南京大虐殺がユネスコの世界記憶遺産に認定されることになった。このことに対し、中国は歓迎の、日本は抗議の意向を明らかにしている。各メディアは以下のように伝えている。
10月10日付
『ブルームバーグ・ビジネス』は南京大虐殺がユネスコの世界記憶遺産に登録されるという決定に対する日本の反応を掲載している。日本の外務省は「今回提出された資料は中国側の一方的な証言に基づいており、日本は提出された資料の論理的一貫性と信用性については非常に懐疑的である」とコメントしたという。今回中国が提出した報告書は世界各国から提出された47ある報告書のうちの一つだという。
今回の発表に先立ち、10月9日に外務省官僚は「万が一ユネスコが今回の中国の報告書を採用し、南京大虐殺が世界記憶遺産に登録されるようなことにでもなれば、今後予定されている日中韓三か国協議を目前に控えた大事な時期に日本と中国の関係に打撃を与えることになるだろう。...
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10月10日付
『ブルームバーグ・ビジネス』は南京大虐殺がユネスコの世界記憶遺産に登録されるという決定に対する日本の反応を掲載している。日本の外務省は「今回提出された資料は中国側の一方的な証言に基づいており、日本は提出された資料の論理的一貫性と信用性については非常に懐疑的である」とコメントしたという。今回中国が提出した報告書は世界各国から提出された47ある報告書のうちの一つだという。
今回の発表に先立ち、10月9日に外務省官僚は「万が一ユネスコが今回の中国の報告書を採用し、南京大虐殺が世界記憶遺産に登録されるようなことにでもなれば、今後予定されている日中韓三か国協議を目前に控えた大事な時期に日本と中国の関係に打撃を与えることになるだろう。そのような事態は公平中立が求められるユネスコのような国際機関にとって、あってはならないことだ」と述べたという。
10月12日付
『NBCモンタナ』は
『CNN』の記事を引用し、南京大虐殺が世界記憶遺産に登録されることを中国のメディアが「歓迎している」と報じている。同記事は
『新華社通信』の記事を引用し、今回中国が提出した報告書は11の記録から構成されており、1937年から1948年にかけての映像、写真および文書から成ることを伝えている。
日本は1930年代から第二次世界大戦にかけてに中国に進出している。中国政府によれば、その中で起きた日本軍による数週間にも及ぶ大虐殺、強姦、略奪により、約30万人の命が奪われたという。日本政府はこの南京大虐殺の規模について争っているという。
中国政府の報道官である華春瑩氏は「新華社通信」に対し「我々は今回重要な意義を有する報告書が保護・認知され、歴史を記憶する上で大切な役割を果たすことができると確信している。我々は歴史を、平和を重んじ、未来を見据え、人間の尊厳を守るために活かさなければならない」と語ったという。
ユネスコ記憶遺産は1992年から歴史的な報告書を保護する目的で始められたもので、これまで実にさまざまな報告書が登録されてきた。例えばオランダの東インド会社の史料やアンネ・フランクの日記、作曲家であるブラームスの楽譜などが挙げられる。
今回の中国による報告書の提出は1年以上前になされてものであり、日本はこれに強く反発していたという。特に大虐殺の規模に関して強く争う姿勢であったという。菅官房長官は「日本・中国の両国間が関係改善のために協力しなければならない時期に、中国がユネスコを政治目的で利用し不必要に史実をでっちあげたのはまことに遺憾」とコメントしているという。「我々は日本軍が南京に進駐した際、虐殺や強奪があった点では争っていないが、その規模については数字を明示するのが難しいと言っているだけだ」。
10月13日付
『ヤフー.com』は
『AP通信』の記事を引用し、菅官房長官がユネスコが南京大虐殺を世界記憶遺産に登録すれば、日本はユネスコへの資金提供を削減するなど、様々な措置をとることを検討中であると述べたという。また同氏はユネスコの組織自体の改革も視野に入れるべきとコメントしたという。
今回の件が日中間のあらたな火種となりそうだ。
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