米国で新型コロナウイルス感染症のパンデミックが猛威を振い続けている中、米映画界の専門家たちが米議会に緊急援助を求め、今も劇場の再開を許可していない特定の都市を非難している。このままでは中規模と小規模劇場が生き延びることは難しい状況に来ている。
仏
『レゼコー』は、米国の全国映画館所有者協会の報告によると、ほぼすべての劇場オーナーが第2四半期に少なくとも75%の収益の急落を記録したと報じている。 中小規模の映画館の4分の3近くは、今後数か月のうちに倒産するか、永久的に閉鎖される可能性があり、この業界で働く計15万人のうち、10万人が職を失う可能性があると報じている。
米『LAタイムズ』によると、米国で新作映画の公開が次々と延期されていく中、映画業界の不調を示す最新の兆候として、米シネコンチェーンのリーガルシネマズの親会社である英「シネワールド」は先週末、リーガルシネマズの米国の全536館での営業を一時的に閉鎖すると発表した。この決定により、米国で働く4万人の従業員が失業することになる。
米国内および世界第2位のシネコンチェーンであるリーガルの一時営業停止の決定は、米国のシネコンの状況がいかに悲惨なものであるかを示している。
米国劇場所有者協会と70名の映画監督は先週、連邦政府の財政支援を求める書簡を上院議会と下院議会に送っている。中小規模の映画館の70%近くは、政府の支援がなければ倒産する可能性があると訴えた。
劇場所有者協会の会長ジョン・フィティアン氏は、映画館は危機的状況にあり、「映画館は、閉鎖命令が出される前から閉鎖し、業界全体の安全対策が整備された状態で再開し、責任を持って行動してきた。今、映画館が必要としているのは、ニューヨークのようないくつかの主要な市場で営業できること。また、大型作品の劇場公開。そして、連邦政府が責任を果たし、パンデミックの間に完全に営業することができない映画館や類似産業に援助を提供すること」だと声明で述べている。
バラエティ誌のナマン・ラマチャンドラン記者は、『MSN』に対し、米国で感染の収束の見通しが立たない中、映画作品の劇場公開日が定まらない状況はこれからも続くだろうと語っている。そして、劇場公開ではなく、プレミアム・ビデオ・オン・デマンド方式に新作映画が移行していく流れが既に始まっていると指摘している。
「世界最大の映画市場の1つであるインドでも、いまだ映画館が閉鎖されている中、劇場公開を予定してした多数の大型作品がアマゾンに直行した。続いて公開される予定の作品の多くは、今度はディズニーのストリーミングサービスに行き、さらに続く作品群はNetflixに行った」と説明している。
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「表現の自由」に関する国連特別報告者として来日したデービッド・ケイ氏(米カリフォルニア大教授)が4月19日、日本での調査を踏まえて、「日本の報道の独立性は重大な脅威に直面している」と表明した。そして、それを裏付けるかのように、この程国際NGO「国境なき記者団(RWB、注後記)」の発表した国別ランキングにおいて、日本は前年より11下がって72位(同組織定義では“問題な状態”と評価)まで下落した。なお、主要7ヵ国(G7)も、米国を除いて全て評価を下げている。
4月20日付米
『ロス・アンゼルス・タイムズ』紙の報道記事「日本、報道の自由度でタンザニアよりも下位に下落」:
「・国際NGOのRWBが4月20日に公表した、報道の自由の評価に関する国別ランキング(180ヵ国・地域対象)で、日本はタンザニア(中央アフリカ東部の共和国)よりも下位の72位まで11位下落。
・今年の結果では、欧州が最も評価が高く、アジア太平洋地域の落ち込みが深刻。
・特に日本の評価下落が著しく、2011年3月発生の福島原発事故に関わる報道の不透明さ、2013年に安倍政権が制定した特定秘密保護法によるメディアの自主規制の昂揚、また、安倍首相の友人で国営放送NHK会長に就任した籾井勝人氏の“政府見解からはずれた報道は慎むべし”との発言、更には今年2月、高市早苗総務相による“(不公正な放送を繰り返す放送局の)停波発言”等々、報道の自由を脅かす問題が続発。...
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4月20日付米
『ロス・アンゼルス・タイムズ』紙の報道記事「日本、報道の自由度でタンザニアよりも下位に下落」:
「・国際NGOのRWBが4月20日に公表した、報道の自由の評価に関する国別ランキング(180ヵ国・地域対象)で、日本はタンザニア(中央アフリカ東部の共和国)よりも下位の72位まで11位下落。
・今年の結果では、欧州が最も評価が高く、アジア太平洋地域の落ち込みが深刻。
・特に日本の評価下落が著しく、2011年3月発生の福島原発事故に関わる報道の不透明さ、2013年に安倍政権が制定した特定秘密保護法によるメディアの自主規制の昂揚、また、安倍首相の友人で国営放送NHK会長に就任した籾井勝人氏の“政府見解からはずれた報道は慎むべし”との発言、更には今年2月、高市早苗総務相による“(不公正な放送を繰り返す放送局の)停波発言”等々、報道の自由を脅かす問題が続発。」
同日付米
『ボイス・オブ・アメリカ』の報道記事「報道の自由が世界的に悪化」:
「・RWBのクリストフ・デロワール専務理事は4月20日、多くの国家権力が報道管制を強化しようとしており、特に南米諸国で報道弾圧が激化と警告。
・最下位の180位はエリトリア(アフリカ北東部の一党独裁国家)で、179位北朝鮮、178位トルクメニスタン(中央アジア南西部の共和国)、177位シリア、176位中国は昨年と同じ。
・最上位はフィンランドで6年連続の首位。
・米国は41位(昨年49位)だが、依然国家による秘密情報収集(スパイ活動)が問題。
・評価大改善は30位のチュニジア(アフリカ北端の共和国、昨年96位)及び22位のウクライナ(東欧の共和国、昨年107位)。
・一方、大改悪はブルネイ(東南アジアのイスラム強国)及びタジキスタン(中央アジアの共和国)の34位下落。
・地域別には、欧州が最上位で次にアフリカが躍進、続いてアメリカ大陸、アジア、東欧、中央アジアの順。最悪な地域は北アフリカと中東。」
同日付フランス
『フランス24』オンラインニュース(
『AFP通信』記事引用)の報道記事
「報道の自由を監視する国際組織が“政府宣伝の時代”に突入と警告」:
「・RWBのデロワール専務理事は、新技術のお蔭で、国家権力が低コストで容易に報道規制を求める措置が可能に。
・安倍政権下の日本では、メディアによる自主規制の昂揚が認められたため、報道の自由度の評価は72位まで下落。
・トップはフィンランドで、以下オランダ、ノルウェーと北欧諸国。」
4月21日付フィンランド
『フィンランド・タイムズ』紙の報道記事「フィンランド、報道
の自由度評価で6年連続首位」:
「・フィンランドはRWBの報道の自由度評価で6年連続の首位。
・以下、2位オランダ、3位ノルウェー、4位デンマークと北欧が続き、5位ニュージーランド、6位コスタリカ(中央アメリカ南部の共和国)、7位スイス、8位スウェーデン、9位アイルランド、10位ジャマイカ(カリブ海の立憲君主国で英連邦の一国)。
・また、16位ドイツ(昨年12位)、38位英国(同34位)、41位米国(同49位)、45位フランス(同38位)、72位日本(同61位)、148位ロシア(同152位)。」
4月20日付韓国
『KBSニュース』の報道「韓国、報道の自由度で70位に下落」:
「・韓国の報道の自由度評価は70位と、今世紀最悪の結果。
・しかも、2013年50位、2014年57位、2015年60位と悪化傾向。
・政府によるメディア報道への干渉度合いが強まり、メディアの独立性が脅かされていることが原因。」
同日付北朝鮮
『北朝鮮時報』の報道記事「北朝鮮、報道の自由度評価でまたも下から2番
目」:
「・北朝鮮の報道の自由度評価は179位で、またしても下から2番目。
・国際組織が同評価を始めて15年になるが、報道の独立性の欠如、海外ラジオ放送の受信妨害、インターネット通信の禁止措置の理由から、北朝鮮は常に下位に低迷。
・北朝鮮憲法第67条では報道の自由が認められているが、実際は新聞、ラジオ、テレビとも、金一族、朝鮮労働党及び朝鮮人民軍の宣伝の手段。
・なお、韓国も10位評価を下げて70位。」
日本は、2010年(民主党鳩山政権)以前まで一桁台の指標(低いほど報道の自由度が高い)が続き、世界の中でもトップクラスの順位を誇っていた。しかし、近年ではLAタイムズ紙記事で述べられた種々の理由によって年々評価を下げ続けており、順位も2010年の11位から、2014年59位、2015年61位で今年の評価では72位まで落としている。先進国の中では特に悪い状態で、G7の中ではイタリア(77位)と同様に下位に低迷している。
(注)RWB(フランス語ではRSF):言論の自由(または報道の自由)の擁護を目的としたジャーナリストによる非政府組織。1985年、フランスの元ラジオ局記者ロベール・メナールによってパリで設立。
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