国連報告書:世界の食品ロス率は19%
国連の最新レポートによると、世界では、8億人近くが飢餓に直面している一方、1日あたり10億食以上が廃棄されているという。
3月28日付
『AP通信』:「7億8300人が飢えに苦しむ一方、世界の食品ロス率は19%」:
最新の国連報告書によると、2022年、世界の食品ロスは約10億5000万トンで割合にすると19%だった。
27日発表された国連環境計画の食品廃棄物指数レポートは、2030年までに食品ロスを半減するという目標の進捗状況に関する報告書。
最初のレポートは2021年で、指数を報告する国は今回ほぼ倍に増えた。...
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3月28日付
『AP通信』:「7億8300人が飢えに苦しむ一方、世界の食品ロス率は19%」:
最新の国連報告書によると、2022年、世界の食品ロスは約10億5000万トンで割合にすると19%だった。
27日発表された国連環境計画の食品廃棄物指数レポートは、2030年までに食品ロスを半減するという目標の進捗状況に関する報告書。
最初のレポートは2021年で、指数を報告する国は今回ほぼ倍に増えた。当時の2019年の食品ロスは9億3100万トンで17%と報告されているが、多くの国で十分なデータが不足していることから、国連は単純比較は難しいとしている。
調査では、家庭、食品サービス、小売業者に基づくデータを集計。1年間に1人当たりの食品ロスは79キログラムだとわかった。世界で1日あたり、少なくとも10億食分が廃棄されていることになる。食品ロスの60%は家庭から、28%は食品サービスや飲食店から、12%が小売業者から発生している。
世界では7億8300万人が慢性的な飢えに苦しんでおり、多くの地域で食料危機が深刻化している。イスラエル・ハマス戦争やハイチでの紛争が激化する中、ガザ北部やハイチで飢饉の危機が迫っているとされる。
食品ロスは、穀物や動物に必要な土地や水、温室効果ガス排出といった環境問題の側面からも世界的な懸念となっている。食品ロスは世界の温室効果ガスの8~10%に相当し、国に例えると、中国、米国に次いで3位の排出量となる。先進国と途上国の間では、一人あたりの食品ロスの差は非常に小さいかったという。
3月27日付米『CNN』:「世界の食品ロスは1日10億食以上」:
国連の最新報告書によると、8億人近くが飢餓に直面している一方、世界では一日あたり10億食以上が廃棄されているという。
2022年、世界では10億5000万トン(食品の5分の1に相当)が、家庭や飲食店など食品サービス業界で廃棄された。これは生産者から消費者に届けられるまでの世界の食品ロスの13%で、全体では、全食品の約3分の1が生産過程で廃棄されている。世界の人口の約3分の1が十分な食料を得られない状況がある中、この廃棄量は非常に大きいといえる。
報告書では、畑で腐った野菜や温度管理不足で傷んだため、流通食品で廃棄されるものを「食品ロス」、一方、家庭や飲食店舗等で捨てられる食品は「廃棄物」として区別している。
集計に参加したのはわずか21カ国。データ収集は改善したものの、データは十分ではない。ガスを大量発生する航空機の気候変動への影響は調査が進んでいるものの、食品ロスの影響は調査が進んでいない点が指摘されている。
食品は資源への依存が高く、土地や水を必要とし、温暖化の3分の1に起因している。食品廃棄の大部分は埋め立てされ、分解の過程でメタンガスを発生する。温室効果ガスであるメタンは20年間にCO2の約80倍の温暖化をもたらすとされる。
高温により食品の保存や輸送が難しいため、暑い国は寒い国より食品ロスが多い。富裕国だけの現象ではなく、国の格差による廃棄量の差は、一人当たり7キログラムに留まるという。
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インドのエビ養殖問題
市場に多く出回っているインド産の養殖エビに関して、他のアジア地域同様、労働搾取や環境への影響が問題視され始めているという。
3月21日付米
『ABCニュース』(AP通信):「インドの海老産業:AP通信の報道より」:
米国で消費されているエビのシェアはインド産がトップで、米国内の殆どの大型食料品店や飲食店で取り扱われている。その一番の理由は消費者にとって低価格なことだが低価格には訳がある。
2月AP通信がインド南東部のアーンドラ・プラデーシュ州の労働環境を取材。シカゴの人権団体「コーポレート・アカウンタビリティ・ラボ」が20日発表した調査報告書では、危険な労働者の搾取状況が伝えられている。...
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3月21日付米
『ABCニュース』(AP通信):「インドの海老産業:AP通信の報道より」:
米国で消費されているエビのシェアはインド産がトップで、米国内の殆どの大型食料品店や飲食店で取り扱われている。その一番の理由は消費者にとって低価格なことだが低価格には訳がある。
2月AP通信がインド南東部のアーンドラ・プラデーシュ州の労働環境を取材。シカゴの人権団体「コーポレート・アカウンタビリティ・ラボ」が20日発表した調査報告書では、危険な労働者の搾取状況が伝えられている。
米国では、一人あたり一年間のエビ消費量は5ポンド(約2.3キロ)を超え、魚介類の中でも最も人気がある。多くの米国人は米国産の食品を好んで買うが、エビの場合は国内産の割合がわずか5%で、あまり店頭に並ばず値段も高い。
1970年代、米国は世界でエビの養殖が最も盛んな国だった。その後エビはご馳走となり、20年の間にアジアで養殖技術が発展し、市場には輸入品が出回った。
インドが主要なエビ供給国となったのは、メディアがタイの魚介産業の荒れた実態を報じてからだった。2015年当時市場を占めていたタイ産エビの禁輸運動により、2千人が強制労働から開放された。現在、インド産エビは、米国で消費されるエビの40%を占めている。
インド南東部アーンドラ・プラデーシュ州では、エビ養殖のため新たに作られた孵化場や池が地域の水や土壌を汚染し、米など作物が育たないという。池からトラックで運ばれたエビは、加工所に運ばれ、女性従業員が素手か不清潔な手袋をで、冷えたエビの皮むき作業をする。多くのインド人は、地域的貧困、借金、失業に喘いでおり、このような仕事の機会しか貧困から抜け出す手段がない人も多い。
米国向けが労働搾取に関係があるかは断定はできないが、インド産エビを販売する米大手企業は、人権侵害や環境的ダメージを遺憾とし調査の意向を示している。
米国側で、低価格のエビが生産者を搾取している点も指摘されている。「コーポレート・アカウンタビリティ・ラボ」は、インド企業は生活が成り立つ賃金を支払い、労働安全衛生法を遵守すべきで、米国企業へはエビの価格見直しを、インドと米国政府へは現行法の遵守を求めている。
同日付『AP通信』:「インドのエビ産業の危険な労働環境に関する報告書」:
米国ではエビが最も消費されている魚介類だが、消費者の間でインド産エビへの懸念が高まっているという。
殆どの米国人は国内産を選ぶのだが、実際店頭に並ぶ国内産は5%のすぎず、強制労働や環境へのダメージとなる生産をさけるシステム上の欠陥が多い。
インドでも、大手企業の加工施設は衛生管理や労働基準が満たされているが、一方、米国輸入業者からは見えないところで、非常に狭い不衛生な施設があるのだ実態で、インド当局による環境への影響や規制違反への調査が十分でない。
メキシコ湾では多くのエビが取れるが、アジアに比べ、人的、環境標準が厳しく、費用がかさむ問題がある。昨年地域当局は、市場の95%を占める輸入低価格のエビと競争できないとの理由で、漁業災害宣言による財政支援を求めた。ルイジアナ州などの小規模経営の養殖業者はかつないほど倒産の危機に追い込まれているという。
米国税関国境警備局は、強制労働による輸入品規制しており、近年では、中国の綿製品、コンゴ民主共和国の金、ドミニカ共和国の砂糖の輸入を規制しているが、インド産への規制はない。
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