクチン接種の義務があると発言」
ドイツのアンゲラ・メルケル首相は11月12日、他者への感染を防ぐため市民は新型コロナウィルス(COVID-19)ワクチンを接種する義務があると表明した。
同首相は、APECサミットの議長国となっているNZのジャシンダ・アーダーン首相の求めで行った、オンラインでの二国間協議の場で発言したものである。
ドイツは、APECメンバー国ではないが、同首相が今秋を以て退陣することから、同首相を長く敬服していたアーダーン首相が、APECサミットの機会を捉えて会談を申し込んでいた。
その場でメルケル首相はCOVID-19問題が依然深刻であると告げた。
すなわち、ドイツではワクチン接種者が人口8,300万人のうちの3分の2に達したものの、再び感染者が急増していて、11月11日には新規感染者が5万人超と最多記録を更新している。
ところが、ワクチン接種率は鈍化していることから、政府が、人との接触の多い業務に就いている人たちへのワクチン接種義務化を進めようとしているが、この政府方針に対して強い反対の声が上がっているからである。
そこでメルケル首相はこの会談の際、“市民はワクチン接種を受けるかどうかを選択する権利があるが、現下の状況では、社会の一員として、自身はもとより他者に感染させないためにはワクチン接種は義務と考える”と強調し、アーダーン首相のワクチン接種促進政策の後押しをした。
なお、今回の会談で、両首相とも、ソーシャルメディアを通じて偽情報が瞬く間に広がって、ワクチン接種奨励含めて、COVID-19対策に困難が伴っていると警鐘を鳴らした。
その上でアーダーン首相は、COVID-19感染問題を通じて得た教訓は、感染状況等のデータや、発生しつつある問題について、可能な限り詳細に企業や個人に知らしめることによって、問題解決が促進されるということだとしている。
同日付NZ『NZヘラルド』紙:「APEC 2021開催時に、アーダーン首相とメルケル首相がCOVID-19問題等について協議」
アーダーン首相とメルケル首相は11月12日、二国間協議の席上、COVID-19感染問題の教訓を通じて、気候変動問題についても世界が一致協力することに期待すると表明した。
APECサミット開催の機会を捉えて、アーダーン首相がメルケル首相とのオンライン会議を企画したものであるが、その際メルケル首相は、COVID-19感染問題は“まだ収束していない”と強調した。
そして両首相は、COVID-19感染問題に当たって、国を越えての情報共有、感染症等専門家の助言を聞き入れること、また、必要データを“公にして”全員に知らしめることが重要であったのと同様に、気候変動問題の対応に当たってもこのような活動が必要であると説いた。
特に、“COVID-19感染が瞬く間に世界に広がったことから、世界が小さくかつ密接につながっていることが分かった”とした上で、“COVID-19は目に見える深刻な問題であったが、気候変動はすぐさま眼前に現れるものではないが、小さくかつ密接につながった世界において、COVID-19以上に迅速に、かつ、一致協力して対応すべき重要な問題である”と付言している。
(注)APEC:アジア太平洋(環太平洋地域)初の経済協力を目的とする非公式協議体で、1989年設立。メンバー国は21ヵ国(設立時12ヵ国)で、日・米・加・豪・NZ・韓・マレーシア・タイ・比・インドネシア・シンガポール・ブルネイ+台湾・中国・香港・メキシコ・パプアニューギニア・チリ・ペルー・露・ベトナム。
閉じる
世界有数の日用消費財製造・販売のユニリーバがNZで週4日就労制開始【米・NZメディア】(2020/12/02)
世界有数の日用消費財メーカーのユニリーバ(注後記)が、NZ支社で週4日就労制の試験運用を開始した。同国では、地元企業が2018年初めに2ヵ月間の試験運用の成果を経て、同年11月から正式導入している。ユニリーバNZ支社の試験運用対象者は僅か80人程であるが、生産性及び従業員満足度向上等の成果が確認されれば、世界に16万人余りの従業員を抱える同社が本格的に導入していく可能性が高く、世界のワーク・ライフ・バランス管理が益々注目されることになろう。
12月1日付米
『AP通信』:「ユニリーバ、NZ支社で週4日就労制運用開始」
日用消費材の世界大手メーカーのユニリーバが、大手他社の先陣を切って週4日就労制の試験運用を開始することになった。
リプトン紅茶・ダブ(スキンケア)・ベン&ジェリーズ(アイスクリーム)等のメーカーで知られる同社が12月1日、NZ支社の事務所スタッフを対象に1年間の試験運用を採用したと発表した。
対象従業員は81人で、2021年12月までの間、自身に都合の良い4日間を選択して就労でき、但し給与はこれまでどおり週5日制のときと同額が保障される。...
全部読む
12月1日付米
『AP通信』:「ユニリーバ、NZ支社で週4日就労制運用開始」
日用消費材の世界大手メーカーのユニリーバが、大手他社の先陣を切って週4日就労制の試験運用を開始することになった。
リプトン紅茶・ダブ(スキンケア)・ベン&ジェリーズ(アイスクリーム)等のメーカーで知られる同社が12月1日、NZ支社の事務所スタッフを対象に1年間の試験運用を採用したと発表した。
対象従業員は81人で、2021年12月までの間、自身に都合の良い4日間を選択して就労でき、但し給与はこれまでどおり週5日制のときと同額が保障される。
同社は、シドニー工科大(1988年設立の公立大学)の支援を得て、生産性や従業員満足度等についてモニターしていく。
NZ支社のニック・バングス社長は、“当社の試験運用が奏功して、ユニリーバが世界的企業の先陣を切って同制度を導入するようになることを切望する”と語った。
NZにおいては、同支社に先駆けて地元のパーペチュアル・ガーディアン(1885年創業の遺書作成・遺産管理企業、従業員240人)が2018年に2ヵ月間の試験運用を経て、同年11月から正式導入している。
バングス社長は、地元企業の成功例に勇気付けられて、“古い就労体制を変革すべきときだと考えるようになった”と付言した。
NZのジャシンダ・アーダーン首相(40歳)も、新型コロナウィルス(COVID-19)感染流行問題で落ち込んだ景気を回復させるため、この就労体制も検討対象のひとつになると発言している。
なお、業界は違うものの、大手企業の中では日本マイクロソフト(1986年設立、マイクロソフト・コーポレーション日本法人、従業員約2,500人)が昨年8月、毎週金曜日を全社休業とすることで全従業員に週一日の追加の休日を与えることとした。
この結果、生産性が前年同月比約40%向上したことが確認され、同制度を更に展開することを決定し、他企業にも導入をはたらきかけている。
また、野村ホールディングス(1925年創業のアジア最大の投資銀行・証券持株会社)は12月1日、毎月最大60%まで事業所外での就労を認める制度の導入を検討していると発表している。
同日付NZ『NZヘラルド』紙(1863年創刊):「世界企業のユニリーバがNZで週4日就労制を試験運用」
世界の日用消費財メーカーのユニリーバが、NZで週4日就労制の試験運用を開始した。
この成果によって、同社の全世界16万5千人余りのスタッフにも適用される可能性がある。
NZ支社のバングス社長は、“1日10時間就労にして週4日制にするのではなく、これまでどおり1日8時間での導入であり、また、給与は週40時間就労の場合と同額が支給される”と説明した。
同社長はまた、パートタイム・ワーカーも同様の就労制が適用されるとした。
同社長は更に、“何時間就労したかではなく、得られた成果の方を重要視する考え方”だと付言した。
なお、2018年に試験運用した結果を踏まえて、同年末から正規導入しているパーペチュアル・ガーディアンのアンドリュー・バーンズ社長は、“生産性や従業員満足度が向上しただけでなく、通勤頻度減少によって、従業員の心の健康も通勤混雑の改善にも繋がっている”と語っている。
(注)ユニリーバ:1929年創業の英国企業で、食品・洗剤・ヘアケア・トイレタリー等の日用消費財を製造・販売する世界有数のメーカー。日本にも子会社があり、リプトン紅茶・ラックス(ヘアケア・ボディケア)・ダブ(スキンケア)・クノール食品等を展開している。
閉じる
その他の最新記事