米著名政治コンサルタントが著した「現行犯:中国を利して巨額の富を得た米国人エリート」がベストセラーとなっている。それは、同著の中で、対中強硬策をバイデン政権に求める共和党に所属していながら、20人もの元及び現職議員が、中国ビジネスで大儲けしていることを告発しているからである。
2月17日付
『ブライトバート』オンラインニュース(2005年設立の保守系メディア)が、「中国に寝返った20人の共和党政治家」と題して、米著名政治コンサルタントのピーター・シュワイツァー氏(57歳)のベストセラー著作「現行犯:中国を利して巨額の富を得た米国人エリート」の内容について詳報している。
すなわち、同氏は、米国と敵対する中国と特異なビジネス及び政治的関係を通じて、大儲けしている20人の共和党所属の元及び現職議員を以下のように告発している。
●上院院内総務ミッチ・マコーネル上院議員(79歳、ケンタッキー州選出、1985年より現職)
マコーネル議員と夫人のイレーン・チャオ氏(68歳、トランプ政権下で運輸長官)は、彼女の父親が立ち上げた海運会社フォアモースト・グループ(FG、1964年設立)を通じて、造船業大手の中国国営企業・中国船舶工業集団(1999年設立)等と密接な関係を築き、巨額の利益を上げている。
マコーネル夫妻が1993年に中国訪問した後、FGは2001~2011年の間に中国国営企業から10隻もの大型船を受注している。
シュワイツァー氏は、“マコーネル議員が中国にとって好ましくない政策を推進したなら、これら受注案件は一夜にして反故にされるであろうことは疑いもないことだ”と記している。
●元大統領ジョージ・H.W.ブッシュ(1924~2018年)及び元フロリダ州知事ジェブ・ブッシュ(69歳)
ブッシュ家の中国との関係が始まったのは、ジョージ・H.W.ブッシュ元大統領(1989~1993年在任の第41代)がレーガン政権下で副大統領(1981~1989年)を務めていたときであったが、栄華を極めたのは大統領就任以降であった。
まず、ブッシュSr大統領が1989年に中国を正式訪問することになる数日前の同年2月、同大統領の兄の実業家プレスコット・ブッシュ(1922~2010年)が訪中して中国高官と面談し、上海に外国企業重役専用のゴルフ場を建設する契約を受注。
更にプレスコットは、米企業・アセットマネジメント国際金融を代表して別の中国高官とも面談し、同社の中国における事業発展に貢献(同社から年25万ドル、約2,880万円の報酬受領)。
具体的には、ブッシュSr大統領が数ヵ月後に中国向け輸出制限緩和を行った結果、同社は中国向けに衛星通信システムの大型契約を受注している。
また、プレスコットは1993年、米中商工会議所(USCCC)を設立し、今日現在も米中経済関係を繋ぎ止めるはたらきをしている。
一方、2001年にジョージ・W.・ブッシュが第43代大統領(当時54歳、2001~2009年在任)に就任して以降、シュワイツァー氏は、“ブッシュJr大統領の弟であるジェブ・ブッシュ(1953年生れ、1999~2007年フロリダ州知事)及びニール・ブッシュ(1955年生れ、実業家)を含めたブッシュ家が一丸となって中国高官らとの親密な関係を再び築き上げた”と記している。
まず、ニール・ブッシュは、中国企業のグレース半導体製造社(2003年設立)から年40万ドル(約4,600万円)の報酬を受けて米中間ビジネスに深く関わっている。
また、ジェブ・ブッシュは2013年、多くの中国人実業家との接触を開始し、ブリトン・ヒル持株会社を立ち上げて2,600万ドル(約29億9千万円)の資金を中国複合企業・海航集団(2000年設立、現在は経営再建中)傘下の液化石油ガス(LPG)輸送会社に投じ、巨額の利益を享受している。
●元下院議長ジョン・ベイナー(72歳、オハイオ州選出、1990~2015年在任)
シュワイツァー氏は、ジョン・ベイナーが下院議長だった2011年、中国の為替操作政策の責任を問う法案阻止を企んで中国大使館がスクワイア・パットン・ボッグス法律事務所(SPB、1890年設立)にロビー活動を託したことを受けて、同議長独断で同法案成立を阻止。SPBは成功報酬として3万5千ドル(約400万円)を獲得。
ベイナーは2015年に政界引退後、SPBの“戦略顧問”に就任しており、シュワイツァー氏は、“同法律事務所は、中国政府と深い関係を築いている米国内で最も影響力ある会社のひとつとなっている”と記している。
更にシュワイツァー氏は、“SPBはベイナーの後押しもあって、今や中国政府に加えて、総合化学メーカーの中国化工集団(ChemChina、1984年設立)、世界最大の鉄道車両メーカーの中国中車有限公司(2001年前身設立)、通信機器大手メーカーの華為技術有限公司(ファーウェイ、1987年設立)、及び化学メーカーの万華化学集団公司(1998年設立)等、多数の中国政府系企業の顧問契約を獲得している”と告発している。
●元ミシシッピー州知事ヘイリー・バーバー(74歳)
“米議会における中国利益を最も増殖させたことで著名”なのは、米中交流財団(CUSEF、2008年設立)である。
CUSEFは香港の富豪で中国共産党政府と緊密な董建華(トゥン・チーホア、84歳、初代香港行政長官)が設立したもので、米国における活動拠点確立に当たって、ヘイリー・バーバー元ミシシッピー州知事(2004~2012年在任)が退任後に加わったロビー活動企業BGRグループ(1991年設立)を起用して奏功。
CUSEFは同社に対して、成功報酬として37万ドル(約4,260万円)支払っている。
●元上院議員デビッド・ビッター(60歳)
中国の監視機器メーカーのハイクビジョン(2001年設立)は、中国国防部傘下の通信機器メーカー中国電子科技集団公司(2002年設立)の関係会社であるが、中国政府より新疆ウィグル自治区の収容所に収監されているウィグル族を監視する設備を受注している。
そして、ハイクビジョンが米国における監視カメラの販売網拡大を支援したのが、デビッド・ビッター元上院議員(ルイジアナ州選出、2005~2015年在任)が共同経営者となっているロビー活動企業マーキュリー・パブリック・アフェアーズ(MPA、1999年設立)であった。
●元アイオワ州知事テリー・ブランスタッド(75歳)
テリー・ブランスタッド元アイオワ州知事(1983~1999年及び2011~2017年在任)は、ドナルド・トランプ大統領によって2017年に駐中国大使に指名されて就任して以来、習近平国家主席(68歳)の“旧友”と目されていることもあって、同大統領が進める“中国製品・サービスの輸入制限”政策を緩和させようと尽力している。
更に、シュワイツァー氏によれば、ブランスタッドの2人の息子も中国のために奔走していたとする。
まず、長男マーカス・ブランスタッドは、同大統領の中国製品への追加関税政策に反対する米化学協会(ACC、1872年設立)に代わってロビー活動を展開。
ACCには、世界有数の化学会社で中国政府も間接的に出資している万華化学(1998年設立)も加盟している。
また、次男エリック・ブランスタッドは、2016年にトランプ候補のアイオワ州キャンペーン本部長を務め、その後商務省とホワイトハウス間調整官に就任。
エリックは2018年6月に訪中し、中国高官と面談したが、その後しばらくしてトランプ政権が中国通信設備・端末メーカーの中興通信(ZTE、1985年設立)との契約を成立させている。
なお、エリックはその後数年間、中国企業のロビー活動を手伝っているMPAでも就労していた。
●元下院議員チャールズ・ブスタニー(65歳)
チャールズ・ブスタニー元下院議員(ルイジアナ州選出、2005~2012年在任)は、トランプ政権下での米通商代表部トップ就任に失敗した後、中国のために米国での影響力を拡大する手先となっているCUSEFに就職。
ブスタニーは2019年、CUSEF丸抱えで元下院議員らを訪中させて米中関係改善を図る一方、対中関税政策に反対する全米キャンペーン母体“関税は米中心部に損失”グループを通じてトランプ政権に関税政策緩和をはたらきかけ。
●元上院議員ノーマン・コールマン(72歳)、元下院議員コニー・マック4世(54歳)、元下院議員ジョン・クリスチャンセン(58歳)
中国通信設備・端末メーカー大手のZTEは、中国人民解放軍(PLA、1927年設立)と密接な関係にあるが、同社の米国における活動を補佐しているのがノーマン・コールマン元上院議員(ミネソタ州選出、2003~2009年在任)、コニー・マック4世元下院議員(フロリダ州選出、2005~2013年在任)、及びジョン・クリスチャンセン元下院議員(ネブラスカ州選出、1995~1999年在任)である。
特に、コールマンが所属するホーガン・ロベルズ法律事務所(1990年前身設立)は、ZTEの米議会における支援獲得のためのロビー活動を行っており、2019年に報酬として300万ドル(約3億4,500万円)近くを得ている。
●元上院議員ウィリアム・コーエン(81歳)
ウィリアム・コーエン元上院議員(メーン州選出、1979~1997年在任、クリントン政権下で1997~2001年国防長官就任)は2001年、軍関係企業のロビー活動を行うコーエン・グループを立ち上げ、海外4拠点のうち中国に2拠点設営。
同社を通じて、習国家出席が推進する「一帯一路経済圏構想」を米議会に浸透させるよう活動。
なお、コーエンは、天津市政府の顧問に就任しているだけでなく、同市在の南開大学(1904年設立の国立大学)の名誉教授にもなっている。
●元上院議員ティム・ハッチンソン(72歳)、元下院議員ロドニー・フリーリングハイゼン(75歳)
ティム・ハッチンソン元上院議員(アーカンソー州選出、1997~2003年在任)は目下グリーンバーグ・トゥローリグ法律事務所(1967年設立)に所属していて、企業間電子商取引大手のアリババグループ(1999年設立)のためのロビー活動を行っている。
同事務所は2020年、アリババグループから20万ドル(約2,300万円)の報酬を得ている。
また、ロドニー・フリーリングハイゼン元下院議員(ニュージャージー州選出、1995~2019年在任)もアリババグループのロビー活動に参画している。
●元上院院内総務トレント・ロット(80歳)、元下院議員エド・ロイス(70歳)、元下院議員ジェフ・デナム(54歳)
トレント・ロット元上院院内総務(ミシシッピー州選出、1989~2007年上院議員、1996~2001年院内総務在任)は、ソーシャルメディアの動画共有サービスのティックトック(2016年開始)を運営するバイトダンス(2012年設立)のロビー活動を担っている。
ジェフ・デナム元下院議員(カリフォルニア州選出、2013~2019年在任)もバイトダンスのロビー活動を行っており、2020年には同社から報酬16万ドル(約1,840万円)を得ている。
シュワイツァー氏は、“バイトダンス社内には中国共産党下部組織が組み込まれており、同社自身、政治的状況を検閲していると認めている”と糾弾している。
一方、エド・ロイス元下院議員(カリフォルニア州選出、1993~2019年在任)は、中国公安部(省に相当、1954年設立)及びPLAと密接な関係にあるソーシャルネットワークサービス大手テンセント(1998年設立)のロビー活動を行っている。
同社の技術及び製品は、中国共産党政府が14億人の国民の情報把握に寄与していると言われる。
同社はロイスの活動に対して、2020年に33万ドル(約3,800万円)の報酬を払っている。
●元下院議員リー・テリー(60歳)、元下院議員ジャック・キングストン(66歳)、元下院議員クリフ・スターンズ(80歳)
リー・テリー元下院議員(ネブラスカ州選出、1999~2015年在任)及びクリフ・スターンズ元下院議員(フロリダ州選出、1989~2013年在任)は、PLAと緊密な関係にある通信機器大手メーカーのファーウェイのためにロビー活動を行っている。
スターンズは、同じくPLAと深い繋がりのあるコンテナ輸送大手の中国遠洋運輸集団公司(1993年設立)のロビー活動も行っている。
一方、ジャック・キングストン元下院議員(ジョージア州選出、1993~2015年在任)は、中国国営の総合化学メーカーChemChinaのロビー活動を担っている。
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11月25日付け
『インベスターズビジネスデイリー』は《アップル社の新情報で有機ELメーカー株が変動》と題して、同日、成長株50銘柄中、電子機器のフラットパネル用有機ELデバイスを製造する”ユニバーサルディスプレイ”が平均を大きく上回り、7%増で値上がり率一位となった、と報じた。これは、「コリアタイムス」でアップル社が今後数年の間にアイフォンへの有機EL採用に移行する事を示唆した為と見られる、と報じた。
株式市場は木曜は感謝祭で、金曜朝まで動きはない模様。
一方、11月26日付け
『ロイター』は「日経経済新聞」伝とし、アイフォンの液晶パネル製造請負会社の株が下がったことを報じた。これはアップル社が有機ELパネルを導入するとの情報を受けての事、と伝えた。
11月22日付け
『コリアタイムス』
サムソンがLGに取って代わろうとしている。サムスンは過日アップルと交渉、アイフォンへの有機EL採用かと思われる。幹部によると、このような動きはサムスンディスプレイのサムソン電子への依存を改善する経営改善が目的だ。サムスンディスプレイ製有機ELパネルはこれまでギャラクシーのスマートフォンで採用されていたが、スマートフォンでは需要が見込めなくなってきているため新規大口取引先を必要としている、と報じた。
また同社は中国の大手携帯電話メーカーへもアプローチを掛けているが、アップルのブランドイメージの方が圧勝である。
業界幹部は、液晶パネルはコスト面で長所はあるが、長く業界をリードしてきた韓国はさらなる成長のため新たな契機を必要としており、コストダウンが進み技術的課題は克服されつつある中、アップルが有機ELを次モデルに搭載することは、骨肉を争うグローバルな業界全体の”エコシステム”のためには歓迎すべきだろう、と述べている。
LGディスプレイに関しては、北朝鮮との国境付近のパジュにパネル工場を建設する計画がある。この工場では、情勢に応じて、液晶パネルと大小の有機ELパネル両方に対応出来る、と消息筋は見ている。
台湾のライバル企業フォックスコン(鴻海)は、格安モデルに限り、アップルのアイフォンからの受注を見込んで2018年から液晶パネルの製造を開始する。ライバルに先を越されない為には、LGは下請けを早急に説得し、乗り遅れることなく新しいパネル技術を取り入れていかなければならない。
一方ディスプレイ主要メーカーのメルク(ドイツ)等の当局によると、現在使用されている液晶パネルの製造コスト面を考えると、高い利益率を維持したいアップルがすぐに有機ELを新機種に搭載する可能性は低いという。液晶パネルは中国下請けメーカーの台頭により商品化され、有機ELより技術的メリットもあるのも確かだ。
LG、サムソン共に有機EL開発に躍起になっているため液晶パネルへの投資は削減されるだろう。液晶パネルはもはや”標準”でなく”オプション”となった。現状アップル社が有機EL時代へのカギを握っている、と米系投資会社の幹部は述べている。
11月25日付け
『BGR』は、アップル社内部に詳しいミン・チー・クオ氏の最近の報告書内においてアップル社の有機EL採用の可能性が語られ、それを「コリアン・タイムス」が裏付けた、と報じた。また、多くの評論家からは、総合的に判断すると、サムソン製パネルはアイフォンのパネルを凌ぐと評価されている。有機ELは液晶パネルより利点が多いにも関わらず、これまでアップルがアイフォンの画面として液晶パネルを採用してきたのは、コストが低い上、性能的にも有機ELパネルに引けを取らないからだ、と報じた。
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