米中関係は、2月初めの中国偵察気球の撃墜以来、更に緊張度が増している。そうした折り、南シナ海を飛行中の米軍哨戒機に対して、中国戦闘機が異常接近してきて1時間余りも挑発飛行を行ってきた。なお、同哨戒機は、同海域を更に南下したところで、今度は中国軍艦からも脅しの警告を受けている。
2月25日付
『Foxニュース』は、「中国戦闘機、米軍哨戒機に500フィートまで異常接近して中国領空からの退去を要求」と題して、異常接近事態について詳報している。
米海軍機が2月24日、南シナ海上空を飛行中に、中国空軍の地上局からスクランブル発進をかけるとの警告を受信した。
『NBCニュース』報道によると、米海軍P-8哨戒機は、南シナ海の中国領空外を飛行中であったにも拘らず、“これ以上近づくと、それ相応の対応を仕掛ける”と脅す警告であった
という。
警告から間もなく、中国軍戦闘機が異常接近してきて、当該哨戒機の左翼から僅か500フィート(約150メートル)の至近距離を1時間余りも並進したという。
米軍高官によれば、このような異常接近は南シナ海でしばしば起こっているという。
この背景には、中国が南シナ海の広い範囲に点在する多くの無人島を自国の主権内領土だと強硬に主張していることがある。
同機のウィル・トラ-ソン機長は、同乗している『NBCニュース』記者のインタビューに答えて、“(接近してくるに当たって)我々の問いかけに何ら返答してこないことがよくある”とコメントした。
また、嘉手納米軍基地のマーク・ハインズ司令官は、“米海軍に所属して18、19年経つが、最近南シナ海ではこのような事態が異常なくらい多く発生している”とし、中国が同海域に人工島上に滑走路を建設して以来の事態につき言及している。
更に、米国が今月初め、米領空上を飛行していた中国偵察気球を撃墜して以来、米中間の緊張度が高まっている。
そこで、アントニー・ブリンケン国務長官(59歳、2021年就任)が撃墜から約2週間後に王毅中央外事工作委員会弁公室主任(ワン・イー、69歳、外交部門トップ、2023年就任)と面談した際、“(偵察気球の米領空侵入という事態は)二度と引き起こしてはならない”と釘を刺している。
王氏から何ら謝罪の言葉はなかった模様であるが、中国はこれまで、米国側の撃墜事態について、“ヒステリック”で国際法上“道理を欠いた”行為だと公に非難している。
同日付『ニューヨーク・ポスト』紙は、「中国戦闘機、米軍哨戒機に中国領空から退去を要求」として、当該哨戒機が中国軍艦からも警告を受けた旨報じている。
米哨戒機に同乗していた『CNNニュース』記者の報道によると、同機が2月24日、南シナ海の中国領空より30マイルほど離れた空域を飛行中、中国軍戦闘機が突然接近してきて、中国領空から即時退去するよう要求してきたという。
中国軍パイロットは、“米軍機は中国領空の12海里(約22キロメートル)内に入っているので、即刻退去しない場合、それ相応の事態が起きることになる”と脅してきたという。
米哨戒機のパイロットのニッキー・スローター大尉は、中国軍機が空対空ミサイルを搭載していることを見咎めたことから、“こちらは米海軍機P-8Aだが、西方に飛行していくので、左翼を並進しないよう求める”と送信した。
しかし、同大尉によると、中国軍機からは何の応答もなく、それから15分余りも米軍機の左翼から数百フィート近くを並進し続けたという。
これに関し、嘉手納基地のハインズ海軍司令官は『CNNニュース』のインタビューに答えて、“南シナ海におけるいつもの金曜午後の事態だ”と軽視するコメントをした。
しかし、今回の事態はまだ続きがあった。
同哨戒機が更に南下して、フィリピン沖まで飛行していったところ、中国軍のミサイル駆逐艦を見咎めたので、スローター大尉が同機を1千フィート(約300メートル)まで近づけたところ、同艦から警告無線を受信したという。
すなわち、同艦から、“米軍機に告ぐ、こちらは中国海軍艦173であるが、かなり接近してきているので、その意図を明らかにせよ”と言ってきた。
同大尉は、安全な距離を保っていると即答したが、同艦は更に、“米軍機は明らかに当艦を危険に曝している”と反論してきた。
そこで同大尉は、“当機は貴艦から十分安全は距離を保って飛行している”とした上で、“当機はこのまま任務を続ける”と強調したという。
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2月3日付
『ビジネス・インサイダー』オンラインニュース(2009年設立)は、「プーチンの最後の支援国のひとつとされる北朝鮮、戦況悪化を懸念してロシア支援をしり込み」と題して、米国・韓国メディア報道を引用して、これまでロシアを支援してきた北朝鮮までが、戦況悪化予想から支援継続をしり込みし始めたと報じている。
韓国メディア『デイリィNK』オンラインニュース報道によると、北朝鮮が、ウクライナ東部のロシア実効支配地域を支援するための北朝鮮労働者派遣時期を遅らせているという。
『AP通信』は昨年9月、駐ロシア北朝鮮大使が、同地域支援のために建設労働者を派遣することに関心があると表明したと報じていた。
そして『デイリィNK』によると、同計画が進展し、北朝鮮当局は800~1000人の労働者を募集し、11月初旬までに派遣する計画だったという。
しかし、北朝鮮在の情報提供者が『デイリィNK』に語ったところによると、ウクライナ戦争が12ヵ月目に突入してしまったことで、北朝鮮としては“危険地帯”へ労働者を派遣することを控えているという。
同情報筋は、“ロシアが戦争を早く終わらせ、占領地を拡大すれば労働者を派遣するつもりだったが、ロシアが思ったように計画が進んでいないと北朝鮮当局が判断している”とする。
更に同情報すふぃ協力者は、“北朝鮮であっても、現金は重要であるが、危険地帯に労働者を派遣することはできないと考えている”とも言及した。
このように、ウラジーミル・プーチン大統領(70歳、2000年就任)の側近の一部だけでなく、数少ないロシア支持国のひとつである北朝鮮からも、同大統領への支持が失われつつある。
ロシア政府高官とコミュニケーション・チャンネルを有するロシア人富豪が昨年12月、『ワシントン・ポスト』紙のインタビューに答えて、“プーチン大統領周辺の人々の不満が大きくなりつつある”とし、“同大統領は、何をすべきか明確に理解していない”とコメントしている。
一方、習近平国家主席(シー・チンピン、69歳、2012年就任)は昨年12月にプーチン大統領とオンライン会議を催した際、ロシアへの支援を再確認するとしながらも、同時に、“複雑で、かつ物議を醸す国際情勢になっている”ことは認めざるを得ないとしていた。
また、NATO連合軍元最高司令官のジェームズ・スタブリディス氏(67歳、2009~2013年在任)は今年1月、『MSNBCニュース』のインタビューに答えて、ロシア軍は約10万人の死傷者を出したと推定されており、プーチンは目下、“人員を確保しようと躍起になっている”と語った。
その上で同氏は、“それは、プーチンにとってこの戦争が如何に困難になっているかを示す兆候であるので、(終戦のため)何でも受け入れるのではないか”とも付言している。
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