ハマスのイスラエル攻撃による石油価格への影響
パレスチナ自治区ガザでイスラム武装組織ハマスが7日、イスラエルへの攻撃を開始、ここ数十年で最も激しい紛争となっている。中東での戦闘激化による供給不安から原油価格も上昇した。
10月9日付英
『BBC』:「ハマスのイスラエル攻撃で石油価格上昇」:
イスラエルとガザ地区の状況悪化で、中東での産出中断への懸念から石油価格が急騰。国際的指標となる原油先物価格は、1バレルあたり2.25ドル上昇し、86.83ドルとなった。
ハマスのイスラエル攻撃はここ数十年のうち最も激しい紛争を引き起こしている。西側諸国はこの攻撃を批判。パレスチナ武装組織ハマスのスポークスマンは、最大産油国であるイランの支持を受けているとしたが、イランは8日国連安全保障会議の場で関与を否定。...
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10月9日付英
『BBC』:「ハマスのイスラエル攻撃で石油価格上昇」:
イスラエルとガザ地区の状況悪化で、中東での産出中断への懸念から石油価格が急騰。国際的指標となる原油先物価格は、1バレルあたり2.25ドル上昇し、86.83ドルとなった。
ハマスのイスラエル攻撃はここ数十年のうち最も激しい紛争を引き起こしている。西側諸国はこの攻撃を批判。パレスチナ武装組織ハマスのスポークスマンは、最大産油国であるイランの支持を受けているとしたが、イランは8日国連安全保障会議の場で関与を否定。イブラヒム・ライシ大統領はハマスの攻撃への支持を表明している。
9日イスラエルは米国の石油大手シェブロンに対し、ガザ地区からは砲撃の射程内に位置するイラン北部沿岸のガス田タマルでの生産停止を指示した。イスラエルのエネルギー相は、国内の需要を十分満たす供給があるとする一方、イスラエル最大の沿岸ガス田リヴァイアサンは通常通り稼働を継続するという。
イスラエルやパレスチナ自治区は石油産出地域ではないが、中東が世界のほぼ3分の1を担っている。専門家は、イランやサウジアラビア等の近隣の産油国に紛争の影響が拡大するとの懸念から、石油価格が上昇したとみている。2022年2月のロシアのウクライナ侵攻後は石油価格が上昇し、昨年6月には1バレルあたり120ドル台を更新した。
今後事態はどのような展開になるのか不透明なため、クライシスの際に投資家が購入する財務省長期債券やドルへの投資が増えるとみられている。イスラエルの中央銀行は9日、為替安定維持のため300億ドルの外貨を売却すると発表。
主要産油国のサウジアラビアは7月、1日あたり100万バレルの減産を発表。他のOPECプラス加盟国も減産継続に合意した。OPECプラスは世界の原油の40%を占めており、その決定は石油価格に大きな影響を与える。
同日付米『CNBC』:「イスラエル・ハマス紛争で石油価格上昇」
先週イスラム武装組織ハマスがガザ地区でイスラエルへの奇襲をかけたことから、石油価格が3%以上上昇した。
しかし専門家によると、ガザやイスラエルは石油の産出量がそれほど多くないため、紛争への第三者の介入がない限りは、全体的な石油市場や天然ガスの価格への影響は限られたものになるとみられている。
一方のロシアは石油や天然ガス輸出の中心に位置している。ただしイランは不確定要素であり、イスラエルの攻撃ではハマスを称賛し支持する姿勢をみせたが、関与は否定している。
気温が下がる時期のため、石油価格は上昇する傾向にあり、今後数ヶ月は紛争悪化の場合に備え状況を見守る必要がある。
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米バイデン政権、トランプ前大統領の壁建設再開へ
バイデン米政権は、9月に最高水準に達している不法移民対策として、トランプ前大統領の目玉政策であったメキシコ国境の壁の建設を再開すると発表した。
10月5日付米
『CNBC』:「米政府がトランプの壁再建を迅速化、”増設しない”公約から数年で転換」
バイデン政権は、テキサス州リオグランデ渓谷のメキシコ国境に約20マイルの壁を増設するため、20数項目の連邦法の適用を免除するとの大幅な方針転換を示した。
2020年の民主党キャンペーンでバイデン氏は、任期中の壁再建はないと公約していた。2021年1月の大統領就任後は、共和党による不法移民の阻止の一環として、トランプ前政権が最優先事項としていた壁建設の終了を宣言していた。...
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10月5日付米
『CNBC』:「米政府がトランプの壁再建を迅速化、”増設しない”公約から数年で転換」
バイデン政権は、テキサス州リオグランデ渓谷のメキシコ国境に約20マイルの壁を増設するため、20数項目の連邦法の適用を免除するとの大幅な方針転換を示した。
2020年の民主党キャンペーンでバイデン氏は、任期中の壁再建はないと公約していた。2021年1月の大統領就任後は、共和党による不法移民の阻止の一環として、トランプ前政権が最優先事項としていた壁建設の終了を宣言していた。
方針転換は5日、国土安全保障省が明らかにし、壁増設を促進する目的で、大気浄化法(CAA)、安全な飲料水法(SDWA)、絶滅危惧種法(ESA)等の法の適用を免除することが発表された。バイデン氏は国会で、壁資金が別の資金に変更出来なかったためだと説明した。
今回の政策転換には、メキシコ国境に移民が大量に押し寄せており、民主党の知事らから政府への要請があったことも背景にある。政府によると、2022年10月以来、リオグランデ渓谷には24.5万人の不法移民が押し寄せているという。
イリノイ州のプリツカー知事は先週の書簡で、政権の移民政策が「効果を奏していない」と批判した。NBCは先週、国民の半数以上が「民主党より共和党のほうが国境の治安改善に努めている」とする世論調査結果を公表している。
10月6日付『ロイター通信』:「バイデン氏、トランプ政権の資金で国境の壁建設再開へ」:
バイデン政権は5日、トランプ前大統領の目玉政策だった移民対策のメキシコ国境の壁の一部を追加建設すると発表。
トランプ氏はSNS上に、「私は何度も言ってきているが、数千年もの間役に立ってきたのはこの2つしかない、車輪と壁だ!バイデンはこれほど時間がかかったことを私や国民に謝罪するだろうか」と投稿した。一方、メキシコのアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール大統領は、この動きを「後退」だと批判した。
移民政策は、大統領選挙の争点となるとみられ、9月のロイター・イプソス世論調査によると、国民の54%が「移民は米国人の生活に悪影響」としている。
9月はメキシコ国境を超える移民の数は最高に達した。バイデン大統領は当初、トランプ前政権の政策の多くを廃止すると宣言していたが、コロナウイルス流行時の国境管理措置「タイトル42」を継続。5月に停止した後も、検問所に入る前に事前に政府のアプリで予約をとる方式を採用したり、違法入国者へより厳格な措置を義務付けた新たなルールを採用した。
新ルール発表後、一時的に移民は減少したが、ここ数週間はベネズエラ経由が増えたことで、移民は再び増加。過去2年間、ダリエンギャップと呼ばれるコロンビアとパナマの間のジャングルを経由し、経済的政治的困難から抜け出そうとするベネズエラ人がメキシコ国境に流入。5日政府は、ベネズエラとの関係悪化で停止されていたベネズエラへの強制送還を再開すると発表した。
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