7月5日付
『CNNニュース』は、日本における少子高齢化対応ビジネスを紹介するとともに、世界で加速度的に進む高齢化について報じている。
国連の昨年公表のデータによると、世界における65歳以上の人口は2050年までに16億人と、現在の倍以上になるという(編注;国連推計によると、そのときの世界人口は97億人ゆえ、高齢者人口割合は16%超)。
そうした中、各国は少子高齢化社会に以下のように対応しようとしている。...
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7月5日付
『CNNニュース』は、日本における少子高齢化対応ビジネスを紹介するとともに、世界で加速度的に進む高齢化について報じている。
国連の昨年公表のデータによると、世界における65歳以上の人口は2050年までに16億人と、現在の倍以上になるという(編注;国連推計によると、そのときの世界人口は97億人ゆえ、高齢者人口割合は16%超)。
そうした中、各国は少子高齢化社会に以下のように対応しようとしている。
● 日本の状況
・2023年の出生数は72万7,277人と、8年連続で減少し、かつ1899年のデータ収集開始以来最低値。
・昨年の65歳以上人口は30%、また80歳以上も10%と世界最多。
・岸田文雄首相(66歳、2021年就任)は昨年6月、数十億ドル(数千億円)規模の少子化対策パッケージを公表。
・王子製紙は今年3月、自社製の紙オムツを乳幼児用から高齢者用に転換と発表。実際問題、同社の2023年紙オムツの売上高は高齢者用が乳幼児より+7.3%も多い。
・日本全体では、昨年の高齢者用紙オムツの売上高は17億ドル(約2,720億円)で、2026年には19億ドル(約3,040億円)と世界全体の12%超を占めると推定。
・因みに、ユーロモニターインターナショナル(EI、注後記)によれば、世界全体での高齢者用紙オムツは昨年の128億ドル(約2兆480億円)から2026年には155億ドル(約2兆4,800億円)まで伸びると試算。
・電機メーカー大手のパナソニック(1935年前身設立)は、1990年以降既に少子高齢化社会に向けた商品開発に取り組み済み。
・家電機器メーカーの象印(1948年前身設立)は、高齢者が使用すると登録先にメールで使用通知する電子回路を組み込んだ電気ポットを販売しており、離れた場所に居住の家族・親戚等が当該高齢者の行動把握が可能。
● 韓国
・2023年の合計特殊出生率は、前年の0.78より減少して過去最低を更新。日本の1.2より更に深刻。
・そこで低出生率対策省を立ち上げて具体策に取り組み。
● 世界全体の高齢化状況
・国連データによると、2050年における65歳以上の人口割合トップ10には、以下のとおりアジアの6ヵ国・地域が入ると推定。
①香港40.6%、②韓国39.4%、③日本37.5%、④イタリア37.1%、⑤スペイン36.8%、⑥台湾35.3%、⑦ギリシャ34.8%、⑧ポルトガル34.5%、⑨シンガポール34.2%、⑩クウェート33.6%。
・因みに、2021年実績は、①日本29.8%、②イタリア23.7%、③フィンランド22.9%、④ポルトガル22.6%、⑤ギリシャ22.5%、⑥ブルガリア22.4%、⑦プエルトリコ22.4%、⑧ドイツ22.2%、⑨マルティニーク(西インド諸島のフランス海外県)22.2%、⑩クロアチア22.0%。
・同じく国連データによると、2100年までには欧州、北米、中南米、カリブ海地域における65歳以上人口割合が30%超となる一方、唯一アフリカ大陸のみが15%以下で推移と推定(編注;そのときの世界人口は110億人と推計)。
(注)EI:ロンドンに本部を置く、企業および消費者市場の戦略的調査を行う会社。1973年設立。世界16都市に拠点保有し、世界80ヵ国の200以上のカテゴリーに分類される企業及び市場のデータ収集・分析を実施。
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7月2日付
『CNNニュース』は、日本の新札発行に当たり、これまで日本が経済支援を行っている途上国のひとつであるネパールが、現在では紙幣原料となるミツマタの主要供給元となっていると報じた。
世界ではキャッシュレス決済が進み、特に中国ではほとんど全ての商行為がデジタル決済となっている。
しかし、日本においては、キャッシュレス決済が浸透してきているものの、経済産業省データによれば、依然全取引の60%以上が現金決済となっている。...
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7月2日付
『CNNニュース』は、日本の新札発行に当たり、これまで日本が経済支援を行っている途上国のひとつであるネパールが、現在では紙幣原料となるミツマタの主要供給元となっていると報じた。
世界ではキャッシュレス決済が進み、特に中国ではほとんど全ての商行為がデジタル決済となっている。
しかし、日本においては、キャッシュレス決済が浸透してきているものの、経済産業省データによれば、依然全取引の60%以上が現金決済となっている。
そうした中、日本銀行がこの程、約20年振りに新札(正式名称日本銀行券)を発行することになった。
ただ以前と大きく違うことは、紙幣の主原料であるミツマタ(またはペーパーブッシュ)が、途上国のひとつであるネパール(編注;2024年世界GDPランキングで、対象189ヵ国中99位)から輸入されていることである。
かつてミツマタは、兵庫県や徳島県の農家で生産されていたが、少子高齢化に加えて、多くの若者が東京や関西圏等の大都市に移転してしまい、生産農家が激減してしまった。
そこで、1990年代、途上国支援の一環でネパールにおいて農業支援を行っていた(株)かんぽう(注後記)が、同国ヒマラヤ山脈の麓で自生するミツマタの大量栽培を現地農家と共同で行い、現在では日本向けの主要供給元となっている。
同社の松原正社長(2013年就任)は、“これまで日本政府がネパールを経済支援していたが、今やネパールは紙幣用特殊原料のミツマタの最大供給元であり、日本経済を助けていると言っても過言ではない”とコメントしている。
同社長によれば、ミツマタは、初夏に苗を植えて秋に枝を収穫し、数ヵ月かけて樹皮を蒸して皮をむき、洗浄・乾燥などの処理を行うため、原紙ができるまでには非常に時間と手間がかかるという。
冬季になって出来上がった原紙は、首都カトマンズに送られ、その後トラックでインド北東端のコルカタ(旧カルカッタ)に運ばれ、船で横浜港へ輸送された後、国立印刷局(1871年)によって小田原工場等で紙幣に生まれ変わる。
なお、2022年におけるネパール産ミツマタの対日輸出高は120万ドル(約1億9千万円)と全輸出高の9%以上も占めている(国際貿易データ収集・分析専門の「経済複雑性指標ウェブサイト」(マサチューセッツ工科大学内で1962年設立、2012年独立)によるデータ)。
(注)(株)かんぽう:官報や政府刊行物の販売、和紙原料ミツマタの輸入・販売等を行う1948年設立の企業。本社大阪市。
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