米国際通貨基金(IMF)が発表したアジア太平洋地域の経済見通し報告書では、2017年の成長率が5.5%と(予想から0.1ポイント)上方修正され、またアジアの高齢化や生産性向上が早急に取り組むべき問題であると指摘した。高齢化リスクのある国では、労働法や年金制度、退職制度の改革に加え、移民の活用も有効だと指摘。中国などの経済大国は研究開発費への投資や貿易の自由化が重要な対策であり、アジアの発展途上地域では国内の生産性をあげ、日本の高齢化の現状から学び女性や高齢者を活用するなどした生産性向上への改革が最重要課題であろうと指摘している。
5月9日付米国
『ブルームバーグ』は「アジアでは成長途上で高齢化を迎える国もあるとIMF」との見出しで以下のように報道している。
「国際通貨基金(IMF)は、アジア諸国の高齢化により、就労人口が減少し世界の下請け労働者が減ると試算。アジアでは2050年までに人口増加率はゼロになるといわれている。
既に日本では増加は鈍り、労働人口はピークを越えたとIMFは試算。2050年までには65歳以上の割合がが2.5倍となり東アジアで最も高齢化が進むとみられる。...
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5月9日付米国
『ブルームバーグ』は「アジアでは成長途上で高齢化を迎える国もあるとIMF」との見出しで以下のように報道している。
「国際通貨基金(IMF)は、アジア諸国の高齢化により、就労人口が減少し世界の下請け労働者が減ると試算。アジアでは2050年までに人口増加率はゼロになるといわれている。
既に日本では増加は鈍り、労働人口はピークを越えたとIMFは試算。2050年までには65歳以上の割合がが2.5倍となり東アジアで最も高齢化が進むとみられる。
「アジアは高齢化のスピードが欧米と比べて顕著で、国民一人当たりの収入は米国などの先進国に比べはるかに低い。更にアジア諸国は先進国に比べ高齢化への対策が遅れているため豊かになる前に高齢化をむかえるリスクがある」とIMFはいう。
日本では今後30年後、年間経済成長率が高齢化により1%未満マイナス、中国、香港、韓国、タイでは0.5~0.75%マイナスとなる。高齢者が貯蓄に回り、投資率が低くなると経済の長期停滞のリスクもある。また不動産利率や総資産利益も低くなりがちであるという。
このような人口動態変化のリスクのある国では、労働基準法や年金制度、退職制度の改革が有効な手立てとして挙げられる。また移民の活用も有効だろう。アジアでは労働力の高齢化のみならず、投資低迷やサービス業や海外取引の縮小などでの生産性向上への対策も求められている。
アジア各地で深刻度に差はあり、先進諸国や中国では、貿易の自由化や研究開発費への投資拡大が重要な対策と言える。全体でも国内の生産性をあげるための改革が最重要課題であろう。」
同日付米国
『CNBC』は「IMFがアジアの最大の課題として高齢化と生産性を挙げる」との見出しで以下のように報道している。
「アジア太平洋地域の成長はすさまじい勢いだが、中期的見通しでは高齢化と生産性の鈍化が問題であるとIMFは指摘している。
アジア地域の経済成長率は今年度は5.5%、2018年度5.4%になるとみられ3.5~3.6との予測を上回る。中国、香港、日本、韓国、タイなど高齢化が進む国では2050年までに世界でも最も高齢者比率の多い国にあるとみられている。一方、インド、インドネシア、フィリピンなどは若者の多い国である。しかし「アジア全体の人口動態では経済成長率が高齢化により0.1%ほど減少する傾向となる」という。
高齢化による生産性低下問題へは構造的改革が必要であるという。福祉や生活水準向上には生産力アップが必要。資産蓄積では短期的成長は期待できるが、長期的には生産性向上や集約的成長が安定成長には欠かせない。新技術や新規生産工程の導入、R&D、輸入や輸出などが生産性向上への鍵であるとIMFは指摘する。先進諸国は研究開発に力を入れ、途上国は教育やインフラへの国内投資を増やすことが重要だという。」
同日付
『ASAHI SHINBUN』(ロイター通信引用)は「IMFがアジアに急速な高齢化への対処を警告」との見出しで以下のように報道している。
「火曜、IMFはアジア太平洋地域に関する経済報告書を発表、アジアでは人口動態がここ数十年で急激に変わっており、特に日本では、高齢化と人口減少に見舞われ深刻である。日本の貯蓄率の高さと投資率の低さの背景には、年金生活者がいる。IMFは、アジア諸国が「豊かになる前に高齢化しないよう」、日本の現状から学び、女性や高齢労働者の活用などの高齢化対策に早急に取りかかるよう警告している。」
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