新国立競技場のデザインが最終決定(2015/12/24)
2020年東京五輪・パラリンピックのメイン会場となる新国立競技場のデザインが、建築家の隈研吾氏と、大成建設、梓設計のグループが作成した案に決定した。総工費は約1489億円で、2019年11月30日完成予定としている。採用された案は鉄骨と木材を使い、日本建築の伝統を生かしたデザインで、高さを50メートルに抑えた楕円形のスタジアムである。
新国立競技場を巡っては今年7月、いったん採用が決まっていたイラク系英国人建築家ザハ・ハディド氏の案が白紙撤回され、改めて公募と選考がおこなわれた。ハディド氏は新デザイン決定に対し強い不満を表明するとともに、新デザインがハディド氏の案と類似しているとコメントしており、今後知的財産権の問題に発展する可能性もある。
12月22日付
『ニューヨークタイムズ』紙は、2020年の東京オリンピック新競技場の計画は、最終的に簡素で日本的なデザインに決定したと報じている。2020年夏季オリンピックで使用されるメインスタジアムの計画は、当初選定されたハディド氏によるデザインが建設コストが嵩み過ぎることから取り止めとなり、その後数ヵ月にわたり論議が続いていた。新しく選定されたデザインは、優美な美術館建築で有名な日本人建築家の隈研吾氏が制作したものである。...
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12月22日付
『ニューヨークタイムズ』紙は、2020年の東京オリンピック新競技場の計画は、最終的に簡素で日本的なデザインに決定したと報じている。2020年夏季オリンピックで使用されるメインスタジアムの計画は、当初選定されたハディド氏によるデザインが建設コストが嵩み過ぎることから取り止めとなり、その後数ヵ月にわたり論議が続いていた。新しく選定されたデザインは、優美な美術館建築で有名な日本人建築家の隈研吾氏が制作したものである。新競技場のデザインの特徴は、むき出しの木造の梁で支える半屋根を持つ伝統を生かした楕円形の構造で、ハディド氏のデザインよりコンパクトかつ安価であるとされる。
ハディド氏のデザインには、建設費が高騰する以前から反対者が多かった。未来性を強調した、巨大な自転車ヘルメットを想起させるデザインは、ほとんどが低層の建物や神社の杜が繁る周囲の環境と不釣り合いであると非難された。隈氏の設計はより小さな敷地面積で高さも低いが、それでも3層構造によって8万人を収容できる。地上から見上げると、伝統的な日本建築様式を取り入れ、木の梁を組み合わせた格子が観客席部分を覆う天屋根を支えているのが見える。
代案を選定するに際し「日本的な要素を考慮すること」ははっきりしていたが、立地環境を考慮したのか排外主義でそうしたのかは、その人の見方次第である。一方、ハディド氏は、彼女に批判的な日本の建築家を排外主義だと述べ、外国人に東京で国立競技場を造らせたくないのだと非難している。
12月22日付
『ヤフーニュース』は「AFP」電として、2020年に開催される東京オリンピックスタジアムは、ハディド氏の当初案が20億ドル以上という世界一高額な建設費が問題となり、日本人建築家の新デザインに変更されたと報じている。これに対しハディド氏は、「国際的デザイン・エンジニアリングチームに対するこの呆れた仕打ちは・・・デザインや予算が問題にされたのではない。実際、2年間にわたり我々が提案してきた詳細なデザイン作成とコスト削減の多くが、本日発表された変更案の配置図や観覧席ゾーンの構造などに、驚くほど類似した形で取り入れられている」と強い不満を表明した。
12月22日付
『NBCニュース』は、新国立競技場のデザイン決定に至る経緯を報じている。それによると、ハディド氏の当初案は2012年のデザインコンテストで、その未来的なコンセプトが賞賛され採用が決定した。しかし、建設費が当初見積もりの2倍近い21億ドルに達することが判明し、国民の間で批判が噴出したことから安倍首相は本年7月、同デザインの白紙撤回を発表した。
ハディド氏の案採用を巡っては透明性の欠如が批判され、ソーシャルメディアの多くではデザインが自転車のヘルメットに似ているなどと不評だった。日本スポーツ振興センターは計画を見直し、デザイン案は最終決定前にウエブサイトに掲示し一般国民や元運動選手等の意見を求めた結果、最終的に隈研吾氏が提案したデザインに決定した。安倍首相は、「新国立競技場が世界中の人々に印象に残り、次世代が誇りを感じることができるレガシーとなるよう期待する」と述べた。
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米・英国メディア;新国立競技場のデザイン決定(2015/12/22)
今年7月に安倍首相の英断で建設デザインそのものがキャンセルされた新国立競技場について、日本政府がこの程新案を選択・決定したと米・英国メディアが速報した。
12月22日付米
『NBCニュース』(
『AP通信』記事引用)は、「日本政府は12月22日、当初採用を決定していた建築家ザハ・ハディド氏のデザインを白紙撤回してから5ヵ月後に、日本の建築家隈研吾氏のデザインを採用することを決定した。前プランが2,520億円と世界で最も高額なスタジアムと見込まれ、その結果キャンセルされたことから、今回の新案は1,530億円(編注;日本メディアは1,490億円と報道)に収まるとする。...
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12月22日付米
『NBCニュース』(
『AP通信』記事引用)は、「日本政府は12月22日、当初採用を決定していた建築家ザハ・ハディド氏のデザインを白紙撤回してから5ヵ月後に、日本の建築家隈研吾氏のデザインを採用することを決定した。前プランが2,520億円と世界で最も高額なスタジアムと見込まれ、その結果キャンセルされたことから、今回の新案は1,530億円(編注;日本メディアは1,490億円と報道)に収まるとする。同氏のデザインは、木材と鉄骨を組み合わせたもので、伝統的な寺社と調和する日本的なものとなっている。」と報じた。
同日付米
『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙は、東京オリンピック・パラリンピック担当相の遠藤利明氏のコメントを引用して、「アスリート第一、世界最高のユニバーサルデザイン、周辺環境等の調和や日本らしさ、そして木材の活用を体現した素晴らしい案が選ばれたと考えている。」と伝えた。
また、同日付英
『メール・オンライン(デイリィ・メール電子版)』(
『ロイター通信』記事引用)は、「選択された案は、建築家隈氏、大成建設グループのチームであり、一方、最終選考で敗れたのは、建築家伊東豊雄氏、竹中工務店・清水建設・大林組のチームのもので、採用案より7億円高かった。なお、両案とも2019年11月完工と、国際オリンピック委員会が求める2020年1月の期限より2ヵ月早い。」と報じた。
なお、日本メディアの詳報によると、7人の審査委員が、ユニバーサルデザインの計画、日本らしさへの配慮、工費、維持管理費などの9項目の評価基準に対して、各々140点(満点980点)で採点し、その結果、隈氏案が610点、伊東氏案が602点だったという。
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