NGOの「国境なき記者団」は14日、2020年末時点で387人のジャーナリストが世界で拘束されているという年次報告書を公表した。昨年とほぼ同様の高い数字となっているが、今年は新型コロナウイルスの流行で、恣意的な逮捕が助長されたと見られている。
仏金融紙
『レゼコー』によると、「国境なき記者団」は、2020年末時点で拘束されているジャーナリストの数は、昨年同時期の389人に対し387人と、歴史的に見ても高いレベルにとどまっていると報告している。また、今年は32人が殉職している。
ジャーナリストが最も多く拘束されている国は昨年と同様に、5カ国に集中しており、半数以上(61%)を占める。昨年に引き続き首位は中国の117人、そしてエジプト30人、サウジアラビア34人、ベトナム28人、シリア27人となっている。...
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仏金融紙
『レゼコー』によると、「国境なき記者団」は、2020年末時点で拘束されているジャーナリストの数は、昨年同時期の389人に対し387人と、歴史的に見ても高いレベルにとどまっていると報告している。また、今年は32人が殉職している。
ジャーナリストが最も多く拘束されている国は昨年と同様に、5カ国に集中しており、半数以上(61%)を占める。昨年に引き続き首位は中国の117人、そしてエジプト30人、サウジアラビア34人、ベトナム28人、シリア27人となっている。
フランス日刊紙『ラクロワ』によると、投獄されている女性ジャーナリストの数も35%増加しており、2019年の31人に比べて今年は42人に増えている。国境なき記者団のクリストフ・ドロワール事務局長は、この職業で「ますます多くなっている女性も免れていない」と語っている。今年だけで、新たに17人の女性ジャーナリストが拘束されており、そのうち4人は、ルカシェンコ大統領の再選を不正とみなした国民が反政府デモを開始したベラルーシの女性ジャーナリストたちだ。
なお、今年最も顕著だったのは、新型コロナウイルスの世界的流行により、ほとんどの国で「緊急法または緊急措置が採択され」、「報道の自由への侵害が急増」したことだと報告されている。今年の3月から5月にかけて「逮捕・勾留」が4倍に膨れ上がったという。また、今年の2月から11月末までの間に新型コロナウイルスに関する報道への嫌がらせや攻撃事件は300件以上発生しており、450人近くのジャーナリストが被害を受けた。そのうち、「恣意的な逮捕と拘留」は、記録として残っている嫌がらせや攻撃の35%を占めていた。
新型コロナウイルスに関する報道の働きのために拘束されるジャーナリストは、通常、数時間ないし数日後、もしくは数週間後に釈放される。しかし、アジアでは中国7人、バングラデシュ2人、ビルマ1人、中東ではイラン2人、ヨルダン1人、アフリカではルワンダ1人、合計14人が「まだ獄中にいる」という。
独オンラインメディア『Deutsche Welle 』によると、国境なき記者団の報告書は、現在イギリスで収容されているウィキリークス創始者ジュリアン・アサンジ氏の拘留についても言及している。刑務所内で新型コロナウイルスが発生し、刑務所内の環境が悪化したため、アサンジ氏に対して事実上の隔離措置が取られた。報告書は、パンデミックの間に適切な医療処置を受けることのできていない投獄中のジャーナリストらの健康や、隔離措置による心理的影響への懸念を表明している。
なお、12月1日時点で、5人のジャーナリストが死刑判決を受けていたが、そのうちの1人、イラン人ジャーナリストのルーホッラー・ザム氏は12月12日に死刑が執行された。他の4人はイエメンのフーシ反政府勢力に拘束されている。
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