ハリウッドは非同性愛の白人男性のためだけの社会(2016/02/23)
今月現地時間28日に、ロサンゼルスでアカデミー賞の授賞式が行われる。そんな中、ハリウッドでは、女性や性的少数派(LGBT)、少数民族出身者は差別されているという調査がカリフォルニア大学より発表され波紋を呼んでいる。各メディアは次のように報じている。
2月22日付
『ザ・ガーディアン』(英)はカリフォルニア大学の「メディア、多様性および社会変革構想」という機関により調査結果が報告されたとする。これによるとハリウッドでは女性やLGBT,少数民族出身者は「見えない病魔」に苦しめられているという。
今回の調査はアメリカの31のテレビ配信会社で2014年9月から2015年8月までの間に放送された300以上の台本のある番組や、映画をもとに行われたものである。...
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2月22日付
『ザ・ガーディアン』(英)はカリフォルニア大学の「メディア、多様性および社会変革構想」という機関により調査結果が報告されたとする。これによるとハリウッドでは女性やLGBT,少数民族出身者は「見えない病魔」に苦しめられているという。
今回の調査はアメリカの31のテレビ配信会社で2014年9月から2015年8月までの間に放送された300以上の台本のある番組や、映画をもとに行われたものである。調査対象となった番組内で、セリフのある登場人物の3分の1が女性で、28.3%が少数民族出身者であった。この数字は、アメリカ国内の実際の少数民族出身者の人口の割合よりも10%ほど低い数値だという。登場人物の設定年齢が高齢になるほど女性の割合は減り、40歳以上になると女性の占める割合は25.7%に落ち込む。
今回の調査の結果でもっともひどい数値が出たのは監督で、主要映画会社から出された109本の映画のうち、女性監督によるものの割合はたったの3.4%で、その中でも黒人女性監督によるものは2本だけだったという。
この調査は10年以上前から行われており、これまでに20%以上の女性、LGBT、少数民族出身者の登場人物や女性の脚本家、監督が活躍した年はないとする。
オスカー賞のノミネートをめぐっては、2年連続で有色人俳優が挙げられないため非難の声が上がっている。主催者側は「今年はこれまでになく受賞者の多様性が確保される」と謳っているが、スパイク・リーやマイケル・ムーア、ウィル・スミスなど名だたる監督、俳優らは授賞式への欠席を表明している。
同日付
『NBCモンタナ』(米)は今回の調査によりLGBTの中でもとりわけ性不一致の者は映像の世界では「ほぼ存在しないものとして扱われている」とする。人間の多様性の確保が今回の授賞式を前に人々の大きな関心事となっていることを伝えている。また同記事は、調査結果によりハリウッドで謳われている人種差別撤廃は形だけのものだということが明らかになったとする。
ただ、調査結果に対して異議を唱えている会社もある。21世紀フォックス社は他の同性愛の人権擁護団体によるデータを引用して映像には発表されたものよりも多くの性的少数派が登場していると主張している。
同日付
『フォックス30』(米)では調査を行ったスミス氏のコメントが載せられている。「今回調査した会社のうち、数値上多少良いものもあるが、全ての会社が落第だ。みな、変わることを嫌がっている。しかしながら変わることは可能であり、ディズニーやフールー、アマゾンなどでは事実変化がみられる」。
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欧州議会がエドワード・スノーデン氏のヨーロッパ亡命を容認(2015/10/30)
2013年にアメリカ国家安全保障会議の不当な情報収集活動を暴露し、一躍時の人となったエドワード・スノーデン氏。2014年にはノルウェーの大臣からノーベル平和賞の候補者に推薦されたこともある。現在はロシアに滞在しているが、アメリカからは引き渡しの要請がなされている。そんな中、欧州議会はヨーロッパへの同氏の亡命を受け入れる議案を採択した。各メディアは以下のように報じている。
10月29日付
『wftv.com』(アメリカ)によると、欧州議会は「エドワード・スノーデン氏に対するあらゆる起訴を取り下げ、本国送還や第三者に対する引き渡しを行わない」旨の採決を285票対281票の僅差で可決したことを報じている。そして今回の議決により、同氏は不正の告発者であり、国際的人権擁護者と認められたことになるとしている。
この議決に法的拘束力はなく、同氏が亡命を希望した場合、各国がそれぞれ個別に亡命を認める必要がある。...
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10月29日付
『wftv.com』(アメリカ)によると、欧州議会は「エドワード・スノーデン氏に対するあらゆる起訴を取り下げ、本国送還や第三者に対する引き渡しを行わない」旨の採決を285票対281票の僅差で可決したことを報じている。そして今回の議決により、同氏は不正の告発者であり、国際的人権擁護者と認められたことになるとしている。
この議決に法的拘束力はなく、同氏が亡命を希望した場合、各国がそれぞれ個別に亡命を認める必要がある。同記事はそれでもなおこの議決は同氏に対する大きな支持を示し、アメリカ政府が行ってきた大衆監視活動に対する反感の表れでもあると伝えている。
スノーデン氏はアメリカで、1917年に制定されたスパイ法および政府の機密情報を盗んだとして告発されている。
同氏はツイッターでこの決議を「アメリカ政府に大打撃を与えるとまではいかないにしても、流れを変えるものである。多くの支持者に感謝している」と発表したという。
アメリカ政府は今回の議決をものともせず、一貫してスノーデン氏に対する追及を続ける方針であるという。
10月29日付
『ザ・ガーディアン』(イギリス)はスノーデン氏は現在もロシアにいるとして、やはり欧州議会の議決の拘束力は限定的なものにとどまると伝えている。その上でアメリカ国家安全保障会議の広報担当であるネッド・プライス氏のコメントを載せている。「スノーデン氏はアメリカ国内では国家の機密情報を漏えいし、その他にも重大な罪に問われている。彼は速やかに本国に戻り、適正な手続きのもと裁判をうけるべきだ」。
もっとも、「ザ・ガーディアン」は、アメリカは「適正手続」を保障するとしているものの、スノーデン氏が告発されている容疑は1917年に制定されたスパイ法が含まれていることを指摘する。というのも、同法には通常の情報漏えいに関する罪に規定されている「漏えいが公共の利益のためのものである旨の反証」が定められていないのである。
スノーデン氏の弁護士であるウルフガング・カレック氏は「ようやくなされた議決であり、欧州議会の加盟国には速やかに議決内容を実行に移してもらいたい」と語ったという。
また、同記事は今回の議決の際、加盟国のアメリカへの情報漏れについては「十分な対策が取られている」としながらも今一度各国が確認すべきであるとし、近時のフランス、イギリス、オランダの諜報機関の権限を広げる法律に対しては「強い懸念」が表明されたことを伝えている。
10月29日付
『NBCモンタナ』(アメリカ)はスノーデン氏が今月「BBC」のインタビューを受けた際の内容を引用している。それによると同氏は、アメリカ政府に対しロシアからの亡命者としてアメリカに帰国し刑に服する申し出を「何度も」しているが、いまだに返事待ちの状態だという。
また、国務省の報道官であるジョン・カービー氏は今回の欧州議会の議決を受けた上で「スノーデン氏に対するアメリカ政府の方針は議決の前も後も変わっていない。彼はアメリカに帰国し、適正手続きの保障のもと刑事裁判を受けるべきだ。彼は国家の安全を脅かしており、そのことにつき説明責任がある」とコメントしたという。
アメリカ側が「適正手続」に関し、もう少し具体的に踏み込んだ提案をしない限り、スノーデン氏の帰国後の扱いが見えては来ない。スノーデン氏がアメリカの地を踏む時は来るのであろうか。
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