中国共産党の元幹部との不倫を告白し行方不明と報じられていた中国人女子テニス選手を巡り、世界の注目が集まっている。中国政府は人権問題への発展や冬季五輪への影響を避けようと、選手の無事をアピールする動画を公開している。
11月19日付米国
『CNN』は「中国政府に果敢に挑む女子テニス協会」との見出しで以下のように報道している。
今月初め、彭帥選手が元共産党副首相への#MeToo告発を始めた時、中国政府は完全な隠蔽を決め込んでいた。だが今、女子テニス界に選手の安否確認を強く迫られ、当局は火消しに追われる。国外では国内のような検閲は効かない。協会や著名選手らが消息情報を明らかにするよう迫った。反響は女子テニス界に留まらず、サッカー選手の先例のように男子テニス選手もツイッターで「 #WhereIsPengShuai(彭帥はどこへ)」に参加した。...
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11月19日付米国
『CNN』は「中国政府に果敢に挑む女子テニス協会」との見出しで以下のように報道している。
今月初め、彭帥選手が元共産党副首相への#MeToo告発を始めた時、中国政府は完全な隠蔽を決め込んでいた。だが今、女子テニス界に選手の安否確認を強く迫られ、当局は火消しに追われる。国外では国内のような検閲は効かない。協会や著名選手らが消息情報を明らかにするよう迫った。反響は女子テニス界に留まらず、サッカー選手の先例のように男子テニス選手もツイッターで「 #WhereIsPengShuai(彭帥はどこへ)」に参加した。
冬季五輪が3か月後に迫る中、問題が解決されなければ批判が拡大し、スポーツ界VS中国の対立構造に発展するとの見方があり、世界のスポーツファンがこの事件に注目している。冬季五輪は新疆、チベット、香港への政府弾圧による人権問題を巡りボイコット運動が増しており、今回の五輪出場経験選手の失踪事件でボイコット拡大は必須だ。
ここ数年、中国当局は国内だけでなく、中国市場にすり寄る西欧の企業や産業界、ハリウッドやNBAをも黙らせてきたが、WTA(女子テニス協会)は追随しなかった。WTAのサイモンCEOはインタビューで、「このような問題が生じた際、政治やビジネス、資金に左右されることなく、善か悪かに基づき決定すべきでその点は妥協すべきでない」と中国深センでの年次大会開催の10年契約を天秤にかけ直球で交渉を挑んでいる。
中国はいつもなら西欧企業が人権問題や台湾、香港問題に一線を画すよう、市場アクセスを交渉に使うのだが今回は違う。WTAのこの交渉方法に専門家も太鼓判を押す。殆どの組織は中国を恐れ、その報復を恐れる。企業にとっても圧力は有効なのだが、選手失踪問題は弾圧問題とは少し違いがある。女性の権利ムーブメントは国境の枠を超えている。
これまで中国はフェミニストを脅迫、投獄し、国家をむしばむ恐れのある西洋かぶれ思想だと吹聴することで#MeToo推進運動を抑圧してきた。だが今、そのやり方は世界の#MeToo運動により注目が集まるため非生産的だと分かった。国際的なムーブメントのため国内に留めておけず、中国の人々を黙らすこともできない。中国が隠すことでジレンマが生じている。国営テレビで選手が出演しても、中国国営メディアがこれまでも監禁者の発言を強要したことを考慮し、そこでの発言は信ぴょう性がないと判断されるだろう。
11月20日付インド『NDTV』は「セクハラ容疑も否定するだけ。中国によるMeTooムーブメント阻止」との見出しで以下のように報道している。
中国の #MeTooムーブメントはインターネット検閲に阻止された。家父長制社会とその法制度は、被害者側に負担を強いるものだ。今月、テニス界のスター選手が元共産党最高指導部メンバーに性的暴行を受けたと告白。
最高指導部が告発を受けたのは初のことだ。しかしその告発投稿はネット上から削除され、選手は行方不明と報道された。
以前、中国が草の根運動への弾圧を強めている時にもこのような事案は数多く存在した。世界の#MeTooムーブメントは2018年に大学教授からのハラスメントを女性が告発したことで中国に上陸。社会の関心の高まりを恐れ、SNS上のハッシュタグや関連ワードはアクセスが停止された。#MeTooというワードは今もアクセス停止のままだという。
昨年中国では性的ハラスメントの定義に関する新たな法案が可決したが、実際の司法でも告発者側の女性は幾度も証拠を提出する必要がある一方、容疑をかけられた側の被告男性は、否定すれば真実かの追及は受けないという。
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イスラエル保健省は5日、新型コロナウイルスの変異株「デルタ型」に対して、ファイザーとバイオンテック社製ワクチンの感染予防効果は64%にとどまると発表した。イスラエルではデルタ型が急増しており、3回目の接種と規制の復活が検討されている。
『ロイター通信』とインドの
『NDTV』によると、ファイザー製ワクチンの症状を伴う感染を防ぐ効果は、この1ヶ月間で64%にまで低下しており、この低下は、より感染力の強いデルタ型がイスラエル国内で急速に広まったことと一致しているという。また、6月初旬に規制が解除されたこととも重なっている。しかし、保健省は、重症化に対しては依然として強力な防御となっていると伝えている。政府のデータによると、入院を防ぐ効果は以前の97%から93%と少しだけ減少している。
イスラエルは、世界に先駆けてワクチン接種キャンペーンを推し進め、現在、人口の約57%が2回のワクチン接種を受けている。しかし、Ynetニュースサービスは、7月2日に新たに感染した人の55%がワクチンを接種していたと伝えている。イスラエル政府は、コロナウイルスに感染したワクチン接種者を、年齢、持病、接種日などの要因を含めて調査し、ワクチンの有効性と効果が切れる速度を評価する予定だと発表した。
感染増加に伴い、公共の場では屋内でのマスク着用義務が復活し、他の規制も復活させるどうかが検討されている。3回目のワクチン接種を推奨するかどうかについては未定となっている。
イスラエル紙『ハアレツ』によると、イスラエルの医療関係者は、デルタ型に対する予防接種の効果は、当初の予想よりもはるかに低いと考えている。保健省が使用したモデルは、医療関係者から疑問視されているという。ある保健専門家はハアレツに対し、「局所的な発生からワクチンの効果を適切に評価するには、方法論的に非常に大きな課題がある」と述べている。政府に助言を与える専門家団体の責任者であるラン・バリサー教授は、検査が選択的に行われる場合、ワクチンの効果を測るのは非常に難しいとコメントしている。
英『ミドルイースト・アイ』によると、バリサー教授は、感染者数の増加は、デルタ型の軽度の症状を予防するための、ワクチン効果が低い可能性がある可能性を示唆していると警告している。また、「デルタ型に対するワクチンの効果を正確に評価するのは時期尚早」としながらも、「重症ではなく軽症に対するワクチンの効果が多少低下する可能性がある。専門家たちは、重篤な病気に対するワクチンの効果は、アルファ株の時と同じように高く保たれると期待している」と述べている。
ワクチンを2回接種したイスラエル人がウイルスに感染して重症化する数は、1日に約1人から5人に増加したと推定されている。しかし、死亡者は出ていない。同教授は「この12日間、死亡者数がゼロであることは心強いことだ」と述べている。
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