インドは、人口が中国に次ぎ世界2位で、経済規模も、主要7ヵ国(G-7)のイタリア・カナダを上回り世界7位の成長著しい国である。経済発展に連れて大幅需要が見込まれる自動車業界も、インド市場に大いに期待を抱いている。世界最大手の一社であるトヨタも、遅ればせながらインド市場に参入している。しかし、インドにおける現下の新型コロナウィルス(COVID-19)感染流行問題に伴う景気後退による自動車販売台数低迷もあって、インド工場の増産計画を発表していたトヨタも一時中断を余儀なくされた。ただ、魅力ある市場には変わりなく、今後もインド投資は継続するとしている。
9月17日付米
『ザックス』(1978年設立の投資関連リサーチメディア):「トヨタ、インドでの増産計画一時停止も投資は継続と発表」
トヨタはこの程、インドにおける税負担が重いことから、現地工場の増産計画を一時停止することを決めた。
ただ、同社の世界戦略上、インドは将来性のある市場に変わりがないことから、将来の投資先として引き続き注力していくとしている。
トヨタのインド進出は1997年であるが、世界の他市場に比べてインドでのシェアは伸び悩んでいる。...
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9月17日付米
『ザックス』(1978年設立の投資関連リサーチメディア):「トヨタ、インドでの増産計画一時停止も投資は継続と発表」
トヨタはこの程、インドにおける税負担が重いことから、現地工場の増産計画を一時停止することを決めた。
ただ、同社の世界戦略上、インドは将来性のある市場に変わりがないことから、将来の投資先として引き続き注力していくとしている。
トヨタのインド進出は1997年であるが、世界の他市場に比べてインドでのシェアは伸び悩んでいる。
今年8月時、同社の市場シェアは僅か2.6%で、昨年の5%より更に落ち込んでいる。
インドは世界第5位の自動車販売台数を誇るが、スズキと現代(ヒュンダイ)2社で70%近くを占めている。
(編注;2019年自動車販売台数ランキングは、①中国2,577万台、②米国1,748万台、③日本520万台、④ドイツ402万台、⑤インド382万台)
ただ、COVID-19感染流行問題に伴う景気後退で、特に自動車販売市場が打撃を受けている。
更に、インドでは自動車に厳しい税金が賦課されており、基本税率が28%と高いだけでなく、これに一種の贅沢税(最低1%、最高22%)が賦課されるため、最も贅沢品とされているスポーツ用多目的車(SUV)には50%が賦課される。
かかる事情から、インドの一般市民にとって、自家用車を持つことは容易ではない。
そこで、米メーカーのゼネラルモーターズは2017年にインドから撤退し、フォードモーターも現地メーカーとの共同生産・販売方式に切り替え、単独事業は止めている。
ただ、今はインドでは、高額なことから余り人気がない電動自動車(EV)の課税率が僅か5%であることから、景気・市場が回復してくれば、EVの将来性は高い。
以上の背景から、トヨタはインドの将来性を見越して、インドにおけるEV生産事業に200億ルピー(約280億円)を投入する計画である。
一方、同日付インド『ニューデリー・テレビ(NDTV)』(『ロイター通信』配信):「インド高官、インド内自動車メーカーは本国の親会社宛のロイヤリティ支払額を減額すべきと表明」
インド財務省高官は9月17日、トヨタが高税率を理由としてインド工場での増産計画を取り止めたとの発表を受けて、国内に拠点を構える外国資本自動車メーカーは、本国の親会社宛のロイヤリティ支払額を減額すべきであるとのコメントを発表した。
これに先立つ9月15日、トヨタは、現行の高税率が続く限り、インド工場での増産計画を中止すると発表していた。
この背景は、COVID-19感染問題に伴い、インド国内の自動車販売台数が4~8月の5ヵ月間で、前年比▼50%も減少していることに加えて、そもそもインドにおける自動車税は、最低28%、最高50%も賦課されていることから、一般市民にとって非常に重いことが挙げられる。
インド自動車製造者協会はインド政府に対して、現下の自動車税を18%まで下げるよう要請してきており、このままでは、現下の自動車市場が2018年のピーク時まで復活するには3年も4年もかかってしまうと警鐘を鳴らしている。
これに対して、同財務省高官が匿名を条件に、インドの自動車税の歴史は三十年余りも続いていることで、進出企業はその背景等を良く理解しているはずだ、とした上で、税率削減を要請する前に、“目下親会社宛に支払っている高額なロイヤリティの見直しが先決”だと主張した。
『ロイター通信』は先月、インド商工相がスズキやトヨタを含むインド会社代表に対して、親会社宛のロイヤリティ減額の道を探るよう要請したと報じている。
なお、政府資料によれば、スズキは2020年3月期、親会社に対して収益の5%に相当する382億ルピア(約535億円)を支払っており、トヨタも3.4%相当の8,800万ルピア(約1億2,300万円)を送金している。
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中国南部を中心に続いている豪雨により多くの省で河川の水位が急激に上昇し、約3800万人に影響が出ているという。国営メディアは12日、今後数日はさらに多くの雨が予想されると報じている。
カタールの
『アルジャジーラ』によると、中国国営放送の中国中央テレビは、中国南部にある広西チワン族自治区の栄川沿いの水位が、土曜日の朝から降った大雨で、警報レベルとなる水位よりも5.04メートル上回る水位を記録したと報じた。
また四川省アバ県では、何日にもわたる激しい雨によって堤防が決壊し、約60メートルの道路が破壊されたという。
同放送局は更に、江西省南部の関係当局が、中国最大の淡水湖として知られる鄱陽湖での深刻な洪水を予想していると付け加えた。湖の水位は前例のないペースで上昇しており、先週末には、1998年の最高記録を超え、警戒レベルの19.5メートルをはるかに上回る22.65メートルに達している。
江西省では既に520万人に影響が出ており、43万人が緊急避難しているという。
また中国中央部の湖北省の郡でも、洪水警戒レベルを最も高い洪水警報に引き上げている。湖北省黄石市の陽新県では、雨季の始まり以降5回に渡って大雨となり、6月8日から7月10日までの間に、その時期の平均雨量のほぼ2倍が降っている。
インド『NDTV』によると、中国当局は、7月12日の時点で、江西省、安徽省、湖北省、湖南省を含む27の地域で洪水が起こり、3790万人が被害を受け、141人が死亡または行方不明になっており、225万人が緊急避難したと発表した。
長江を含む多くの川は、何週間にもわたる集中豪雨で水位が急騰しており、中国当局は洪水警戒レベルを4段階中2番目に高い「2」に引き上げた。
洪水により28,000を超える建物が破壊され、被害額は822億元(約1兆2千億円)と推定されている。
国家発展改革委員会は土曜日、中国政府が洪水の被害を受けた地域の災害救援に約4,420万ドル(約47億円)を割り当てると発表した。
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