ロシア:大富豪の15%が国外へ移住(2022/06/15)
ある調査によると、2022年までに約1万5千人のロシアの大富豪が国外に流出すると予想されており、富裕層の国外流出世界一となっている。
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『BFMTV』や米
『ビジネス・インサイダー』によると、ロシアの多くの大富豪が母国に見切りをつけて国を離れているという。世界の民間の富と投資の移動を調査するイギリスのヘンリー&パートナーズ社のレポートによると、2022年には1万5千人のロシアの大富豪(100万ドル以上の資産)が国外に出ることが予想されている。ウクライナではさらに状況が悪化しており、これは同国全体の42%に相当する2800人の大富豪が退去している。...
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『ビジネス・インサイダー』によると、ロシアの多くの大富豪が母国に見切りをつけて国を離れているという。世界の民間の富と投資の移動を調査するイギリスのヘンリー&パートナーズ社のレポートによると、2022年には1万5千人のロシアの大富豪(100万ドル以上の資産)が国外に出ることが予想されている。ウクライナではさらに状況が悪化しており、これは同国全体の42%に相当する2800人の大富豪が退去している。一方、大富豪が約10万1千人いたロシアは、そのうちの15%を失うと予想されている。現在の出国者数は、5500人が出国した2019年の3倍に達している。
ロシア経済開発省によると2022年のロシアのGDPは8%前後縮小すると予想されているが、ロシアの大富豪はスウィフトシステムからの追放、資産の凍結、多くの企業の撤退など欧米の制裁に悩まされている。ヘンリー&パートナーズのレポートの分析を担当したミーシャ・グレニー氏は、「制裁措置が発動されるかなり前から、津波のような資本の国外流出があった。プーチン大統領の気まぐれな政治スタイルと、中流階級や富裕層に対する忠誠心の要求が主な原因となっている」と述べている。ただし、ロシアのペスコフ報道官は記者会見で、大富豪が国外に流出する傾向には特に「気づいていない」と述べている。
ヘンリー&パートナーズのレポートは、「過去10年間、ロシアから海外に移住する富裕層は毎年着実に増加しており、これはロシアが現在直面している問題の早期警告である。歴史的に国の崩壊は、通常、富裕層の移住の加速が先行する。彼らは移住の手段を持っているので、最初に離れることができる。」と指摘している。
ロシア富裕層の主な移住先は、マルタやモナコなどの南欧、インド洋のモーリシャス、そして特に税率がほぼゼロのアラブ首長国連邦が人気を呼んでいる。アラブ首長国連邦(UAE)は、2022年には4千人増が見込まれ、世界の大富豪の移住先としてトップに躍り出た。
このレポートにデータを提供した分析会社「ニュース・ワールド・ウェルス」の調査責任者アンドリュー・アモイルス氏は、米『CNN』のインタビューで、UAEは「中東・アフリカ地域の安全なオアシスであるという評判や、高所得経済の国際ビジネスハブ」として人気が高まっていると説明した。
米『UPI通信』によると、ヘンリー&パートナーズ社のCEOであるステフェン氏は「2022年の予測は、世界的に極めて不安定な環境を反映している。年末までに8万8千人の大富豪が新たな国に移住すると予想されている」と述べている。
2022年に最も多くの億万長者を獲得する国は、米国を抜いて首位に立ったアラブ首長国連邦をはじめ、オーストラリア、シンガポール、イスラエル、スイスなどとなっている。また、マルタ、モーリシャス、モナコにも大量の大富豪が移住すると予想されている。大富豪の移住は、2023年にはさらに増加するとも見られている。ステフェン氏は、「来年、過去最大の12万5千人の大富豪の移住が予測されている。富裕層の投資家とその家族は、まだ明らかになっていない世界秩序の再編成や、気候変動の脅威を背景に、コロナ後の新しい世界に向けて真剣に準備を進めている」と述べている。
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ジョンソン英首相続投へ(2022/06/07)
英国のボリス・ジョンソン首相は6日夜、「パーティーゲート」のスキャンダルに伴う与党保守党内の反乱によって引き起こされた信任投票で、賛成わずか211票と6割に満たない僅差の勝利で留任することになった。フランスメディアはジョンソン政権の弱体化を報じている。
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『レゼコー』は、辞任の危険は当面は去ったものの、211人の議員が新任に賛成したのに対し、148人が退陣を求める票を投じたと伝えている。180人以上の議員が不信任の票を投じていれば、ジョンソンは辞任に追い込まれていた。今後、1年間はジョンソン首相に対する信任投票を行うことができない。一見すると、これで2024年の次の総選挙までは安泰だと思われるが、英国政治には、首相が信任投票で勝利しても、後に辞任に追い込まれる前例があると指摘している。...
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『レゼコー』は、辞任の危険は当面は去ったものの、211人の議員が新任に賛成したのに対し、148人が退陣を求める票を投じたと伝えている。180人以上の議員が不信任の票を投じていれば、ジョンソンは辞任に追い込まれていた。今後、1年間はジョンソン首相に対する信任投票を行うことができない。一見すると、これで2024年の次の総選挙までは安泰だと思われるが、英国政治には、首相が信任投票で勝利しても、後に辞任に追い込まれる前例があると指摘している。テリーザ・メイ前首相は、2019年に信任投票で勝利し、続投出来たものの、その6ヵ月後に辞任に追い込まれている。
なお、2週間後には、イングランド南部のティバートンでは、保守党が敗北する可能性のある選挙が行われる予定であり、『レゼコー』は、「これが新たな落とし穴になる可能性がある」と伝えている。
辞任を求めている与党議員たちは、パーティーゲートをめぐる透明性の欠如と、その結果として生じた信頼の喪失を非難している。しかし、不満の理由はこれだけではない。北アイルランド議定書、ルワンダへの不法移民の移送、テレビ局チャンネル4の民営化など、ジョンソン政権の重要な政策に対しても一部議員たちの間で不満が溜まっている。最新世論調査では、ジョンソン首相の辞任に賛成する人は59%であった。
仏『BFMTV』は、ジョンソン首相はスキャンダルや国民と与党内の怒りにもかかわらず、ここ数ヵ月、特にロシアのウクライナ侵攻に対する西側の対応でリーダーシップを発揮したことで持ちこたえている、と伝えている。また、英国で12年間政権を担ってきた保守党の中に明確な後継者がいないことも、彼を後押ししていると指摘。特に、長く党内で人気の高かったリシ・スナック財務大臣が、生活費高騰の折、妻の脱税疑惑にさらされて以来、首相の存在感が増しているという。しかし、長い間、その風変わりで大胆な性格が人気を集めていたものの、今ではそうした側面が多くのイギリス人を悩ませていると伝えている。
仏紙『ルフィガロ』は、ジョンソン首相は政治家として不滅であるかのように見えるが、イメージの修復に苦労しており、ますます「レームダック」化しつつあるのではないかと指摘している。
なお『ユーロニュース』によると、英国メディアでは、タイムズ紙はジョンソン首相を「傷ついた勝利者」と表現し、フィナンシャルタイムズ紙は、僅差での勝利は「首相に大きなダメージを与え、党内の分裂と反感の程度が明らかにした」と報じた。ガーディアン紙は「首相は新任投票の屈辱の後、権力に固執する」と伝え、デイリーミラーは「パーティーは終わった、ボリス」という見出しで報じた。
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