<ハイライト>(8月25日午後3時現在の総感染者数順の報告)
●欧州連合(EU):(1)欧州医薬品庁(EMA、1995年設立、本部オランダ・アムステルダム)は8月24日、フランスに米ファイザー・独バイオNテック製ワクチンの生産工場の追加設立を認可。
(2)欧州疾病予防管理センター(ECDC、2004年設立、本部スウェーデン・ストックホルム)によると、域内30ヵ国向けに5億1,700万回分のワクチン配布済みで、結果、域内成人の65%がワクチン接種(2回)完了。
●アフリカ:アフリカ疾病予防管理センター(ACDC、2017年設立、本部エチオピア・アディスアベバ)は8月24日、当初計画に比してワクチン配布の大幅遅延と相俟って、感染力強大のデルタ株ウィルス蔓延に遭い、“アフリカ大陸での免疫確保は全く望み薄”と警鐘。
●米国:(1)アンソニー・ファウチ米国立アレルギー・感染症研究所長(80歳、医師・免疫学者)は、米食品医薬品庁(FDA、1906年設立)が8月23日、米ファイザー製ワクチンに対して、完全認可する旨決定したことを受けて、これまで緊急用途に限る認可に不安を感じてワクチン接種をためらっていた人々のワクチン接種促進に繋がると歓迎。
(2)米エンターテインメント大手ウォルト・ディズニー(1923年設立)傘下のウォルト・ディズニー・ワールドリゾート(WDWR、1971年開業、フロリダ州オーランド)は、原則全従業員にワクチン接種を義務付けるとの会社側決定に関して組合側と合意したと発表。
●英国:スコットランド・カントリー当局は、年末までにCOVID-19感染症に対する医療・経済政策の検証に取り掛かると発表。なお、同カントリーでは行動制限緩和後、新規感染者が再増加していることから、再度の規制措置導入の可能性。
●イラン:保健省は8月24日、一日当たりの死者が709人と最多記録となり、8月22日に続いての更新と発表。5日間の都市封鎖措置を実施していたが、デルタ株ウィルス蔓延に歯止めかからず。
●イタリア(伊):全国における12歳以上のワクチン接種率(2回)は66%で、9月末までに80%達成可能と楽観的。
●パキスタン(巴基):当局は8月24日、感染再拡大を受けて、今後、全教職員及び17歳以上の学生・生徒にワクチン接種を義務付けると発表。ワクチン接種証明書はオンラインで取得可能。
●ギリシャ(希):当局は8月24日、重症者の90%以上がワクチン未接種者であることから、ワクチン接種促進に向けて厳しい措置を取ると発表。具体的には、医療や介護従事者でワクチン接種を拒む人は9月1日以降職務停止、また、事情によってワクチン接種不可の人は毎週検疫の上で陰性証明が必須。
<EU>
(1)・EMAは8月24日、サン・レミー・サーブル(パリ北部郊外)に米ファイザー・独バイオNテック製ワクチンの生産工場の追加設立を認可。これによって、今年5,100万回分のワクチン追加生産が可能になる。
・EMAはまた、ドイツ・マールブルク(中西部)にある独バイオNテック社工場の増産を認可。これによって、追加4億1千万回分の生産が可能になる。
・EMAは更に、米モデルナ社のインディアナ州・ブルーミントン工場の増産を認可。
(2)ECDCによると、域内30ヵ国向けに5億1,700万回分のワクチン配布済みで、結果、域内成人の65%がワクチン接種(2回)完了。なお、同センターは、フランスやドイツで進められている脆弱な人々を対象としたブースター接種(3回目)について、域内共通事項として認可するかどうか検討中。
<アフリカ>
・ACDCのジョン・ヌケンガソン所長(カメルーン出身のウィルス学者)は8月24日、各国の保健相らを前にして、年内に13億人の60%にワクチン投与するとの当初計画に比し、僅か30%に留まる見込みとなることから、このままでは “アフリカ大陸での免疫確保は全く望み薄”と表明。
・同所長は、世界各国でも感染力強大のデルタ株ウィルス蔓延に遭い、追加の都市封鎖措置が取り沙汰されている以上、ワクチン接種率が低調なアフリカではもっと深刻だと警鐘。
・なお、同所長はここ何ヵ月もの間、医療体制が整備された先進国が自国のみでのCOVID-19対策を進め、パンデミック(世界流行)からアフリカでのエンデミック(特定地域の流行)に押し込めてしまおうとしていると糾弾。
<米国>(感染者3,861万2,543人、死者64万1,219人、致死率1.7%)
(1)・ファウチ米国立アレルギー・感染症研究所長は、FDAが8月23日、米ファイザー製ワクチンに対して、完全認可する旨決定したことを受けて、これまで緊急用途に限る認可に不安を感じてワクチン接種をためらっていた人々のワクチン接種促進に繋がると歓迎。
・同所長は『NBC』の情報・ニュース番組「トゥデイ(1952年放送開始)」のインタビューに答えて、この完全認可で職場・大学・軍でのワクチン接種義務化に拍車がかかり、ワクチン接種率向上に期待が持てるとコメント。
・なお、政府データによると、全米の半数弱が依然ワクチン未接種。
(2)・WDWRは8月23日、先月発表した、全従業員に60日以内のワクチン接種を求めるとの会社側決定に関して、組合側と合意に至ったと発表。
・これに伴い、同社従業員は10月22日までにワクチン接種が求められ、治療や宗教上の理由で接種できない人は例外措置適用申請の提出が必須。合意対象となる組合所属の従業員は、全7万7千人のうちの4万3千人。
<英国>(感染者655万5,200人、死者13万1,854人、致死率2.0%)
・スコットランド当局は、年末までにCOVID-19感染症に対する医療・経済政策の検証に取り掛かると発表。死者の状況、その他健康被害、更には、感染流行に伴う経済的・社会的影響度が調査対象。
・同カントリーでは行動制限緩和後、新規感染者が再増加していることから、ニコラ・スタージョン首相(51歳)は、“再度の規制措置導入”の可能性を示唆。
<イラン>(感染者475万6,394人、死者10万3,357人、致死率2.2%)
・保健省は8月24日、一日当たりの死者が709人と最多記録となり、8月22日に続いての更新と発表。重症者が7,727人、新規感染者も4万600人と、1週間前の5万人超の最多記録に続く結果。
・直近で、国内移動に自家用車の利用禁止を含めた都市封鎖措置を5日間実施していたが、デルタ株ウィルス蔓延に歯止めかからず。
・なお、ワクチン接種(2回)済みの市民は全体の僅か8%で、また、マスク着用やソーシャルディスタンシング確保義務履行は40%弱の状況。
<イタリア>(感染者449万4,857人、死者12万8,855人、致死率2.9%)
・全国における12歳以上のワクチン接種率(2回)は66%で、9月末までに80%達成可能と楽観的。
・ワクチン対応責任者のフランセスコ・パオロ・フィグリューオロ将軍(60歳)は、夏季バケーションシーズン期間中にワクチン接種率が若干低下したが、今後再び上昇するとコメント。
・なお、8月25日以降、米ファイザー製ワクチン370万回分及び米モデルナ製ワクチン160万回分を全国に追加配布予定。
<パキスタン>(感染者113万1,659人、死者2万5,094人、致死率2.2%)
・連邦政府の計画・開発・改革・特別事業担当のアサド・ウマール大臣(59歳)は8月24日、感染再拡大を受けて、今後、全教職員及び17歳以上の学生・生徒にワクチン接種を義務付けると発表。
・それによると、10月15日以降、ワクチン未接種者は教育施設への入館が禁止され、また、電車・バス乗車券購入にワクチン接種証明書の提示が義務化。
・ワクチン接種証明書は、国立データベース登録庁からオンラインで取得可能。
<ギリシャ>(感染者56万6,812人、死者1万3,417人、致死率2.4%)
・保健省のバシリス・キキリアス大臣(47歳)は8月24日、集中治療室に入院中の重症者の90%以上がワクチン未接種者であることから、ワクチン接種促進に向けて厳しい措置を取ると発表。
・具体的には、医療や介護従事者でワクチン接種を拒む人は9月1日以降職務停止措置。
・そして、9月13日から来年3月31日の間、公共・民間問わず全従事者に対して、事情によってワクチン接種不可の人は毎週検疫の上で陰性証明の提示、あるいは、直近6ヵ月内にCOVID-19感染後完治したことの証明が必要。特に、教育現場、観光業、レストラン、カフェ、バーの従業員、テレビ・映画・劇場・ミュージカル関係者は、毎週2度検疫の上で陰性証明が必須。
・更に、屋内のレストラン・カフェ・バー・クラブ・娯楽施設の利用者は、入館前にワクチン接種証明書、あるいはCOVID-19完治証明書の提示を義務付け。
・なお、ワクチン接種済み・未済に拘らず、屋内の公共エリア、また、屋外の混雑した場所でのマスク着用を義務付け。
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ロシアは今秋総選挙を迎えるが、反政府勢力の台頭を警戒してか、投獄中の野党勢力代表アレクセイ・ナワルニー氏(45歳)当人及び同支援者らのSNSを使用不可にしている。そうした中、一時の気まぐれか、今年1月中旬から半年余り獄中にある同氏に対して、同氏の妻の面会を許可した。
8月6日付
『ロイター通信』:「野党勢力代表ナワルニー氏の妻が獄中の夫に3日間面会滞在」
野党勢力代表アレクセイ・ナワルニー氏の妻が8月5日、獄中にある夫との面会が許され、3日間刑務所隣接のホテルで滞在することができた旨インスタグラムで明らかにした。
同氏の妻ユリア・ナワルニー氏(45歳、経済学者)はSNS上で、夫から求められたボルシチシチュー・サクランボ等を持ち込んだが、“当局は、ボルシチの中に携帯電話が隠されていないか、パテを切り刻んでヘロインが入っていないか、更には、ドリンクにアルコールが入っていないか匂いをかいで確認していた”とし、更に“自身が衣服を脱いで不審物がないか調べる”とまで言われたと明かした。
ただ、ユリア氏によれば、ポクロフ(モスクワから約100㎞東)にある刑務所に隣接する面会者滞在用ホテルは“2つ星のちゃんとしたホテル”であって、監視用ガラスも鉄格子もない作りであり、“至福の3日間”を過ごせたという。
更に、ユリア氏によれば、夫はすごく痩せていて日焼けもしていたが、元気そうで微笑みを浮かべ、支援者に対してよろしく伝えるように言われたとする。
ナワルニー氏は、脚と背中に痛みを抱えていて、投獄後、十分な治療が受けられないことに反発して1ヵ月近くハンガーストライキを実行していた。
なお、ロシア国内では、投獄中の身であっても家族との面会を求める権利が認められているが、最終的には当該刑務官の判断に委ねられる。
今回、何故許可されたかについて、刑務所当局は一切コメントしていない。
一方、ロシア当局は先週、9月に予定されている総選挙での野党勢力台頭を恐れてか、ナワルニー氏及びロシア国内の支持者・支援団体の48ものSNSをブロックして使用できないようにしている。
同日付『DW(ドイチェ・ベレ、独国営放送局)』:「ナワルニー氏の妻、3日間の夫との面会にボルシチとサクランボを持参」
野党勢力代表のアレクセイ・ナワルニー氏の妻ユリア氏は8月5日のインスタグラムで、“痩せてはいたが元気そうな夫と至福の3日間を過ごした”と述べた。
ただ、面会に当たっては、“持ち込もうとしたボルシチやパテ等、徹底的に調べられ、自身も裸にされて不審物の有無をチェックされた”とも言及している。
同氏は、執行猶予期間中の出頭命令に従わなかったとして、1月中旬に帰国した途端に逮捕され、2年半の禁固刑を下されてポクロフ刑務所に投獄されている。
同氏や支援者によれば、そもそも容疑とされた横領罪そのものがでっち上げだとロシア当局を非難している。
なお、ユリア氏によれば、“至福の3日間が終わるや否や、彼は囚人服を着せられて独房に戻された”という。
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