米バイデン政権;ロシア新興財閥等の凍結資産を没収の上でウクライナ復興に充当することを可能とする法案提出【米・フランスメディア】
米ホワイトハウスはこの程、ウクライナに軍事侵攻したロシアへの経済制裁を強化する一連の法案の一環で、同国の新興財閥(オリガルヒ)から差し押さえた資産を没収し、ウクライナ復興に充当することを可能とする法案を議会に提出した。
4月29日付
『AP通信』 や
『AFP通信』 は、「米政権、オリガルヒ凍結資産を売却してウクライナ復興に充当可能とする法案提出」と題して、バイデン政権が4月28日、オリガルヒから差し押さえた資産を没収・現金化して、ウクライナ復興に充当することを可能とする法案を議会に提出したと報じている。
ジョー・バイデン大統領(79歳)は、制裁の一環で凍結したオリガルヒの資産を没収・現金化してウクライナ復興に充当することを強く望んでいる。...
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4月29日付
『AP通信』 や
『AFP通信』 は、「米政権、オリガルヒ凍結資産を売却してウクライナ復興に充当可能とする法案提出」と題して、バイデン政権が4月28日、オリガルヒから差し押さえた資産を没収・現金化して、ウクライナ復興に充当することを可能とする法案を議会に提出したと報じている。
ジョー・バイデン大統領(79歳)は、制裁の一環で凍結したオリガルヒの資産を没収・現金化してウクライナ復興に充当することを強く望んでいる。
そのため、4月27日に米議会下院で採択された「ウクライナ再建のための資産没収法(ASURA)」を更に強化し、かつ手続きの迅速化を図る追加法案の策定を議会に提案した。
ASURAは、僅か4人の下院議員の反対があっただけで、圧倒的多数によって議決され、間もなく上院に回される。
但し、当該法案は、施行後2年間の時限立法であり、ロシアが依然ウクライナ侵攻を継続している場合に資産没収が認められるとの制限付きであり、かつ、それによって得られた資金はウクライナ再建、避難民支援、ウクライナ軍向け武器、及び人道的支援が必要なロシア人救済に充当すると限定されている。
しかし、バイデン政権が4月28日に議会に提案したのは、ASURAを更に強化して、オリガルヒによる資産凍結回避をより困難にさせるのみならず、没収した資産の現金化を迅速に進め、かつ、“軍事侵攻で荒廃したウクライナの建物・インフラ等の原状回復”のために幅広く使用できるようにするという内容である。
何故なら、目下適用されている連邦法では、差し押さえた資産の使い道を決めて実行する権限は司法省のみに限られていて、かつ、司法省高官の話によると、今回採択されたASURAの下では、没収した資産を現金化するまでに何年もかかってしまう恐れがあるからだという。
そこで、バイデン政権としては、司法省による差し押さえ・没収した資産を可及的速やかに現金化できるよう、現在司法省に義務付けられている連邦裁判所からの没収令状取得手続きの簡素化・迅速化も求めている。
司法省と財務省は現在、ウラジーミル・プーチン大統領(69歳)の最側近と言われるオリガルヒ所有の大型プレジャーボート(長さ254フィート、76メートル)含めて、制裁逃れをしようとしているオリガルヒ資産の差し押さえに注力している。
メリック・ガーラント司法長官(69歳、2021年就任)は4月28日、下院小委員会において、同省が時限的に設置した任務部隊「クレプトキャプチャー(注後記)」の活動によって、“少なくとも30件の制裁逃れ案件”が特定されつつあると証言した。
ただ、同長官は、現行法の下では、例えば上記大型プレジャーボートを差し押さえる場合、同資産の詳細目録を作成して連邦裁判所に没収令状の発令を求め、そして連邦政府費用で同資産の保管・移動・競売を行い、その結果得られた現金を司法省の没収資産勘定に移してからウクライナ支援に充当する、という一連の手続きが必要となり、とても迅速に進められるものではない、とも付言している。
(注)クレプトキャプチャー:ロシアのウクライナ侵攻に対応してロシアのオリガルヒに制裁を執行することを目的として、2022年3月に設立された米国司法省の任務部隊。直訳は「泥棒捕獲」。
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国連:土地の保全が気候変動と生物多様性のカギ
土地保全に関する最新の国連報告書では、世界の食糧供給を維持しサステナブルな農業をめざすには、土壌の改良と農業の小規模化が重要だと指摘されている。政府による土地保全対策がない場合、2050年までに、現在の4倍のCO2が大気に放出されるが、対策が進むと、CO2が安全に地中や植物に貯留されると予測されている。
4月28日付
『Yahooニュース』 (英BBC):「自然破壊:人間の飽くなき欲が世界の土地を破壊」:
国連報告書によると、人間の活動により持続不可能(アンサステナブル)なほどに世界の土地が破壊されている。土壌の改良と健全性の維持に重点を置いた「再生農業」により、生産量が増え、大気への炭素排出量も抑えられると指摘している。
世界の土地に関する報告書「Global Land Outlook(GLO)は5年間にわたり作成されており、世界の土壌、水資源、生物多様性などに関わる土地資源を調査している。...
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4月28日付
『Yahooニュース』 (英BBC):「自然破壊:人間の飽くなき欲が世界の土地を破壊」:
国連報告書によると、人間の活動により持続不可能(アンサステナブル)なほどに世界の土地が破壊されている。土壌の改良と健全性の維持に重点を置いた「再生農業」により、生産量が増え、大気への炭素排出量も抑えられると指摘している。
世界の土地に関する報告書「Global Land Outlook(GLO)は5年間にわたり作成されており、世界の土壌、水資源、生物多様性などに関わる土地資源を調査している。国連砂漠化対処条約(UNCCD)のチアウ事務局長は、「土地を当たり前のものと考えてはいけない段階にきた。食糧、野菜、飼料を求める人間の飽くなき欲のため、破壊しても構わない余分な土地、水、森林、湿地があると考え続けることは不可能」だとしている。
世界の土地の約4割がダメージを受けており、その主な原因は近代農業に起因する。このまま対策を怠ると、2050年までに、南米全体ほどの広大な土地にダメージが拡大すると予測されている。一方、土地の保護や保全対策を行えば、気候変動や種の絶滅を抑えることが可能となる。
土地の総合的な健康状態にダメージを与える活動は、土壌をひ弱にし、炭素を減らし、生物の生息を難しくさせる。現在、世界の人口の約半分は土地の後退の影響にさらされている。
UNCCDによると、毎年、約7000億ドルが化石燃料や農業産業への補助金に充てられているが、自然資本や生物多様性へ効果的な影響を与えているのは僅かに15%のみ。その3割でも保全に生かせれば、2030年までに米国ほどの広さの10臆ヘクタールの土地改善が可能になるとしている。
また、僅か1%の農場が、世界の農地の7割を管理している。全農場の8割が2ヘクタール未満と小規模経営。
2013~2019年に行われた農地開拓のための森林伐採のうち、少なくとも7割は国家法に違反していた。
4月27日付仏『フランス24』 (AFP通信):「破壊された土地の保全が気候変動対策や生物多様性のカギ」:
アンサステナブルな農業は、今世紀半ばまでに、非常に荒れた土地を増やすことに繋がると27日の国連砂漠化対処条約(UNCCD)による報告書で指摘されている。
世界の食料システムは、地球の森林破壊の8割、水利用の7割を占めている。これのみが、種の絶滅の最大の原因となっており、人間の活動が始まった頃と比べ、温暖化や自然破壊が急速に進んだ今では100~1000倍速く絶滅が進んでいる。
土地資源の利用の仕方により、地球上の多くの生物の健康や存続が危機に晒される、これには人間も含まれる。地球上の氷河に覆われていない、化学的ダメージで破壊された土地の4割が、世界のGDPの約半分に相当しており、早急な対策が求められる。これまでのビジネス活動をしていては、生存と繁栄に繋がらない。
今年、UNCCDの197の条約加盟国により、3年ぶりにコートジボワールのアビジャンで会合が開催され、地球の土地の保全に関係する、干ばつの増加やサステナブル農業への移行を中心に議論が交わされるとみられる。
地上の土地のうち、少なくとも7割が人間に利用されており、繰り返される土地の再利用により穀物が育たず、圧倒的に土地足りないのだ。1%の農業ビジネス主で、世界の農業用地の7割を運営している計算になる。解決には、初期段階として大型農業からよりサステナブルなサイズに変えることが重要なのだという。
報告書では今世紀半ばに至る2つの開発シナリオを提示している。一つに、従来のアプローチを続けた場合は、2050年までに現在の温室効果ガスの「4倍」にあたるCO2(ニ酸化炭素)が2500臆トンに増加し大気に放出される。もう一つは、土地保全対策が行われた場合で、2015年を基準とすると、現在の5年分の放出量である約3000臆トンのCO2が安全に地中や植物に貯留されるという。
土地を巡る競争は激化しており、今後は厳しい選択が増えていくとみられる。また、報告書では初めて、気候変動対策や自然保存プロジェクトの成功の鍵として、先住民の土地の権利拡大に言及している。
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