エアバッグ製造のタカタがついに経営破綻≪米・フランス・ドイツ・中国メディア≫(2017/06/26)
エアバッグのリコール(回収・無償修理)問題で経営悪化していたタカタが、東京地裁に民事再生法の適用を申請し、また、同社子会社も米連邦破産裁判所に米連邦破産法11条適用申請し、経営破綻した。負債総額は1兆7,000億円超となるとみられ、日本の製造業として戦後最大の倒産となる。同社エアバッグの異常破裂が見られるようになったのが2000年代前半で、最初のリコール公表・開始が2008年11月、更に、同社の本格的対応着手が2014年になってからとの経緯より、重大問題に対する初期動作・リスク回避対応の落ち度が同社を倒産に追い込んだものと考えられ、今更ながら、時の経営陣の危機管理能力が問われる事態ではある。
6月26日付米
『CNBCニュース』(
『ロイター通信』配信):「日本及び米国で民事再生申請したエアバッグ製造のタカタ、米キー・セーフティ・システムに15億9,000億ドル救済を求める」
エアバッグ不具合問題で窮地に陥っていたタカタは6月26日、東京地裁に民事再生法適用を申請する傍ら、米国の自動車部品メーカーのキー・セーフティ・システム(KSS)に対して、15億9,000万ドル(約1,750億円)の資金援助を仰ぐことになった。...
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6月26日付米
『CNBCニュース』(
『ロイター通信』配信):「日本及び米国で民事再生申請したエアバッグ製造のタカタ、米キー・セーフティ・システムに15億9,000億ドル救済を求める」
エアバッグ不具合問題で窮地に陥っていたタカタは6月26日、東京地裁に民事再生法適用を申請する傍ら、米国の自動車部品メーカーのキー・セーフティ・システム(KSS)に対して、15億9,000万ドル(約1,750億円)の資金援助を仰ぐことになった。同社はまた、米連邦破産裁判所宛に、米連邦破産法11条適用申請も行っている。
タカタ最高経営責任者(CEO)の高田重久氏は、KSSの支援によって、今後継続される不具合品のリコール問題対応だけでなく、同社の需要家・仕入れ先・従業員対策に当っていけると表明した。
また、KSSのジェーソン・ルーCEOは、リコール問題はあっても、タカタの製品は続ける価値のある製品ゆえ然るべく対応していく、と語った。
なお、東京証券取引所は6月26日、タカタ株を整理銘柄に指定し、7月27日に上場廃止すると発表した。
同日付フランス
『AFP通信』:「日本のエアバッグ製造大手のタカタが民事再生法適用申請」
タカタのエアバッグ不具合問題では、多くの自動車メーカーがリコール対応に追われており、中でもホンダは既に、多額の損失計上を強いられている。
同社の高田CEOは、多くの関係者及び債権者に多大な迷惑を掛けたとして陳謝するとコメントした。なお、同社の最終負債総額は1兆円(90億ドル)以上に上るという。
同社のエアバッグ搭載車は、米国の7,000万台を含めて世界で1億台と言われており、トヨタやゼネラル・モーターズ等大手メーカーは、不具合製品か否かに拘らず、対象車全てをリコールとする安全対策を講じようとしている。
なお、同社は既に、米運輸保安庁(TSA)他に対して、罰金10億ドル(約1,100億円)の支払いに同意している。
同日付ドイツ
『DW(ドイツ通信)』:「不具合エアバッグ製造のタカタが民事再生法適用申請」
『NHKニュース』報道によると、タカタは6月26日、負債総額90億ドルを抱えて民事再生法適用申請をしたという。また、同社は米国においても、100億~500億ドル(1兆1,000億~5兆5,000億円)の負債を抱えて、米連邦破産法11条適用申請を行っている。
同社のエアバッグ・シートベルト他事業は、中国のニンボー・ジョイソン・エレクトロニック(寧波均勝電子)傘下の米KSSが引き継ぐことになった。
同社の不具合エアバッグのリコールは2008年に開始されたが、世界中で約1億台に搭載されており、ホンダ、フォード、フォルクスワーゲン、BMWなど19社の自動車メーカーがリコール対応に追われている。
米KSSから支援される資金のうち10億ドルは、米司法省宛の罰金2,500万ドル(約27億5,000万円)含め、米当局宛の罰金支払いに充てられる。また、1億2,500万ドル(約137億5,000万円)がエアバッグ不具合による事故の犠牲者宛ての賠償に、更に、8億5,000万ドル(約935億円)が自動車メーカーのリコール費用の求償に充てられる。
同日付中国
『チャイナ・ナショナル・ニュース』:「タカタ、日本と米国で破産法申請」
タカタ製の不具合エアバッグによって、世界で16人が犠牲となり、180人が負傷している。
また、米国内の6,900万台含めて、世界で1億台がリコール対象とされており、米自動車史上では最大規模のリコールとなっている。ただ、6,900万台のうち依然22%(約1,500万台)しかリコールされておらず、残り5,400万台のリコール費用だけでなく、不具合エアバッグの事故発生の恐れがある。
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米国防総省の中国軍事力分析報告に対して中国が目くじら<米・英・ドイツ・ロシア・中国メディア>(2017/06/09)
トランプ政権は、北朝鮮問題解決を優先するため、親中政策を取りつつあるが、こと中国の軍事力については脅威に感じている模様で、南シナ海含めたアジア地域での軍拡政策に神経を尖らせ、年次報告の中で強い懸念を表明している。一方、中国側はいつもどおり、米国が根拠もなく悪戯に中国の軍事力が脅威だと煽っていると厳しく非難している。
6月7日付米
『ワシントン・ポスト』紙(
『AP通信』配信):「中国、米国防総省の中国軍事力分析報告に噛みつく」
中国外交部の華春瑩(ホァ・チュンイン)報道官は6月7日、米国防総省が6月6日にリリースした年次報告の中で、中国が南シナ海の人工島を軍事拠点化しているとか、中国が海外に更に軍事基地を建設しようとしている等、“根拠のない分析報告”を公表したことについて“断固として反対する”と表明した。...
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6月7日付米
『ワシントン・ポスト』紙(
『AP通信』配信):「中国、米国防総省の中国軍事力分析報告に噛みつく」
中国外交部の華春瑩(ホァ・チュンイン)報道官は6月7日、米国防総省が6月6日にリリースした年次報告の中で、中国が南シナ海の人工島を軍事拠点化しているとか、中国が海外に更に軍事基地を建設しようとしている等、“根拠のない分析報告”を公表したことについて“断固として反対する”と表明した。同報道官は、中国は常に、アジア太平洋地域、更には世界の平和と安定のために尽くしているとも付言した。
中国は目下、ジブチ(アフリカ東北部、紅海に面した共和国)に海外初の軍事基地を建設中であるが、アフリカの角と呼ばれるソマリ半島(アフリカ大陸東端の半島)にある米軍ルモニエール基地に近接している。中国側は、エデン湾の海賊退治、及び同地域における国連平和維持軍の活動への参加の拠点とするためと説明している。
なお、米国防総省の年次報告は、中国は長く友好関係にある国、例えばパキスタンなどに軍事基地を建設したり、また別の国には中国軍艦をしばしば寄港させることで、これらの国々を中国の勢力下に置こうとしているとも言及している。
同日付英
『デイリィ・メール・オンライン』:「中国が“南シナ海島嶼を完全軍事拠点化”」
米国防総省の年次報告の中で、中国は既に、南シナ海の南沙(スプラトリー)諸島内の人工島に、戦闘機用格納庫、滑走路、水・燃料貯蔵槽、大型港湾、通信施設、兵舎等を建設済みであると報じた。
同報告はまた、パキスタンやジブチで新たな軍事基地建設を進めているとも言及した。ジブチには米軍ルモニエール基地があるが、米軍高官は、側に中国軍基地が建設されることで脅威は感じないとしている。しかし、パキスタンについては、(パキスタンと国境問題を抱える)インドなどが中国の軍事展開を快く思っていない。
同日付ドイツ
『DW(ドイツ通信)』:「米国防総省報告、中国の海外軍事展開に懸念」
米国防総省は、毎年米議会宛に年次報告を提出しているが、6月6日リリースの今年版の中で、中国による南シナ海、パキスタン、ジブチ等での海外軍事展開について触れ、中国の軍事増強が世界の関心の的になっていると言及した。
また、同報告では、中国の実際の国防費が、公表値の1,400億ドル(約15兆4,000億円)を遥かに凌ぐ1,800億ドル(約19兆8,000億円)と分析されるとも報じられている。
これに対して中国外交部は、当該報告は“憶測”に基づく誇大表現だらけであり、中国の軍事については、国防費含めて“透明性が確保”されていることは明白である、と猛反発している。
同日付ロシア
『スプートニク・インターナショナル』オンラインニュース:「中国、米国防総省の中国軍事展開計画についての報告は“無責任な内容”と酷評」
米国防総省の年次報告によると、中国が既に建設着手している国産空母は、2020年までには就役するとしている。また、中国が東・南シナ海において、“戦争に至らない程度の威圧”を継続的に仕掛けているとも報じた。
これに対して中国外交部の華報道官は、同年次報告は事実に基づかず、中国の主権擁護及び安全保障のための軍事政策について、無責任な表現を使用していると非難した。
一方、6月8日付中国
『チャイナ・デイリィ』:「米国、理由もなく中国を敵視」
米国防総省の年次報告は、中国が“威圧”しているとの表現を使っているが、南シナ海の領有権問題について、中国が目下フィリピン・ベトナムと対話を通じ、解決に向け努力している事実に目を背けている。
その他、多くの矛盾を含む報告がなされているが、そもそも米国は、国防に関わる“2018年予算請求”において、ロシア・イラン・北朝鮮とともに、中国を“仮想敵”と見做していることから、中国の国内外軍事政策について、偏見を持った見方をしていることは明らかである。
例えば、中国がジブチなどで進めている軍事施設の建設などは、災害時の救出、捜索、人道支援、海上交通の安全保障等、地域の平和に資する目的であるのに、それを意図的に曲解して軍事増強と騒ぎ立てている。
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